広告制作に欠かせない「音楽」も、近年ではAIが作り出す時代に突入しているそうです。
映像やコピーと同じように、音楽も戦略的に選ぶことが広告効果を大きく左右すると考え、今回は、AI作曲技術の進化とともに、広告制作の現場でどのように活かせるのか、最新事例やメリット、活用のポイントについてまとめてみたいと思います。
今、なぜ「AI作曲」が
注目されているのか
AIによる音楽生成技術は、ここ数年で急速に進化しています。
たとえば、SunoAIなどは、簡単なテキスト入力だけでフル楽曲を数秒で生成し、無料プランでも毎日10曲まで作れるなど、プロだけでなく一般ユーザーにも広がりを見せています。
さらに、Googleの「MusicLM」やOpenAIの「Jukebox」といった大型プロジェクトも登場し、「誰でもオリジナル曲を作れる時代」が現実のものとなっています。
音楽制作の民主化が進み、広告制作においても低コスト・短納期でオリジナル音楽が手に入る可能性が広がっていると言われています。
引用：https://suno.com/
広告制作における
AI作曲のメリットとは？
コスト削減とスピードアップ
従来、広告用にオリジナル楽曲を制作するには、数十万円かかることも珍しくありませんでしたが、AI作曲ツールを使えば、数百円〜数千円程度で楽曲を用意できることもあると言われています。
さらに、作曲にかかる時間も数分程度に短縮され、急なスケジュール変更やタイトな納期にも柔軟に対応できるようになってきていると言われています。
広告効果の向上
AI作曲ツールの中には、ターゲットの反応を高めるための音楽を自動生成するものも登場しており、たとえば、セプテーニが開発した「Odd-AI Sound」は、動画内容や商材に合わせてCTR（クリック率）向上が期待できるBGMを作成する機能を備えているそうです。
ブランディング強化
企業の世界観に合わせたオリジナル音楽を、効率よく制作できるのも大きなメリットで、ブランドイメージに合った音楽を一貫して使うことで、広告の「記憶に残る力」を高めることができます。
実際にAI作曲を取り入れた広告事例
全国の電気保安協会の事例
全国の電気保安協会（北海道〜沖縄まで10地域）は、AI作曲＋アレンジャーによるアレンジでオリジナル楽曲を制作。それを使ったリリックビデオ風MVを制作し、Z世代への認知向上を狙いました。
ポイントは、単なるコスト削減ではなく、ターゲットに感性で訴える演出にAI音楽を活かした点です。
パルコの全AI制作広告
パルコは2023年の「HAPPY HOLIDAYS」キャンペーン広告で、画像・音声・音楽すべてをAI生成で制作。撮影もナレーション収録も行わず、AIだけで広告世界を作り上げた事例として話題になりました。
セプテーニ×SOUNDRAW
株式会社セプテーニは、SOUNDRAWと連携し、広告効果（CTR）を高めるBGMをAIが自動生成するシステムを開発。
単なるBGM制作ではなく、「広告成果に直結する音楽制作」を目指しています。
引用：https://www.septeni-holdings.co.jp/news/release/2023/04013459.html
広告制作でAI音楽を活用する際の注意点
著作権と利用規約を必ず確認
AI作曲ツールの中には、商用利用に制限がかかる場合もあり、利用規約や著作権関係を必ず確認し、安全に使うことが必要です。
ヒューマンタッチを忘れずに
AIが生成した曲は、完璧とは限りません。
「少しだけ違和感がある」「広告の世界観に微妙に合わない」といった場合もあり、最終的なチェックと微調整は、人間のクリエイティブ感性で行うことが大切です。
技術の限界を理解する
AI作曲にはまだ得意・不得意があり、複雑な感情表現や細かいニュアンスは、今も人間の手によるアレンジが必要な場合もあると理解して使うことが必要だと考えます。
小さな広告でもAI音楽で大きな差別化を
AI作曲技術を活用すれば、少ない予算でもオリジナリティあふれる音楽を広告に取り入れることができるようになったと考えています。
ただし、単に「安く、早く作れるから」という理由だけで使うのではなく、ターゲットに響く戦略的な音楽活用を意識することが重要で、人間のクリエイティビティとAIの効率性を掛け合わせることで、これまでにない広告体験を作り出していくことが可能になってきているのではないかと感じています。
参考記事
・https://www.advertimes.com/20250421/article495526/
・https://www.advertimes.com/20250220/article490097/
・https://ferret-plus.com/108719