「プレスリリースを出したけれど、その後どんな形で報道されたのかわからない」「SNSで自社の口コミを追いきれず、不安に感じている」──こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?
今回は、広報活動の基盤ともいえる「クリッピング」という業務についてご紹介します。
自社がどのように世間で扱われているかを正確に把握し、“勝てる広報活動”を目指すための第一歩についてまとめます。
クリッピングとは何か?
クリッピングとは、自社や業界に関連する“メディア掲載情報”を収集・整理する業務のことを指します。
具体的には、新聞・雑誌・ウェブニュース・SNSなどにおける「自社の掲載・言及情報」をピックアップし、それを元に社内で共有・分析する作業です。
クリッピングの主な役割
- メディア露出状況の把握
どのような記事やSNS投稿で自社が取り上げられているかを知ることで、広報活動の成果を確認できます。 - ブランドイメージの分析
報道内容や口コミの傾向を分析し、ポジティブ・ネガティブ両面から自社イメージを正しく捉えることができます。 - リスク管理
風評や誤った情報をいち早くキャッチし、炎上を防ぐための対策を立てることが可能となります。
クリッピングが広報活動にもたらす
メリット
プレスリリースの効果検証
「どこに掲載されたのか? どう報道されたのか?」といった情報を得ることで、次のプレスリリースの内容や発信方法をより効果的にブラッシュアップできます。
取材対応の方針づくり
どのメディアが自社に興味を持ってくれているかを把握し、取材依頼があった際に最適な対応方針を検討できます。
過去にそのメディアでどのように取り上げられているかを参照し、準備を整えられるのも大きなメリットです。
社内での情報共有
経営陣や関連部門に向けて、定期的にクリッピングした情報を報告すれば、部門横断的な広報戦略が立てやすくなります。
また、社内のモチベーションアップにもつながると言われています。
クリッピングで陥りがちな失敗例
情報量が多すぎて分析が追いつかない
小売りや飲食など消費者向けビジネスの場合、SNSやメディア露出が膨大で、すべてを追いきれずに「結局何が大事なのかわからない」という事態に陥りがちです。
収集基準やキーワードの設定を明確にしないまま、多くの情報を取り込みすぎてしまうケースです。
情報が少なすぎて広報成果を見落とす
逆に、中小企業や新興企業の場合、そもそも露出が少なく、「自社が取り上げられたかどうかすらわからない」という失敗も。
メディアの網羅性が低いと、せっかく掲載された情報を見落としてしまい、正しい広報評価ができなくなってしまいます。
社内基準がバラバラ
複数の担当者が同時にクリッピングを行っていると、記事を拾う基準が統一されないことがあります。
必要以上に細かい情報を集めすぎてしまう一方で、本来重要な情報が抜け落ちるなど、バラツキが生じやすくなります。
効果的なクリッピングを行うポイント
- 目的・目標の明確化
「プレスリリースの効果測定をしたいのか?」「リスク管理を重視したいのか?」など、クリッピングの目的をはっきりさせます。 - 情報の絞り込み
メディアの種類、キーワード、期間など、収集範囲を明確に定めることで本当に必要な情報が手に入るようにします。 - 選定基準の共有・統一
チーム内でクリッピング基準を統一し、ダブりや漏れを防ぎます。
「どこまで取り上げるのか・どこから省くのか」という除外基準も同時に設定しておくとよいと言われています。 - 継続的なレビュー&改善
定期的にクリッピングの結果を振り返り、情報の精度や必要性をチェック。必要に応じてキーワードや媒体の選定を見直します。 - 専門サービスの活用
自社だけでは追いきれない場合や、人的リソースが不足している場合は、クリッピングを専門とするサービスの導入を検討することも重要です。
大手では数千媒体を目視チェックしているケースもあり、網羅性と正確性が高まります。
中小企業こそクリッピングが
重要になる理由
- 少ない露出情報を活かすため
大企業のように露出数が多いわけではないからこそ、少ないチャンスを一件一件正確に捉え、成果を最大化する必要があります。 - リスクを最小限に抑えるため
ネガティブ情報が発信されても、早期発見&対策ができれば炎上やブランド毀損のリスクを大幅に抑えられます。 - コストを意識した戦略に役立つ
広報施策にコストをかけられる範囲が限られているからこそ、クリッピングで実施した取り組みの効果を測定し、最小の投資で最大の効果を狙う戦略づくりにつなげられると考えます。
広報活動の基盤となる「クリッピング」は、単に情報を集めるだけでなく、それをいかに戦略的に活かすかが重要です。
自社が世間からどのように見られているのかを正しく把握することで、今後の広報活動やマーケティング施策の方向性をしっかりと見極めることができると考えます。
参考記事
・https://www.advertimes.com/20241227/article484154/