ブランディングデザインの成功のステップ:制作会社の視点から

企業にとってブランディングは、自社の存在感や価値を消費者に効果的に伝えるための最も重要な要素の一つです。
ブランディングとは、ロゴやスローガンといった視覚的なアイテムだけでなく、企業のミッション、ビジョン、そして消費者に与える印象そのものを包含しています。
デザインは、そのブランディングを具現化するための強力なツールだと考えています。


消費者は、製品やサービスそのもの以上に、そのブランドが持つ価値観やアイデンティティに引き寄せられることがよくあります。
したがって、成功するためには、単なるデザインの制作ではなく、戦略的なブランディングが欠かせません。
このプロセスを効果的に進めるためには、ご依頼者様と制作側との密な連携が不可欠だと考えています。


今回は制作会社の視点から「ブランディングデザイン」を効果的に行うステップについてご紹介したいと思います。


ステップ1:企業のビジョンや価値観の整理

ブランディングデザインを成功させるためには、まず企業のビジョンや価値観を明確にすることが不可欠です。
これは、デザインの方向性を決定する際の基礎となる部分です。

ブランドの核となる要素を定義する

ブランディングの第一歩は、自社のブランドがどのような存在であるか、そして何を目指しているのかを明確にすることです。
これには、企業のミッション、ビジョン、コアバリュー(核心となる価値観)を洗い出し、言葉にする作業が含まれます。
例えば、”革新を追求する企業”や”環境に優しい製品を提供する”など、ブランドを象徴する概念がここで形作られます。


ターゲット市場の理解と企業の目的の明確化

ブランドを構築する際に、そのターゲットとなる市場や消費者層をしっかりと理解することが重要です。
年齢層、性別、ライフスタイル、価値観など、どのような消費者がブランドに共感し、製品やサービスを選ぶのかを考慮しながら、ブランドの方向性を決めます。
ターゲット市場が異なれば、デザインに求められるトーンやメッセージも異なります。


制作会社に伝える情報

制作会社には、これらのブランド要素を具体的に伝えることが必要です。
ビジョンや価値観、ターゲット市場に関する情報を共有することで、制作会社はブランドの方向性に合ったクリエイティブな提案を行うことができます。


ステップ2:コンセプトの立案とデザイン戦略の策定

企業のビジョンが明確になったら、それを基にして具体的なブランドコンセプトを策定します。
ブランドコンセプトとは、ブランドが消費者にどのように認識されたいかを決定するものです。
このコンセプトは、デザイン戦略に直接影響を与える重要なステップです。

ブランドコンセプトの作成

コンセプトは、言葉で表現できるものですが、それがデザインに落とし込まれる際に視覚的にどう表現されるかを考える必要があります。
例えば、”信頼”をコンセプトにするなら、シンプルで堅実なデザインが求められます。
逆に”革新”がコンセプトなら、斬新で動きのあるデザインが求められる傾向が強いように思います。


デザイン戦略をどう立てるか

ブランドコンセプトに基づいて、ロゴ、カラー、フォント、ビジュアルスタイルなどの要素をどのように組み合わせるかというデザイン戦略を立てます。
この段階で重要なのは、ブランドの一貫性を保ちながら、消費者にとって印象に残るデザインを創り出すことです。


ロゴやカラー、フォントなどの選定プロセス

ロゴやカラー、フォントは、ブランドの印象を決定づける重要な要素です。
例えば、エコフレンドリーな企業は緑色を基調にしたデザインを選ぶことが多いですし、ラグジュアリーブランドはシンプルで高級感のあるフォントを好む傾向があります。


制作会社とのブレインストーミングの進め方

この段階では、制作側と定期的なブレインストーミングセッションを行うことも重要だと言われています。
企業側からのフィードバックと、制作会社のクリエイティブな提案を繰り返し調整し、最終的なコンセプトを固めていきます。



ステップ3:試作デザインとフィードバックプロセス

デザインの方向性が固まったら、制作会社は試作デザインを提示してきます。
この段階では、企業が具体的なフィードバックを提供し、デザインを磨き上げていくプロセスが続きます。

試作デザインの提示と評価

制作会社が作成した試作デザインは、ブランドコンセプトやデザイン戦略に基づいたものです。
この段階で重要なのは、デザインが企業のビジョンやターゲットにどれだけ合致しているかを評価することです。


フィードバックの視点

フィードバックは具体的な方が制作側には伝わりやすく、抽象的な「もっとおしゃれに」や「かっこよく」ではなく、「この色はターゲット層に合わない」「フォントをもう少し読みやすく」といった明確な指摘が良いデザインに繋がると考えます。


ステップ4:デザインの最終決定と
ブランドガイドラインの作成

フィードバックを繰り返し、デザインが洗練されたら、最終決定の段階に移ります。

デザイン最終決定の基準

最終デザインは、企業のビジョンや価値観、ターゲット市場に対して最も適切であるかを基準に選定します。
また、長期的にブランドとしての一貫性を保つデザインかどうかも重要です。


ブランドガイドラインの重要性

最終デザインが決定した後は、ブランドガイドラインを作成します。
これは、ロゴやカラー、フォントの使用方法など、ブランドデザインの一貫性を保つための指針となるものです。
ガイドラインがしっかりしていれば、ブランドが異なるメディアや状況でどのように展開されても、常に同じイメージを消費者に与えることができます。


ガイドラインに含めるべき項目

ブランドガイドラインには、ロゴの正しい使用方法や禁忌事項、色のカラーパレット、フォントのスタイル、画像の使い方などを含めます。
また、具体的な例を挙げることで、将来的に他のデザイナーやマーケティング担当者が容易にガイドラインを遵守できるようにします。



ステップ5:実施とブランド浸透のためのサポート

デザインが完成した後、実際に市場に浸透させるステップについても考えてみます。

デザインの導入と浸透をどう進めるか

新しいデザインやブランドを導入する際は、まず社内外へのコミュニケーションが重要です。
まず、従業員がブランドの意義やデザインの意図を理解し、それを一貫して発信できるようにする必要があります。
また、ウェブサイト、広告、パッケージ、店舗など、あらゆる接点で新しいブランドを展開していきます。


内部チームやパートナー企業への共有

社内チームやパートナー企業にも新しいブランドガイドラインを共有し、できればデザインの一貫性を保つための説明会等を実施することが推奨されます。


制作会社のサポートを引き続き活用する

制作会社は、デザイン導入後もサポートを提供してくれる場合があります。
特に、ブランドの浸透プロセスで発生する微調整や、追加デザインのニーズに対応するために、引き続き協力関係を維持することが望ましいです。


ブランドデザインの定期的な見直しと改善

ブランドデザインは、一度作ったら終わりではありません。
市場の変化や消費者のニーズに応じて、定期的な見直しやリフレッシュが必要になることがあります。


ブランディングデザインを成功させるためには、企業と制作側双方の円滑なコミュニケーションと、緻密なデザインプロセスが不可欠です。
企業側のビジョンを明確にし、それを効果的にデザインに反映させるためには、制作側のクリエイティブな提案と現実的な目標をバランスよく取り入れることが重要だと考えます。

また、デザインが完成しても、それを市場に浸透させ、ブランドとしての一貫性を保つためには、制作会社のサポートを長期的に活用することが成功の鍵となります。

ブランディングデザインについてお困りの際は、ぜひイメージバナーにお気軽にご相談いただければと思います。