「涼しさ」を演出するウェブデザインの秘訣:視覚で涼を感じる工夫とは

今年はとんでもなく暑いですね。
2024年の7月は、1898年以降で最も暑い7月として記録されたそうです。
こうした中、インターネット上で少しでも涼しさを感じられるウェブサイトがあれば、ユーザーにとって心地よい体験になりそうです。

今回は、ウェブデザインを通じて「涼しさ」を演出する方法について、具体的な要素や事例を交えながら考えたいと思います。


1. 色彩:涼しさを感じさせる配色

ウェブデザインにおいて、色彩は視覚的な涼しさを演出する最も重要な要素の一つです。
涼しげな印象を与える色使いには、以下のようなポイントがあります。

  • 寒色系の活用:青や緑を中心とした寒色系の色彩は、視覚的に冷たさや爽やかさを連想させます。特に水や空を想起させる青系の色は、効果的に涼しさを表現できます。
  • 淡い色調の採用:鮮やかな色よりも、淡い色調を選ぶことで、より涼しげな印象を与えることができます。パステルカラーや淡いトーンの色彩を使用することで、優しく清涼感のあるデザインが実現します。
  • 白や淡いグレーの活用:背景色に白や淡いグレーを使用することで、清潔感と広がりを感じさせ、全体的に涼しげな印象を醸成します。

ただし、色彩の選択においては、ブランドカラーとの調和も考慮する必要があります。
クライアントのブランドイメージを損なわない範囲で、涼しさを演出する色使いを工夫することが重要です。


2. ビジュアル要素:
涼を感じる画像と素材の選び方

適切なビジュアル要素の選択は、ウェブサイトに涼しさを演出する上で非常に効果的です。

  • 自然の風景:水辺や森林、山岳地帯などの涼しげな自然の風景写真を使用することで、視覚的に涼しさを感じさせることができます。
  • 水や氷のイメージ:水滴や氷、波紋などの画像は、直接的に涼しさを連想させる効果があります。
  • 透明感のある素材:ガラスや水晶のような透明感のある素材を用いたビジュアルは、清涼感を演出するのに適しています。

これらのビジュアル要素を効果的に配置することで、ユーザーに涼しさを感じさせる視覚的な刺激を提供できます。


3. レイアウトと余白:
視覚的な軽さを生み出す設計

ウェブページのレイアウトと余白の使い方も、涼しさの演出に大きく寄与します。

  • シンプルで整然としたレイアウト:要素を最小限に抑え、整理されたレイアウトを採用することで、視覚的な煩雑さを排除し、涼しげな印象を与えることができます。
  • 十分な余白の確保:要素間に適切な余白を設けることで、画面全体に軽やかさと開放感をもたらします。これにより、ユーザーは視覚的な圧迫感から解放され、涼しさを感じやすくなります。
  • グリッドシステムの活用:整然としたグリッドデザインを採用することで、要素の配置が整理され、視覚的にスムーズな流れを作り出すことができます。

4. アニメーションと動き:
涼しさを感じさせる視覚効果

適切に設計されたアニメーションや動きは、ウェブサイトに涼しさを演出する上で効果的です。

  • 自然の動きの模倣:水の波紋や風に揺れる葉のような、自然界の涼しげな動きを模倣したアニメーションを取り入れることで、視覚的な涼しさを演出できます。
  • 滑らかな遷移効果:ページ遷移やスクロール時に滑らかなアニメーションを用いることで、ユーザーに軽やかさと心地よさを感じさせることができます。
  • 控えめな動きの採用:過度に派手なアニメーションは逆効果となる可能性があるため、控えめで洗練された動きを心がけましょう。

5. タイポグラフィとコントラスト:
読みやすさと視覚的涼しさの両立

タイポグラフィの選択とコントラストの設定も、涼しさを感じさせるデザインに寄与します。

  • 軽やかなフォントの選択:細めのサンセリフフォントや、適度な字間を持つフォントを選ぶことで、視覚的な軽さを演出できます。
  • 適切なコントラスト:背景色と文字色のコントラストを適切に設定することで、読みやすさを確保しつつ、視覚的な涼しさも演出できます。
  • 階層的なタイポグラフィ:見出しや本文、リンクテキストなどに明確な階層を設けることで、情報の整理された印象を与え、ユーザーの視覚的ストレスを軽減すると考えます。

