インターネットの普及に伴い、クリニックや病院が公式Webサイトを持つことはますます重要になっていると思います。
自分や家族が病院にかかるとなったら、その病院のことをとりあえず検索してみる方も多いのではないでしょうか。
Webサイトは、患者さんに対する情報提供の場であると同時に、新しい患者さんを集めるための強力なツールです。
しかし、Webサイトの作成にはデザインやコンテンツの作り方、法的な規制など、さまざまなポイントを押さえる必要があります。
今回は、クリニックのWebサイト作成のポイントについてまとめます。
Webサイトの目的とターゲットの明確化
目的の設定方法
まず、Webサイトを作成する目的を明確にします。
目的が定まっていないと、サイトの方向性がブレてしまい、効果的なサイト運営は難しいと考えています。
主な目的としては以下のようなものがあります。
- 情報提供:診療時間、アクセス方法、診療内容など、患者さんに必要な情報を提供する。
- 集患・増患:新しい患者さんを増やすための情報を発信し、予約システムを導入する。
目的を明確にすることで、サイト全体のデザインやコンテンツの方向性が決まります。
ターゲットユーザーの設定
次に、ターゲットとなるユーザーを具体的に設定します。
ターゲットを明確にすることで、どのような情報をどのように提供すべきかが見えてきます。
- 年齢層:小児科であれば親子連れがターゲット、内科であれば幅広い年齢層が対象となる。
- 性別:婦人科なら女性がメインターゲット、泌尿器科なら男性が多い。
- 求めている治療:専門的な治療を求める患者さんには、詳細な治療内容や症例紹介が重要。
ターゲットを具体的に設定することで、患者さんのニーズに合った情報を提供できるようになります。
デザインの基本原則
見やすく、使いやすいデザインのポイント
Webサイトのデザインは、見やすさと使いやすさが重要です。
- 配色:クリニックのイメージに合った色を選びます。
清潔感を出すために白や青を基調とすることが多いです。 - レイアウト:情報を整理し、ユーザーが迷わずに目的の情報にたどり着けるようにします。
トップページには重要な情報を配置し、メニューをわかりやすくします。
ユーザビリティを考慮した設計
ユーザビリティとは、ユーザーがストレスなくWebサイトを利用できるかどうかです。以下の点に注意して設計します。
- ナビゲーションの簡潔さ:メニューはシンプルでわかりやすく、ユーザーが直感的に操作できるようにします。
- レスポンシブデザイン:スマートフォンやタブレットでも見やすいデザインを採用します。多くのユーザーがモバイル端末からアクセスするため、対応が必須だと考えます。
コンテンツの充実
必須コンテンツ
Webサイトに掲載すべき必須コンテンツは下記のように言われています。
- 診療時間・アクセス:最も基本的な情報です。地図や交通手段の詳細も記載します。
- スタッフ紹介:医師やスタッフの写真と経歴を載せることで、患者さんに安心感を与えます。
- 診療内容:どのような診療を行っているか、具体的に説明します。
専門的な治療については特に詳細に記載します。 - お知らせ:休診情報やイベントの告知など、最新情報を発信します。
SEO対策を意識したコンテンツ作り
SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツ作りも重要です。
検索結果で上位に表示されることで、多くのユーザーにサイトを訪問してもらえます。
- キーワードの選定:ユーザーが検索しそうなキーワードを調査し、適切にコンテンツ内に配置します。
- 定期的な更新:ブログやお知らせ欄を活用し、定期的に新しい情報を発信します。これにより、検索エンジンからの評価が高まると考えられます。
医療広告ガイドラインの遵守
医療広告ガイドラインとは?
