細部の工夫。

( 007 名刺のデザイン4 )

撮影協力:船木印刷

続くハードル

思い通りの素晴らしい紙ができあがったのですが、名刺の完成にたどり着くまで、まだいくつか解決しなければならない問題があり、今度は、引き受けてくださる印刷所を探し回ることに。

和紙の両面に活版で印刷するという離れ業は、澤木さんが微妙な調整をしながら漉いてくださったので、試し刷りをしてくれた印刷所の職人さんが驚くほど、うまくできています。

どこかで妥協も必要なのかもしれませんが、 せっかく素晴らしい和紙を漉いてもらえたのだから、 最後まで何とかがんばって仕上げたいとの思いでした。


いよいよ印刷

いろいろと探したところ、東大阪の船木印刷さまが、ご対応してくださることになり、私も同行して、機械の圧のかけ方やインクの調合、活字の間隔など、試行錯誤と調整を重ねに重ねてくださいました。

最初は少し黄みがかった色味ですが、時間が経つにつれて白くなる和紙の特徴を活かし、会社のマークは、時間が経った和紙の色を想定して、白に黄色のインクを少し混ぜて刷っています。今は地色と多少の色の違いを出していますが、時間と共に少しずつ、ロゴと用紙が同化してという仕掛けで考えました。

名前面の文字は、シルバーに少し黒を加え、エンピツに近い鉛色を表現してもらいました。紙の風合いとマッチするというのが一番の理由ですが、自分がアイデアをまとめる際は、いったん紙にエンピツでラフを書いた方がいいものができると思っているので、その気持も込めたつもりです。

文字の一文字ずつの間隔、左右上下の空き等も、もともと私がデザイナーだったこともあり、とても気にするほうで、今回もこだわってしまいましたが、活版印刷の限界まで、快く調節していただきました。


名刺の完成

“世界文化遺産の紙”というヒントから、アイデアが次々広がって行くことに、あらためてデザインの深さと楽しさ、苦労を感じました。時間もかかりましたが、今回のことでまた、その道のプロフェッショナルに出会え、貴重な経験ができました。

この記事を読んでくださった方にも、ぜひ、この名刺を受け取っていただきたいと思っています。

祐谷(16.12.9)