初めて制作会社へ依頼するときに、クリエイティブの制作範囲となる3つの時間軸をあらかじめ定めて話を進めると、制作会社側も効率よく進めることができます。
今回はその時間軸について、スポット対応で考えるとき、長いスパンで対応を考えるときと区分けしながらお話ししてみたいと思います。
3つの時間軸の捉え方
まず、3つの時間軸は、グラフィック全般に関わる一連の広告物の制作や、あらゆるWebサイトの構築に関連してきますので、どのクリエイティブ業務にも活かせる考え方になると思います。
3つの時間軸の捉え方は主に時間軸で、下記のように区分けされてきます。
- 数ヶ月〜数年間使うデザイン
- 数週間〜数ヶ月使うデザイン
- 数日〜数週間使うデザイン
具体的にどのようなデザイン内容になるのかをそれぞれお伝えしたいと思います。(被ってくるものもありますが一般的な捉え方としています)
1/数ヶ月〜数年間使うデザイン
ロゴマーク等、存続する限り永遠に変わらずにずっと使い続けるものもありますが、基本的に数年間は使い続けるデザインになります。
ただ、デザインのトレンドや技術的な進化に合わせて数ヶ月単位で変えていくこともあります。
【グラフィックデザイン関連】
- 会社の企業ロゴマーク
- サインパネル等の看板類
- 会社案内
- パンフレットやリーフレット
- 封筒や名刺等の社内ツール
【グラフィックデザイン関連】
- ダイレクトメール
- ポスター
- カタログ
- 新聞や交通広告
- ノベルティ
2/数週間〜数ヶ月使うデザイン
季節行事や、イベントに合わせて数週間〜半年、長くとも1年以内の期間内で変わるものになります。
【グラフィックデザイン関連】
- ダイレクトメール
- ポスター
- カタログ
- 新聞や交通広告
- ノベルティ
【Webサイト関連】
- 新商品や新サービスサイト
- ランディングページ
- 期間限定、ティザーサイト
- コンテンツバナー
- スペシャルバナー
3/数日〜数週間使うデザイン
毎日〜数日間のスパンで役目を終えるもの、または日々デザインが更新されていき、最新の情報や内容を訴求して変わっていくものになります。
【グラフィックデザイン関連】
- 折込チラシ
- DM
- 展示会やイベントでのツール
【Webサイト関連】
- ブログサイト
- ECサイト(商品ページ)
- SNS
ロゴデザインの場合
これらの区分けをして、ある程度時間軸で利用される期間は、依頼側、制作側で判別がついてきますが、これからのプロセスを踏まえて打合せを行うと、より精度があがり展開もしやすくなります。
例えば、数年間使うデザインの場合、会社や店舗が存続する限り、ロゴマークを使い続ける予定でも、別会社、別店舗を数年内に作る構想があったりすると、そのお話しも伺ったうえでデザインするのとしないのでは、またアウトプットされるデザインも変わってきます。
必ず使い続ける意思があるか、または数年おきに変化させていくのかでも変わってきます。
コカ・コーラとペプシは対照的で、コカ・コーラはずっと変わらないロゴデザインですが、ペプシはトレンドに合わせて変化しています。
商品の特性や企業のスタンスによって使い分ける
あと、ロゴが絶対的に変わらない形で使うのか、もしくは商品の特性等に合わせて変化してもいいのかでも捉え方が変わってきます。
スノーボードで一番有名なバートンというブランドがあるのですが、メインのロゴは時代とともに何度も変わっていますが、さらにアイテムや広告に合わせてもロゴがゴロゴロと変わっています。
どちらがいい、わるいでは無く、企業のスタンスや広告の展開手法でどのようにもロゴデザインは変わるので、一番最初にどのようなプロセスを踏んでいくのか、共有はしっかりしておいたほうが広告やデザインの展開がしやすくなります。
あらゆるデザイン制作物が対象になる
他にも名刺等は、名前の箇所だけ変わるのか、もしくはひとりひとりにあわせて色を変えたり、年度や無くなったら変えていくものなのかでも、デザインの考え方が変わってきます。
長期間使う予定でも、どのような使い方で考えているのか、制作を進める前に情報共有をおこなって意見交換すると、デザインが深掘りできてくると思います。
Webサイトの時間軸
Webサイトで捉えてみると、デザインのトレンドと合わせて、技術的なトレンドや手法も加わってきます。
そのため、先を見据えながら考えることも限界がでてくるかもしれませんが、ページをどのように増やしていきたいのか、更新したいのか等を確かめながら考えことがベースになると思います。
Webサイトにページを肉付けしていくと、どうしてもページの遷移に無理がでてきたり、齟齬や不具合、デザインのトーン等もズレが生じてきます。
そのためにできるだけ軸となるデザインや構成に影響が後々でないよう、考えておく必要があります。
重要になるスケジュール管理
数ヶ月使うデザインについては、季節やイベント等の時期的なアプローチで訴求を強めることが大きなポイントになるかと思います。
そのため、スケジュールが明確に決まっていることが多く、ちゃんと間に合う内容なのかどうかを一段と精査して確認する必要があります。
追い込みの段階になると、時間帯も正常な状態での対応だと間に合わないケースもでてきますし、Webサイトの場合になると、日付が変わるタイミングでの対応も求められることがあるため、先を見越して対応できるのかを、考えておく必要があります。
先の状況を考える
また、その時々のトレンドを組み込んでデザインやコピー等を構成する場合もありますが、数ヶ月先のことを踏まえたうえで、状況が継続していることなのか、スポット的なことなのかも、検討が重要です。
デザイン要素としては、期間が 区切られていることが多いため、インパクトを強めて訴求方法も幅広く展開できる方向性になりやすいです。
俯瞰して見るとやり過ぎになることも多いので、そのあたりのバランスをしっかり見定めながら、制作の段階を逐一チェックする、いくつかバリエーションを組んでもらう等して、確認していくこともおすすめです。
作成後の状況を考える
数週間使うデザインになってくると、イベント会場や、展示会等、その場、その日だけ使用するケースが含まれてきます。
またWebサイトでは、お知らせや、ブログ、コラム等の記事的なもの、SNSで鮮度の高い情報や内容を、その日のうちに終わらせるようなものもあります。
数日〜数週間単位のものは、いかに素早く対応、公開できるかがポイントになります。
仕組みの重要性
特にSNSでは、更新する担当者の動きで大きく変わるので、投稿するネタや内容等のひな形となるデザインシートを作成しておき、誰でもどこでも公開できる仕組みを保つことが必要になってきます。
またチラシやDM、ツール類は上記でお伝えした内容と重複しますが、よりスケジュールの重要度が増してきますが、逆にイベント会場の変更や、チラシ等の内容についても、直前でどうなるかわからない場合がでてきます。
特に、印刷等に対応していく場合は、できる限り締め切り間際で対応することも判断として必要になってきます。
いかにスムーズに展開するかがカギ
Webサイトでは、CMS等の更新システムの組み込みをあらかじめおこない、また仕様面でもどのようなことが投稿されるのか、細かく取り決めや、投稿内容を想定しておくことで、日々の更新業務をスムーズに導くことができます。
デザインの要素もテンプレート化することで、制作会社にいちいち依頼しなくても良いような仕組みも合わせて事前に考えておくことで、より更新頻度や鮮度の高い情報を展開することができます。
制作を始める前の確認事項のひとつとして、時間軸をしっかり見据えて、細かな点や先の事をできるだけ決め込んでいくことで、デザイン広告を、より円滑に進めていくとができると思います。