センイル広告とは?推し活が生み出す経済効果

センイル広告をご存知ですか?

「センイル広告」は「応援広告」とも呼ばれ、K-POPアイドルのファンが、自分の”推し”を応援するために自ら出す広告のことです(センイル(생일)は韓国語で「誕生日」)。


アイドルやアーティストのファンが自分たちの「推し」を応援するために資金を集め、誕生日やデビュー記念日などに合わせてポスターや映像を出し、活動を後押しする活動で、駅や街頭にポスターやデジタルサイネージを設置することで話題を呼んでいます。
韓国発祥のこの文化は、日本でも急速に普及しているそうです。


今回は、このセンイル広告について学んでみたいと思います。



センイル広告の市場規模

センイル広告は、ファンの熱意とSNSを通じた資金調達の手軽さから、市場規模が急速に拡大しています。
2019年頃から日本で見られるようになり、現在では主要な広告手法の一つとして認識されています。


JR東日本企画などの企業は2022年1月から応援広告に特化したサービスを開始し、広告枠の販売や画像使用の申請代行などを行っています。
このサービスの導入により、昨年度の広告主は1000団体を超えたと言われています。
特に、スマートフォンで手軽に広告枠を購入できる利便性が受け、多くのファンに支持されています。


JR東日本企画が実施した「推し活・応援広告調査2023」によると、2023年度の応援広告の市場規模は約377億円とされています。
これは前年度比約1.16倍(約52億円増)にあたり、応援広告の市場規模は、2023年の屋外・交通広告費の約10%を占めており、この成長は多くの消費者に応援広告の価値が浸透していることを示していると考えられます。
また、駅や街頭のポスター、デジタルサイネージ、映画館のスクリーン、そして車体ラッピングや車内広告をジャックした「推し電車」など、さまざまな広告形態が存在し、需要が多様化してきています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000315.000041458.html より引用


推し活の流行背景

推し活は、ファン同士の連帯感を高めるだけでなく、自己表現の手段としても機能しています。
推し活が流行する背景には、以下の要因が挙げられます。

  • SNSの普及
    SNSを通じてファン同士が簡単に繋がり、情報を共有することで応援活動が活発になり、SNSでの拡散力を利用して、資金調達や広告の告知が効率的に行えるようになりました。
  • ファンコミュニティの形成
    ファン同士が集まり、共通の目的に向かって活動することで、強い連帯感や仲間意識が生まれます。
    このコミュニティが、推し活を続ける原動力となっています。
  • イベントやコンテンツの多様化
    アイドルやアーティストの活動が多様化し、コンサートやイベントが頻繁に開催されることで、ファンの応援活動が盛んになります。
    また、映画やドラマ出演など、推しが活躍する場が増えることで、応援する機会も増えます。

推し活の流行は、ファンが自己完結型の満足感を得るだけでなく、仲間と感動や 喜びを共有する新しい形へと進化しています。
このような背景から、推し活は単なる趣味の範囲を超え、文化的な現象として定着していると言えそうです。


推し活の深層心理

推し活がこれほどまでに流行する背後には、ファンの心理的な要素が大きく影響しています。
応援することは、ファンにとって多くの心理的なメリットをもたらします。

心理的効果

充実感と幸福感
推しを応援することで得られる充実感や幸福感は、ファンの精神的な満足度を高める効果があるそうです。
応援活動に参加することで、日常生活に張り合いが生まれ、ポジティブな気持ちを維持することができます。

コミュニティの一員である安心感
ファンコミュニティに属することで、共通の目的を持った仲間と繋がり、安心感や共感を得ることができます。
これにより、社会的な孤立感が軽減され、精神的な安定がもたらされます。


ファン心理の変化

推し活の形態は、自己完結型から共有型へと変化しています。
以前は、推しを応援することが個人的な満足に留まっていましたが、現在は仲間と感動や喜びを共有することが重要な要素となっているそうです。
例えば、SNSで応援広告の写真をシェアすることで、他のファンと喜びを分かち合い一体感を感じることができると言われています。


新しい推し活の形

推し活の楽しみ方は多様化しており、以下のような新しい形が生まれています。

ライトアップ
推しのイメージカラーを使ったライトアップイベントが人気を集めており、横浜マリンタワーでは、推しのイメージカラーを点灯させるライトアップが多くのファンに利用されています。

宿泊プラン
東京ドームホテルでは、「推し活宿泊プラン」を提供し、客室をミラーボールやペンライトで飾り、推しの映像を楽しむことができるプランが人気となっています。


これらの新しい推し活の形態は、ファンにとって一層充実した応援活動の機会を提供し、推し活の楽しみを多様化させていると考えられます。


推し活から波及する商品の事例

推し活は、ファン活動としてだけでなく、多くの商品やサービスに経済効果をもたらしています。
推し活から波及した商品の事例を紹介します。

・JR東海:推し旅
JR東海の推し旅は、アイドルのコンサートやイベント参加、アニメの聖地巡礼など、推しに関連する場所を訪れる旅行プランです。
ファンが推しの世界を体験し、特別な時間を過ごせるように設計されています。

https://recommend.jr-central.co.jp/oshi-tabi/より引用


・UNIQLO
ユニクロは、「推し活」の流行を背景に370色のカラーバリエーションを展開し、「推し」のイメージカラーに合わせたギフト需要に対応しました。
これにより、カジュアルギフト市場での存在感を高めました 。

https://www.advertimes.com/20231207/article442397/より引用


・Cafe Fan Base:「OIWAI Cafe(オイワイ カフェ)」
横浜みなとみらいのランドマークプラザ5階にある「Cafe Fan Base」は、5月31日から期間限定で「OIWAI Cafe」を開催します。
このカフェでは、推し活を応援するカラフルなメニューが楽しめます。11種のカラーフロートや、カラフルなソースが選べるパンケーキ、自分でデコレーションできるケーキプレートなどが提供され、さまざまな推しの誕生日やデビューを祝うことができます。

https://www.oricon.co.jp/news/2328418/full/より引用


推し活を取り入れることで、ファンにとってより共感を得られる、より効果的な広告やデザインを作成することができると考えられ、推し活は単なる流行ではなく、新たな可能性を秘めた重要な文化であると感じます。


参考記事:https://www.advertimes.com/20240322/article452881/