デザイン思考の応用:フードロス問題に対するアプローチ

こちらの「デザイン思考×ビジネス案|フードロス問題の解決目指す」という朝日新聞の記事を読みました。

最近、コンビニやスーパーで「てまえどり」のPOPを見かけます。
フードロスの観点から、農林水産省は、小売店舗が消費者に対して、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかける取組みを推奨しています。



フードロスは、世界中で深刻な問題となっていると言われています。
食品の大部分がさまざまな理由で捨てられ、これは単に食べ物の無駄遣いだけでなく、環境への影響、経済的な損失も大きい問題だそうです。
特に、食品を扱うビジネスにとっては、フードロスの削減は避けて通れない課題と言われています。


以前、「デザイン思考」に関する記事を書いたのですが、この「デザイン思考」を使って、フードロス問題に対してアプローチしている企業があるそうです。


今回はデザイン思考を使った、フードロス対策への取り組みについてご紹介します。


デザイン思考とは

「デザイン思考」とは、問題解決のためのアプローチで、ユーザーのニーズや経験に焦点を当て、共感と創造性を用いて新しい解決方法を生み出すことを目指します。
デザイン思考のプロセスについてはこちらの記事でご紹介していますので、こちらでは簡単にまとめます。


共感

ユーザーの視点に立ち、彼らの経験やニーズ、課題を深く理解することからスタートします。

問題定義

収集した情報をもとに、解決すべき核心的な問題を明確に定義します。

アイデア出し

問題に対する様々な解決策を自由に発想し、多様なアイデアを出します。

プロトタイピング

アイデアを具体的な形にし、小規模なモデルや試作品を作成します。

テスト

試作した商品やサービスを実際のユーザーに試してもらい、フィードバックを受けながら解決策を洗練させていきます。


複雑で多面的な課題に対して、デザイン思考を使うことにより、より実用的な解決策を提示することができると言われています。


フードロスへの応用

デザイン思考をフードロス削減に応用している事例を紹介します。

・kuradashi:ECサイト
クラダシは、賞味期限が近いなど通常の販売が難しい商品を買い取り、割引価格で販売することでフードロス削減に貢献しています。
新しい「1.5次流通」というマーケットを創出したと言われ、消費者は大幅に割引された価格で購入でき、さらに寄付を通じて社会貢献もできるという特徴があります。
このサービスは約7年で利用者数35万人、パートナー企業数990社を超え、フードロス削減に加え、売上の一部を社会貢献活動に寄付する仕組みも設けています。「たのしく・やさしく・おやすく」をキーワードに、サービスの認知拡大と利用者獲得を目指しています。

https://kuradashi.jp/より引用


株式会社Beer the First:クラフトビール
株式会社Beer the Firsは、食品ロスを減らそうと、捨てられてしまう食材を原料にクラフトビールを製造しています。廃棄率が高いとされる「パン」をはじめ、災害備蓄用のアルファ米やラーメンの麺の切り端を使ったビールも開発しています。

https://beerthefirst.com/より引用


・バリュードライバーズ株式会社:tabeloop(たべるーぷ)
バリュードライバーズ株式会社が運営している「tabeloop(たべるーぷ)」は、産地ロスの削減に力を入れています。
豊漁や豊作により市場が見つからない農水産物を、外食チェーンや食堂、地域の祭りなどに販売するためのプラットフォームを提供しています。
収益の一部は、FAOなどが行う世界の飢餓問題解決のための活動への寄付に充てられています。

https://tabeloop.me/ より引用


・株式会社ビューティフルスマイル:ロスゼロ
株式会社ビューティフルスマイルが提供する「ロスゼロ」は、食品の製造や流通過程で生じるフードロスを、その背景にあるストーリーと共に消費者へ届けています。

https://eleminist.com/article/486より引用


クラダシ×Goodpatchによる
デザイン思考ワークショップでの取り組み

冒頭でご紹介した記事では、専修大学の学生さんが、デザイン思考を用いて、フードロス問題を解決するビジネスプランを考えていました。

詳しいデザイン思考の流れについて、こちらのnoteでもご紹介されていました。

https://note.com/kuradashi/n/n72bb8ed5935a

行ったデザイン思考のアプローチが詳しく紹介されています。

「関係するステークホルダー(企業のあらゆる利害関係者)の洗い出し」
ステークホルダーのペイン(困りごと・不満)の洗い出し」
「課題解決に最も重要なステークホルダー(対象者)と、ペインの選定・深堀り」
「課題解決のアイデア検討」
など、かなり具体的に行われたデザイン思考のステップについて紹介されていますので、興味のある方はぜひご覧いただければと思います。



今回はデザイン思考を使ったフードロス対策の例をご紹介しました。
クラダシ×Goodpatchによるデザイン思考ワークショップの内容がかなり具体的で、自社ビジネスにも活かしていけたらと感じました。