広告をつくるとき、つい表現やアイデアに目が向きがちですが、その前に「そもそも何を、誰に、どんなタイミングで伝えるべきか?」という“土台”が整っていなければ、どれだけ見た目がよくても成果にはつながりにくいものです。
この土台を支えるのが、「リサーチ」です。
感覚や経験則だけでは届かない顧客の本音を捉えるために、小規模ビジネスだからこそリサーチが武器になると考えています。
今回は、広告づくりに欠かせない「市場調査」「競合調査」「ターゲット調査」の基本について改めてまとめてみたいと思います。

市場調査:「潮目の変化」を読み
戦う土俵を見極める
市場調査とは、自社を取り巻く“環境”を把握することです。
今この業界で何が起きているのか、どんなニーズが生まれているのかを掴むことで、打つべき広告の方向性が見えてきます。
たとえばGoogleトレンドを使えば、特定のキーワードがどの時期に検索されやすいかを時系列で確認できます。
また、経済産業省や業界団体が出しているレポートには、業界全体の動きや数年先を見据えたトレンドも含まれています。
広告の「出しどき」を読み解くために、以下の視点が有効だと言われています。
- 検索トレンドの推移を見る(例:「宅配弁当」「無添加」の季節変動)
- 業界レポートで長期的な変化を押さえる(売上推移・新規参入・顧客層の変化)
- 自社の問合せやアクセス数と外部データを照らし合わせる

競合調査:違いを“作る”のではなく
“言語化”する
競合調査は、「真似しないため」ではなく、自社の立ち位置と強みを再定義するためのものです。
地域内の同業他社がどんなメッセージを出しているのかを観察してみることは重要で、そこには、次のような気づきが隠れています。
- よく使われている言葉・ビジュアルの傾向(例:価格訴求が多い/高級感を打ち出している)
- サービスや機能面での差異(スピード対応、実績の強調など)
- レビューやSNS投稿から見える“顧客の評価基準”
これらを踏まえて、
- 自社はどこが違うのか?
- その違いをどう表現すれば「選ばれる理由」になるか?
を広告内で明確に言語化していくことが求められます。

ターゲット調査:「誰に」ではなく
「なぜその人が動くか」に注目する
広告のターゲットを考えるとき、年齢や性別などの属性情報だけでは不十分です。
成果につながる広告をつくるには、その人がなぜ動くか(インサイト)に注目する必要があります。
たとえば、
- 「30代女性」よりも、「自分へのご褒美を求めている30代女性」
- 「20代男性」よりも、「“手間をかけずに体を鍛えたい”と考えている20代男性」
のように、価値観や動機に基づいた人物像を描くことがポイントです。
このために活用できるのが、
- SNSでの実際の体験談や悩み投稿の観察
- レビューの中にある“なぜ買ったのか”という言葉
- 顧客アンケートや対話の中に出てくる、行動の背景

広告制作というと、見た目や言葉の工夫に注目しがちですが、成果の差は、情報の質に表れます。
- 市場の変化を見極め、
- 競合と比べて自社の立ち位置を明確にし、
- 顧客のインサイトに寄り添った訴求を考える
これらのリサーチを重ねることが、広告の設計力を高めてくれます。
感覚ではなく、根拠に基づいた広告づくりが重要で、小さな会社こそ、“情報”という武器を使いこなして、広告の可能性を最大化させていくことが大切だと考えています。