こちらの記事によると、今年のトレンドカラーは「ピーチファズ」だそうです。
トレンドカラーは、時代の空気を捉え、消費者の心を掴むために重要な役割を果たすと言われています。
しかし、トレンドカラーを効果的に広告に取り入れるのは、相当なセンスがないと容易ではないと感じています。
今回は色が人間の心理にどのように作用し、トレンドカラーが消費者の購買意欲やブランド認知にどのように影響を与えるのかを、少し掘り下げてみようと思います。
色の心理効果の基礎
色は、人間の感情や行動にストレートに影響を与える非常に強力なコミュニケーションツールです。
色彩心理学によれば、特定の色は特定の感情や反応を引き出す傾向があります。
例えば、赤色は情熱や活力を象徴し、緊急感や注意を促す効果がある一方で、青色は安心感や信頼を与える色とされ、多くの企業がブランドイメージの構築に利用しているといった具合です。
赤色
エネルギー、情熱、興奮、危険。
赤は食欲を刺激し、行動を促す効果があることから、セールやプロモーション広告によく使われます。
青色
平和、信頼、安定、冷静。
青は心を落ち着かせ、集中力を高める効果があるため、テクノロジーや金融サービス業界で好まれます。
黄色
幸福、楽観、警告。
黄色は目を引きやすく、ポジティブな印象を与える一方で、過度に使用すると不安を感じさせることもある色です。
緑色
成長、健康、再生。
自然を連想させ、エコロジー関連の製品や健康食品のマーケティングに効果的です。
広告制作において、こういった、色の心理的効果を理解することは、極めて重要です。
トレンドカラーを取り入れる際も、これらの基本的な心理効果を考慮することで、目的に合った色を選択し、消費者の反応を最適化することが可能になります。
トレンドカラーの重要性
トレンドカラーは、単に時代のトレンドを反映するだけでなく、消費者の心理に深く訴えかける力を持っており、
社会的、経済的、文化的な動向を映し出し、人々の現在の心境や価値観に密接に関連しているため、
広告やブランディングにトレンドカラーを取り入れることで、効果的にターゲットオーディエンスとの強い共感を生み出し、彼らの注意を引きやすくすることができます。
トレンドカラーを広告に取り入れるメリットは多岐にわたりますが、特に重要なのは、ブランドが現代的であるという印象を消費者に与えることができる点です。
最新のトレンドに敏感な消費者は、トレンドを取り入れた広告により強く惹かれ、そのブランドに対してポジティブな印象を持ちやすくなります。
さらに、トレンドカラーは特定の季節や時期に関連付けられることが多く、季節ごとのプロモーションやキャンペーンに利用することで、タイムリーかつ関連性の高いメッセージを伝えることができるのです。
しかし、トレンドカラーを取り入れる際には、それが自社のブランドアイデンティティやメッセージと調和していることを確認することが重要です。
ブランドの個性を損なわず、かつトレンドに敏感な消費者の関心を引くバランスを見つけることが、成功への鍵となるでしょう。
トレンドカラーを取り入れるステップ
広告にトレンドカラーを効果的に取り入れるためのポイントを挙げてみます。
- 市場のトレンドを調査する
ファッション、インテリアデザイン、アートなど、異なる産業でのトレンドを調査し、色の使用傾向を把握します。
この情報は、消費者が現在関心を持っているカラーを理解するのに役立ちます。
- 文化的、社会的な意味を理解する
その色が持つ文化的、社会的な意味を理解することも重要です。
色は、国や文化によって異なる感情や価値を表すことがあり、その意味を理解することで、ブランドメッセージをより効果的に伝えることができます。
- 業界の情報や専門家の意見を参照する
プルミエールビジョン※のようなイベントや、色彩専門家、トレンド予測機関のレポートは、次のシーズンのトレンドカラーを予測する貴重な情報源です。
これらの専門知識を活用して、自社のブランド戦略に合うトレンドカラーを選定します。
※プルミエールビジョン・・・世界最大級のファッションとテキスタイルの専門見本市。業界の専門家が最新トレンドを発見し、ビジネスの機会を探るための重要なプラットフォームとなっている。
- ブランドアイデンティティとの整合性を確認する
最終的に選ばれたトレンドカラーが、ブランドのアイデンティティや既存のカラーパレットと調和しているかどうかを検討します。
トレンドに敏感でありつつも、ブランドの個性を維持することが重要です。
以上のような方法を用いることで、ターゲットオーディエンスに響く、時代に合ったカラーを見つけ出し、その効果を最大限に引き出すことができると言われています。
広告におけるトレンドカラーの応用例
トレンドカラーを広告に取り入れることは、ターゲットオーディエンスの注目を集め、ブランドメッセージを強化する効果的な方法です。
昨年、pantoneが発表した2023年のトレンドカラーの一つ「ビバ・マゼンタ」は、蔦屋書店でのアーティスト展示のテーマとして使用されていました。
(【ARTIST NEWS】2023年の流行色“ビバマゼンタ”をテーマにしたイラストレーター・ともわかによる2年ぶりの作品展「Viva」を開催|蔦屋書店)
また有名ブランドのファッションにも取り入れられています。
(今すぐ実践したい!2023年トレンドカラー“ビバ マゼンタ”の上手な取り入れ方【2023年春夏トレンド】|WWD Japan)
トレンドカラーを取り入れる際の注意点
トレンドカラーを広告やブランディングに取り入れる際の注意点としては、一般的に以下のようなことが言われています。
- ブランドイメージとの一貫性
トレンドカラーを選択する際は、常にブランドイメージとの一貫性を保つことが重要です。
トレンドに乗ることも大切ですが、ブランドのアイデンティティや価値観と矛盾する色を使用すると、混乱を招く可能性があります。
- ターゲットオーディエンスの感性に合わせる
広告の目的は、ターゲットオーディエンスにリーチし、関心を喚起することです。
そのためには、トレンドカラーを使用する際に、ターゲットオーディエンスの年齢層、性別、文化的背景など、さまざまな要因を考慮することが重要になります。
- 過度の使用を避ける
トレンドカラーを効果的に使用するには、過度に頼るのではなく、バランスを取ることが重要です。
色はメッセージを強化するためのものであり、消費者が圧倒されるような使用方法は避けるべきです。
- 季節性とトレンドの変動を考慮する
トレンドカラーは、季節や年によって変わります。
広告キャンペーンやブランディング戦略を計画する際は、展開時にトレンドカラーが既に時代遅れになってしまっていないかを考慮する必要があります。
重要なのは、トレンドに敏感でありながらも、ブランドの核となるアイデンティティを忠実に表現することだと言えそうです。
今回は、トレンドカラーと広告の関係、そしてビジネスに取り入れる方法について考えてみました。
自社のブランドイメージとの一貫性を保ちつつ、ターゲットオーディエンスの感性に合わせること、そして、トレンドに敏感であることのバランスを取ることが大切だと感じました。