猫の日で加速するネコノミクス:成功事例から学ぶ最新マーケティング戦略

2月22日は「ニャン(2)・ニャン(2)・ニャン(2)」の語呂合わせから定められた「猫の日」です。
1987年に「猫の日実行委員会」と「ペットフード工業会」によって制定され、日本全国で猫にまつわる様々な企画やキャンペーンが展開されています。

近年、「猫の日」に関連した経済活動は“ネコノミクス”と呼ばれ、2025年には約2兆9,086億円(2022年比1.48倍)に達すると試算されるなど、ビジネスの世界でも注目度が高まっているそうです。

今回は、この「ネコノミクス」の背景や、代表的な企業の事例、さらには“なぜ今、猫がここまで支持されているのか”といった視点から、マーケティング戦略のヒントを探っていきたいと思います。


ネコノミクスとは?

「ネコノミクス」は、猫に関連するグッズやサービス、広告・エンタメ・SNSコンテンツなどを含む経済効果を示す造語で、犬に並ぶペットとしての人気だけでなく、猫モチーフの雑貨やファッション、オリジナルキャラクターとのコラボ商品など、“猫推し”であることを訴求する商品・サービスが急増し、その市場規模は数兆円規模にまで拡大しています。

特に「2」が6つ並んだ2022年2月22日、通称「スーパー猫の日」をきっかけにSNSなどで話題が一気に拡散し、企業がこぞって猫関連商品を発売することで、消費者の“猫需要”を取り込む流れが加速しています。


猫の日を盛り上げる企業事例

ここからは、「猫の日」に合わせた代表的な企業の取り組みを見ていきます。

ファミリーマートの
「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」

ファミリーマートは、2023年から「猫の日」向けフェア「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」を本格展開しています。

  • 2024年には19商品を展開し、前年比230%の売上を達成。
  • 2025年は21種類に増やし、さらなる上積みを狙っています。

猫好きの共感を得るため、SNSキャンペーンや“mofusand”“Coony”といった人気イラストレーターとのコラボ商品を強化。
商品自体も猫モチーフのデザートや焼き菓子を充実させ、女性購入比率が通常商品より大幅にアップしているそうです。

また、商品販売だけでなく「ペットフードドライブ」を期間限定で実施するなど、社会貢献活動と連動させているのも特徴で、こうした取り組みにより、企業イメージ向上と猫好きファンの獲得を同時に狙っているそうです。


セブン-イレブンの
「にゃんこ発見!」キャンペーン

セブン-イレブンは、2月14日から本格展開する「にゃんこ発見!」キャンペーンで「猫の日」を盛り上げています。

  • 昨年は5種類だった猫モチーフ商品を、今年は23種類に拡大。
  • うち14種類がセブン-イレブンオリジナル商品。

昨年スイーツカテゴリーで1位・2位を獲得した「肉球のにゃんパフェ」や「きにゃこもち」などをさらに発展させ、「肉球ティにゃミス」「ねこのしっぽみたいなパン キャラメルホイップ」など可愛らしい見た目のスイーツを投入。
インフルエンサーの「なえなの」氏を起用し、Z世代を中心にSNSでの拡散を狙っています。

また、対象商品を同時購入することで応募できるキャンペーンや、QUOカードPayのプレゼント企画も展開し、SNSとの相性を高めつつ、新規客の取り込みにも力を入れているそうです。


猫がマーケティングで愛される理由

企業がこぞって猫を取り上げるのは、“可愛らしさ”や“癒し”だけが理由ではありません。
特にオンラインやSNSとの相性の良さに秘密があると言われています。

SNSとの好相性

猫コンテンツは「かわいい」「癒される」という感情を引き出しやすく、シェアするハードルが低い“無害コンテンツ”だと言われており、過激性のあるコンテンツは「自分がどう見られるか」を気にして拡散されづらい一方で、猫の可愛い姿なら安心してシェアできるため、爆発的な拡散力を生むことがあります。
企業がコストをかけて高品質の動画を制作しても、可愛い猫動画に勝てない…という話は珍しくないようです。


犬よりも“猫”が目立つワケ

日本では、従来ペットといえば犬が代表的でしたが、ネット上では猫が圧倒的に注目を集めています。

  • 犬は散歩をきっかけにオフラインでの「犬飼い主コミュニティ」ができやすい一方、猫は室内飼いが多く、飼い主同士の交流はネットに集まりやすい。
  • 犬は犬種ごとの好みが分かれやすいが、猫は「猫ならみんなかわいい!」と広く受け入れられがち。
  • IT系やクリエイティブ職に猫好きが多い傾向があるとも言われ、ネットでの情報発信と親和性が高い。

ライフスタイルの変化

共働きや単身世帯の増加などから、散歩の手間や鳴き声の問題が比較的少ない猫が選ばれるケースが増えているそうです。
これにより犬と猫の飼育頭数は拮抗しつつあり、今後は猫が上回るとの予測もあるそうで、こうした社会背景も「猫人気」を後押しし、ネコノミクス拡大の一因となっています。


猫マーケティング成功のポイント

  • 共感を生む“可愛らしさ”や“癒し”をストレートに打ち出す
    猫=可愛い・SNS映え・シェアされやすいという連鎖を狙い、ビジュアルや商品名、キャンペーンに猫らしさをしっかり盛り込むことが重要。
  • 短期集中で特別感を演出
    ファミリーマートやセブン-イレブンのように「2月22日前後の限定展開」を行うことで、消費者の「今だけ欲しい」「今だけ体験したい」という心理を刺激する。
  • SNSやインフルエンサーとの連携
    猫コンテンツは拡散力が高いため、人気イラストレーターやインフルエンサーを活用し、話題を大きく広げる仕掛けを作ると効果的。
  • 社会貢献や寄付活動と組み合わせる
    フードドライブや保護猫支援などの活動を同時に行うことで、猫好きの共感を得ながら企業イメージを高めることができる。
  • ターゲットのライフスタイル・心理を考慮
    女性やZ世代など、SNSでの拡散力が高い層にアピールするなら、スイーツやグッズなど“映える”アイテムを用意し、イベント終了後もファン化を促す仕組みを整える。

「猫の日」をきっかけに盛り上がるネコノミクスは、SNS拡散力やライフスタイルの変化を背景に、今後もさらなる成長が見込まれています。
上手に取り入れれば、多くの猫ファンとの“共感”と“癒し”の輪が広がり、企業やブランドへの愛着を高めることにつながると考えます。


参考記事
・https://www.advertimes.com/20250217/article489731/
・https://www.advertimes.com/20250218/article489876/
・https://hc.kyodoprinting.co.jp/article/321/