クリエイティブブリーフという言葉をご存知でしょうか？
広告制作やマーケティングキャンペーンに携わる人にとって、このツールは欠かせない存在で、プロジェクトの成功に導くために必要な情報を整理し、明確にする役割を果たします。
本記事では、クリエイティブブリーフの基本的な構成要素や作成時の注意点について初心者にもわかりやすく解説します。
クリエイティブブリーフとは？
クリエイティブブリーフとは、広告制作やマーケティングプロジェクトを進める際に必要な情報をまとめたドキュメントのことで、プロジェクトの目標、範囲、期待される成果を明確にし、チームメンバー全員が同じ方向を向いて作業を進めるための指針となります。
クリエイティブブリーフを用いることで、プロジェクトが進行する中でコンセプトが逸れていくのを防ぎ、目標達成に向けて効率的に作業を進めることができると言われています。
クリエイティブブリーフの基本構成要素
クリエイティブブリーフには、以下のような要素が含まれます。
広告の目的
広告キャンペーンやマーケティング戦略の最終的な目標を定義します。
これには、製品認知の向上、リードの獲得、売上の増加など、具体的かつ測定可能な目標が含まれます。
例えば、「○○と言えば△△だというイメージを定着させる」といった具体的な目標を設定します。
ターゲット
ターゲットの属性や価値観、趣味など、キャンペーンが対象とする人物像を設定します。ターゲット分析には以下のような切り口があります。
- デモグラフィック属性: 年齢、性別、年収など
- サイコグラフィック属性: 価値観、趣味嗜好、購買の動機など
- ジオグラフィック属性: 居住地域の天候や文化の発達度など
- ビヘイビオラル属性: 商品の購入履歴など
現状の認識
ターゲットが現在どのようにブランドや製品を見ているかを定義します。
ターゲットの行動やブランドイメージを明確にし、定量調査や定性調査で言語化します。
将来像
キャンペーンで最も重要なメッセージを明確にし、それがターゲットにどのように伝わるべきか、キャンペーンを通じてどのような認識や行動の変化を促したいかを定義します。
コンシューマーインサイト
ターゲットオーディエンスの深層にある動機や信念を掘り下げ、彼らがなぜ特定の行動を取るのかを解析します。
ターゲットの欲求やニーズに訴えるポイントを明確にします。
伝えるメッセージ
ターゲットの心のツボを押さえた具体的なメッセージを考えます。
例えば、「ブランドの商品やサービスを利用することで、ターゲットの○○が解消できる」といった形で、ブランドが提供する価値を明確に伝えます。
メッセージの根拠
ブランドが発信するメッセージに納得できる根拠を書きます。
商品やサービスの性能、企業のイメージなどがこれにあたります。
トーンとマナー
広告をどのような見せ方や語り口で伝えるのかを書きます。
ターゲットに対して効果的にメッセージを伝えるためのトーンやスタイルを明確にします。
クリエイティブブリーフを作成する際の注意点
明確な目標設定
クリエイティブブリーフを作成する際は、プロジェクト全体の目標を明確に定義することが重要です。
設定した目標はプロジェクトの進行方向を示す指標となり、すべてのメンバーが共通の理解を持って行動できるようにすることが大切です。
詳細なターゲット分析
ターゲットを特定し、その特性、ニーズ、行動パターンを出来るだけ詳細に分析することが重要です。
ターゲットのメディア利用状況や反応するメッセージも検討します。
明確なメッセージ
クリエイティブブリーフには、キャンペーンを通じて伝えたいメッセージを含めます。
このメッセージはターゲットに共感を呼び、具体的な行動を促す内容であることが大切です。
戦略的アプローチ
使用するメディアやチャネル、コンセプト、キャンペーンの期間など、プロジェクトの戦略的なアプローチに関する情報を含めること大切です。
これにより、プロジェクトチームはキャンペーンの計画を具体的に理解し、効率的に作業を進めることができます。
制約事項の明確化
予算や時間、リソース、法的制約など、プロジェクトを進める上で直面する可能性のある課題を明確にしておくことが大切です。
評価基準の設定
プロジェクトの成功をどのように測定するかを定義する評価基準も含めます。
評価基準は具体的で測定可能である必要があります。
クリエイティブブリーフの例
今回はクリエイティブブリーフの例として、架空のカフェを基に考えてみます。
大阪・難波に、架空のカフェ「Cafe SAKURA」があるとして、クリエイティブブリーフの例を考えてみました。
企業概要
企業名: Cafe Sakura
業界: カフェ・飲食
所在地: 大阪市難波
クリエイティブブリーフ
広告の目的
- カフェの新メニューの認知度向上
- 新規来店客の増加
- 売上の15%増加
ターゲット
- デモグラフィック属性: 20～40歳の男女、学生や若いビジネスパーソン
- サイコグラフィック属性: カフェ文化に興味があり、SNSでの情報発信を積極的に行う層
- ジオグラフィック属性: 大阪市内、特に難波周辺在住または通勤・通学している人
- ビヘイビオラル属性: 新しいカフェやメニューを試すことに積極的で、SNSでシェアする習慣がある
現状の認識
- 現在、Cafe Sakuraは難波周辺のカフェの中で認知度が低い
- 一部のターゲット層はCafe Sakuraを知っているが、訪れたことがない
将来像
- Cafe Sakuraが「難波の隠れ家カフェ」として広く認知され、SNSで話題になる
- 新メニューが人気となり、リピーターが増える
コンシューマーインサイト
- カフェ巡りが趣味で、おしゃれな空間や美味しいコーヒーをSNSにアップしたいという欲求
- 友人や恋人と一緒にくつろげる場所を探しているニーズ
伝えるメッセージ
- 「Cafe Sakuraは、心地よい空間と特製スイーツで、あなたのカフェタイムを特別なものにします。難波の隠れ家カフェで、贅沢なひとときを過ごしませんか？」
メッセージの根拠
- 店内のデザインは落ち着いた雰囲気で、居心地が良い
- 特製スイーツやドリンクメニューは、地元の食材を使用し、丁寧に手作りしている
- 来店客の満足度が高く、リピーターが多い
トーンとマナー
- トーン: 親しみやすく、温かみのある語り口
- マナー: シンプルで分かりやすく、親しみやすい言葉を使用
いかがでしょうか？架空のカフェですが、クリエイティブブリーフを記述することで、カフェが目指す方向性がはっきりとしたのではないでしょうか？
クリエイティブブリーフは、広告制作やマーケティングキャンペーンの成功に不可欠なツールです。
クリエイティブブリーフを効果的に活用することで、プロジェクトの方向性を明確にし、目標達成に向けて効率的に作業を進めることができると考えています。