6. 涼しさを演出する
ウェブデザインの実例

ここでは、涼しさを効果的に表現している3つのウェブサイトを紹介します。

1. 株式会社秋田屋 – 透明感と動きで演出する涼やかさ

株式会社秋田屋のウェブサイトは、お酒を取り扱う企業のサイトとして、涼しさを巧みに表現しています。

  • メインビジュアル:透明感のある淡い水色の背景に、お酒のビジュアルが流れるアニメーションを採用。この表現は「ひんやり・冷たい」感覚を視覚的に伝え、夏に飲みたくなるような喉越しの良さと美味しさを想起させます。
  • テキストアニメーション:文字のフェードイン・フェードアウト効果と、コンセプトタイトルの微妙な波打ち効果が、さらなる涼しさを演出しています。
  • カラースキーム:白を基調とし、テキストは黒でまとめられています。各ページの見出しには、色相を落とした加工が施された写真が使用され、サイト全体の淡さと統一感を保っています。

https://www.akita-ya.com/より引用

このデザインは、視覚的な涼しさと製品の魅力を巧みに結びつけ、ユーザーの購買意欲を刺激する効果的なアプローチとなっています。


2. 海遊館 – 没入感のある涼しい体験

海遊館のウェブサイトは、ユーザーを水中世界へ誘う没入感のあるデザインを採用しています。

  • スクロールアニメーション:ページをスクロールすると、だんだんと深海に潜っていくような視覚効果が施されています。この表現は、実際に水中にいるかのような涼しさを感じさせます。
  • 色彩グラデーション:浅い海から深海へと変化していく色彩のグラデーションは、水の深さと温度の変化を視覚的に表現し、涼しさを強調しています。

このデザインは、海遊館という施設の特徴を活かしながら、ウェブサイト自体も体験の一部となるような工夫がなされています。


3. アサヒスーパードライ 「エクストラコールド」 – コントラストで表現する極寒の涼しさ

アサヒスーパードライ エクストラコールドのサイトは、氷点下ビールの冷たさを視覚的に表現しています。

  • コントラスト:黒い背景と白い冷気のコントラストが、ビールの「キレ」と涼しさを強烈に印象付けています。
  • アニメーション効果:Flashを用いて表現された冷気のアニメーションは、ビールの冷たさを視覚的に強調し、シズル感を高めています。
  • 製品イメージの統合:デザイン全体が「氷点下」というコンセプトと完全に一致しており、製品の特徴を視覚的に伝えることに成功しています。

https://www.asahibeer.co.jp/superdry/extracold/より引用

このデザインは、製品の特徴(極度に冷えたビール)を視覚的に表現することで、ユーザーの感覚に直接訴えかける効果的なアプローチとなっています。


これらの事例は、それぞれ異なるアプローチで「涼しさ」を演出していますが、いずれも視覚的要素を巧みに活用し、ユーザーに強い印象を与えることに成功しています。


ウェブデザインを通じて「涼しさ」を演出することは、単なる視覚的な工夫以上の意味を持ちます。
適切に設計された「涼しげな」ウェブサイトは、ユーザーに心地よい体験を提供し、結果としてブランドへの好印象や滞在時間の延長につながる可能性があります。

色彩、ビジュアル、レイアウト、アニメーション、タイポグラフィなど、さまざまな要素を適切に組み合わせることで、効果的に涼しさを演出するウェブデザインが実現できます。
これらの要素を導入する際は、ブランドイメージや提供するコンテンツとの整合性を常に意識することが重要だと考えています。


参考記事
https://www.order-nobori.com/support/color/advertising_color_cool.php
https://www.goodsalespromotion.jp/blog/20190409_5767