エモーショナルデザイン:ユーザーの感情に寄り添う方法

エモーショナルデザインという言葉を聞いたことがありますか?
エモーショナルデザインとは、視覚的な要素や操作性に加えて、ユーザーの感情に働きかける感情的なデザインアプローチのことです。
エモーショナルデザインの重要性は年々高まっていると言われており、機能や使いやすさだけで差別化が難しくなっている現代において、ユーザーの感情に働きかけるデザインが求められています。


今回は、エモーショナルデザインとは何か、その必要性、実践方法についてまとめます。


エモーショナルデザインとは?

エモーショナルデザインとは、見た目のトーンや使いやすさに加え、ユーザーの感情に寄り添った情緒的なデザインを行う手法です。
この考え方は、アメリカの認知科学者ドナルド・ノーマン氏によって提唱されたものであり、エモーショナルデザインの目的は、ユーザーにポジティブな感情を与え、プロダクトを長く使い続けてもらうことだと言われています。


エモーショナルデザインの必要性

現代のアプリ市場は非常に飽和しており、ユーザーは多数の選択肢からお気に入りを選び、簡単に乗り換えることができる時代です。
そのため、エモーショナルデザインは、ユーザーのロイヤリティを高め、製品やサービスの継続利用を促すために重要だと考えます。
また、ポジティブな感情を引き出すことで、他の製品との差別化を図ることができると考えられ、さらに、ユーザーに愛される製品になると言われています。


ユーザーが製品・サービスの
良し悪しを決める3つの処理レベル

ノーマン氏は、エモーショナルデザインでは本能レベル、行動レベル、内省レベルの3つの処理レベルでデザインしなければならないと述べています。

本能レベル

外観に対する第一印象やフィーリング
色や形がユーザーの五感に働きかけます。

行動レベル

実際に使った時の使い勝手や効果
ユーザービリティや機能性が評価されると言われています。

内省レベル

総合的な体験が自己イメージや個人的満足感に与える影響。
「このプロダクトを使っている自分が好き」と感じさせることが重要です。


エモーショナルデザインの事例

Spotifyの事例

Spotifyは、エモーショナルデザインの3つの処理レベルを活用しています。

  • 本能レベル: シンプルで美しいデザイン、没入感を持たせるビデオ背景や歌詞表示。
  • 行動レベル: パーソナライズされたプレイリスト、ユーザーの好みを理解する高度なデータ分析。
  • 内省レベル: 年末の「Spotifyまとめ」など、ユーザーが自己満足を感じる工夫。

Slackの事例

Slackはビジネスチャットツールの中でもエモーショナルデザインが優れています。

  • リアクション機能: 絵文字での反応、オリジナル絵文字の追加。
  • 警告メッセージの工夫: 丁寧でユーザーに寄り添ったメッセージ。

Uber Eatsの事例

Uber Eatsは、他のデリバリーアプリに比べてエモーショナルデザインが優れています。

  • 統一された料理写真とバナー: 清潔感と遊び心を感じるUI。
  • 配達状況の透明性: 予想到着時刻や配達員の場所が確認できる機能。
  • ポップな雰囲気のUI: 若い人に支持されるデザインだそうです。

エモーショナルデザインを
実践するポイント

エモーショナルデザインを取り入れる際のポイントを以下に示します。

客観的にユーザーの感情を捉える

ユーザーリサーチを行い、開発者の主観ではなく、客観的にユーザーの感情を理解することが重要です。
ユーザーに評価してもらい、フィードバックを元に改善を行うことが大切です。

ユーザビリティを向上させる

ネガティブな感情を回避するために、プロダクトの構成やフローをシンプルにし、待ち時間やエラーの発生時には適切なメッセージを表示するなどの工夫も重要です。

ユーザーの感情にアプローチしやすい機能を活用する

  • マイクロコピー / UXライティング: ユーザーの気持ちに寄り添う文章で、次のアクションを促すことが重要です。
  • ゲーミフィケーション: ゲームの仕組みを取り入れ、ユーザーのモチベーションを高める手法です。
  • マイクロインタラクション: ユーザーの操作に対する最小単位のフィードバックです。
  • パーソナライズ: ユーザー一人一人に合わせた情報や機能を提供し、特別感を与えることが大切です。

エモーショナルデザインは、ユーザーの感情に寄り添ったデザインアプローチです。
見た目のトーンや使いやすさに加え、ポジティブな感情を引き出すことで、プロダクトはユーザーのお気に入りとして長く愛される存在になると考えます。
客観的なユーザー理解と、ユーザビリティの向上を心掛け、エモーショナルデザインを取り入れていくことが重要だと感じます。


参考記事
https://blog.btrax.com/jp/emotional-design/
https://spice-factory.co.jp/design/what-is-emotional-design/