医療機関のWebサイトは、厚生労働省が定める「医療広告ガイドライン」に従わなければなりません。
違反すると罰則が科されることもありますので、注意が必要です。
遵守すべきポイントと注意点
- 誇大広告の禁止:実際には提供していないサービスを宣伝することや、効果を過剰にアピールすることは禁じられています。
- 特定性のある広告の禁止:特定の医療サービスや製品を明示的に宣伝することは避けます。
ホームページ制作の方法
自作 vs. 制作会社への依頼
Webサイトの制作方法には、自分で作成する方法と制作会社に依頼する方法があります。
それぞれのメリット・デメリットについては下記のように言われています。
- 自作のメリット・デメリット
- メリット:コストが低い、自分のペースで作成することが可能。
- デメリット:専門知識が必要、完成度が低くなる可能性がある。
- 制作会社に依頼するメリット・デメリット:
- メリット:プロのデザインと技術で高品質なサイトが作れる、医療広告ガイドラインの遵守が確実である。
- デメリット:コストが高い、制作に時間がかかる場合がある。
公開前の準備
スマートフォン対応
スマートフォン対応は必須と考えられ、モバイル端末からのアクセスが多い現代では、スマートフォンでも見やすいデザインを採用します。
SEO対策
検索エンジンで上位表示されるためのSEO対策を行います。
キーワードの選定やコンテンツの質を高めることが重要です。
Googleマップ対策
Googleマップにクリニックの情報を登録し、MEO(マップエンジン最適化)対策を行います。
地域での検索結果に表示されることで、集患効果が期待できると考えられます。
予約システムの導入
患者さんの利便性を考え、オンライン予約システムを導入することも検討します。
公開後の運用
定期的な更新とメンテナンス
Webサイトは公開後も定期的な更新とメンテナンスが必要です。
最新情報を提供し、患者さんの信頼を維持することが大切です。
アクセス解析の重要性
アクセス解析を行い、Webサイトの利用状況を把握します。有名なツールとしては下記が挙げられます。
- Googleアナリティクス:Webサイトのアクセス状況を詳細に分析できる。
- Googleサーチコンソール:検索結果での表示状況やクリック率を把握し、改善点を見つけることができる。
印象別のWebサイト事例
温かみ/安心感を表現した病院・クリニックのホームページ
温かみや安心感が伝わるクリニックのWebサイトは、特に女性や子どもを対象としたレディースクリニックや小児科に向いています。
親しみやすさを重視したデザインが特徴です。
古賀クリニック
佐賀にある「古賀クリニック」は「町の保健室」を目指し、形成外科、内科、外科と幅広い診療科を提供しています。
オレンジを基調とした親しみやすいデザインで、医院名にちなんだキャラクターが特徴的です。
見やすいフォントや行間にも配慮され、温かみと安心感を与えるWebサイトに仕上がっています。
清潔感/爽やかさを表現した病院・クリニックのホームページ
清潔感を重視したクリニックのWebサイトは、性別や年齢を問わず好印象を与えます。
神戸元町県庁前クリニック
糖尿病専門の「神戸元町県庁前クリニック」は、青空を背景にした爽やかなデザインが特徴です。
余白を生かしたレイアウトとロゴが印象的で、ローディングアニメーションには聴診器の形を採用しています。
シンプルながらも信頼感を感じさせるWebサイトです。
信頼感/先進性を表現した病院・クリニックのホームページ
信頼感や先進性を重視したクリニックのWebサイトは、患者さんに安心感を与え、医療の質の高さをアピールします。
済生会熊本病院
「済生会熊本病院」は、地域社会に貢献する総合病院で、高度な医療を提供する臓器別センター制を採用しています。
医師の写真や専門的なコンテンツが豊富で、信頼感と先進性を強調しています。
「済生会熊本タイムズ」というコラムページもあり、見応えのあるWebサイトです。
患者さんのほとんどの方が見るであろうクリニックのWebサイトは、医療者の方と患者さんとの大切なコミュニケーションツールであると考えています。
患者さんにとって見やすく使いやすいサイトを作ることが、クリニックのWebサイト作成においては特に重要だと感じます。
参考記事
https://docodoor.co.jp/staffblog/hospital2211/
https://itreat.co.jp/blog/web-4337