私たちの生活は、スマートフォンやSNSなどのデジタルデバイスと切っても切れない関係になっています。
その便利さの一方で、「SNS疲れ」や「スマホ依存」といった問題が社会的な課題として浮上してきました。
特にコロナ禍での在宅時間の増加は、こうした状況に拍車をかける結果となったかと思います。
このような背景から、近年注目を集めているのが「デジタルデトックス」です。
スマートフォンやパソコンから意識的に距離を置き、デジタル機器に頼らない時間を作る試みが、日本でも徐々に広がりを見せています。
デジタルデトックスが
もたらす効果
デジタルデトックスとは、デジタル機器の利用を一時的に控え、本来の自分の生活や体験に焦点を当てる取り組みです。
実践者からは、集中力が高まる、ストレスが軽減される、睡眠の質が向上したといった声が多く聞かれているそうです。
海外では既に、デジタルデトックスを目的としたツアーやキャンプなど、グループでの活動として定着しつつあるそうです。
この動きは、日本企業にとっても新たなビジネスチャンスを示唆していると考えます。
企業のマーケティング戦略における
デジタルデトックスの意義
興味深いことに、デジタル依存が社会問題化する中で、ユーザーの間では「必要のない通知は受け取りたくない」「SNSの利用時間を制限したい」という意識が高まっているのだそうです。
この変化は、企業にとって新たな機会をもたらしています。
デジタルデトックスの考え方を取り入れることで、企業は「顧客思いのブランド」としての評価を得られ、「ユーザーの時間を大切にする姿勢」が競合との差別化ポイントとなり得ると言われています。
実践企業に見る
デジタルデトックスマーケティング
このトレンドを先取りする形で、既にいくつかの企業が革新的な取り組みを始めています。
例えば、韓国のT Factoryが実施した「デジタルデトックスPOPUP」は、現代人の課題に効果的にアプローチした事例として注目を集めています。
このPOPUPでは、来場者は入場時にスマートフォンをスタッフに預け、強制的にデジタル機器から解放される仕組みを採用。
代わりに読書やクイズなど、スマートフォンに頼らない娯楽を提供することで、新しい体験価値を創出しました。
特に会場のテーマとして温泉やサウナを採用したことは、自然とデジタルデバイスから離れられる環境として、参加者から高い共感を得たそうです。
また、イギリスのバス用品メーカーLushは、2020年にデジタルデトックスキャンペーンを展開しました。
一定期間SNSの使用を控えることを呼びかけながら、その代替として自社製品を使用したリラックス体験を提供。
一見すると逆説的に思えるこの戦略は、むしろブランドの認知度を高め、消費者との信頼関係を強化することに成功したと言われています。
引用元：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000437.000006160.html
これらの事例は、デジタルデトックスを単なる「デジタルからの離脱」ではなく、新しい体験や価値の提供につなげている成功例だと思います。
「通知を減らす」という
新しい企業戦略
一見すると逆説的に思えるかもしれませんが、企業があえて顧客との接点を減らすことは、長期的な信頼関係の構築につながる可能性があると言われています。
例えば、プッシュ通知やメールマガジンの配信頻度を適切に調整することで、ユーザーの負担を軽減し、より持続的な関係を築くきっかけになると考えます。
具体的な取り組みとしては、以下のような例が挙げられます
- アプリ内で通知の頻度をカスタマイズできる機能の実装
- キャンペーン期間外は通知を最小限に抑える運用方針
- ユーザーが自由に配信内容や頻度を選択できるメール配信システム
- デジタルデトックスの実践に応じたポイント付与プログラム
もちろんこの戦略を導入する際は注意も必要で、接触頻度を下げすぎると、重要な情報が顧客に届かなくなったり、潜在顧客へのアプローチ機会を逃したりするリスクもあります。
現代社会に求められているのは、「適切なデジタルとの距離感」だと思います。
企業は顧客のウェルビーイングを考慮しながら、デジタルコミュニケーションの最適なバランスを模索していく必要があると考えます。
参考記事
・https://www.advertimes.com/20240919/article473324/
・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000437.000006160.html