こちらの記事を読みました。
2015年、国連サミットでSDGsが決定され、17つの項目のうちの5番目に「ジェンダー平等を実現しよう」という目標が掲げられました。
最近はさまざまなメディアで、ジェンダーレスなイメージのモデルやアーティストを多く見られるようになり、ジェンダーレスという概念が世の中に浸透してきていることを感じます。
今回は、ジェンダーレスを広告に取り入れる際のポイントについて考えてみたいと思います。
ジェンダーレスとは
「ジェンダーレス」という言葉の意味について確認します。
ジェンダーレスとは、従来の女性観(レディース)にも男性観(メンズ)というジェンダー(社会性別)にとらわれない衣類・商品・表現を意味する 和製英語である。混同されやすいユニセックス(男女両用[1])の場合、男女兼用で身体性別の差を問わずに着られるシルエットをしている[2][3][4]。ジェンダーレスは社会性別の性差のない、またはなくそうとする考え方も意味する[5][6]。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェンダーレスとは、社会的、文化的な性(ジェンダー)に縛られない生き方や考え方を指します。
これは、「男性らしさ」や「女性らしさ」といった、伝統的な性の役割や決まりごとに縛られず、自分自身を表現し、選択できる社会の実現を目指しています。
ジェンダーレスを広告に取り入れるメリット
・市場の拡大
ジェンダーレスな広告は、特定の性別に限定せずより幅広いオーディエンスにアプローチできるため、市場を広げることが可能です。
・ブランドイメージの向上
現代社会では多様性と包括性が重視されています。
ジェンダーレスな広告を取り入れることで、オープンで進歩的な社会意識の高いブランドイメージを構築するのに役立ちます。
・差別化ができる
ジェンダーレス広告を取り入れることで、従来の性別に基づいた広告と違うアプローチで、他社とは一味違う独自の魅力をアピールできます。
・顧客との深い関係の構築
すべての顧客を平等に扱うメッセージは、ブランドへの信頼感を高め、消費者との強い絆を作り出すきっかけになります。
ジェンダーレスな広告は、一過性のトレンドを超え、社会が変わろうとしているサインです。
広告にジェンダーレスの要素を程よく取り入れることで、より多くの人に支持されるブランドを目指す事ができると言われています。
ジェンダーレス広告の事例
ジェンダーレス広告が注目を集めている理由として、消費者の間で多様性と包括性に対する意識が高まっていることが考えられます。
ジェンダーレス広告の事例について紹介します。
ファッション業界
・MUJI Labo(ムジラボ)
「性別や年齢、体型に関係なく着用できるサイズ感の服たち。 飾り立てるファッションから距離を置いた、実験室。」として展開されているムジラボは、ジェンダーレスなコンセプトを採用し、装飾を最小限に抑え、機能性と快適性を重視したアイテムが多くの人々に支持されています。
https://www.muji.com/jp/ja/special-feature/clothes/mujilabo/ より引用
・カルメール(CALMER)
2022年3月に発表された新ブランド「カルメール(CALMER)」は、エフォートレス、ユーティリティ、ミニマム、ノンバイナリーをテーマに掲げ、ジェンダーレスで洗練されたデザインが話題となりました。
ブランド名はフランス語で「穏やか」と「海」を意味する言葉から来ており、人生を楽しむ想いが込められています。
ユニセックスのカジュアルウェアを中心に展開します。サステナビリティへの意識も高く、オーガニックコットンやリサイクルポリエステル、ボタニカルダイを使用したアイテムもあります。
https://baycrews.jp/feature/detail/11592 より引用
新ブランド「カルメール」が誕生! ジェンダーレスかつ洗練されたデザインが話題|ELLE
コスメ・ヘルスケア業界
男女問わず使えるスキンケア製品やメイクアップアイテムが増え、広告では様々な性別の人々が登場しています。
・コーセー「コスメデコルテ」
「コーセーが大谷翔平選手を美容液CMに起用すると大きな反響があり、ジェンダーレス市場のポテンシャルが示されました。店頭に来る男性が増え、ECでの販売数も大幅に増加しました。
BizDrive|大谷選手のCMが証明した、ジェンダーレス市場ECの勝算
・貝印「紙カミソリ」
貝印は、使い捨てカミソリのプラスチック部分を紙で置き換えた「紙カミソリ」を発売しました。
環境に配慮したデザインと自然環境を想起させるジェンダーレスなカラー展開が特徴です。
環境に優しく、100種以上の紙をテストして開発されました。国内外から注目を集めており、販売拡大を計画しています。
https://www.advertimes.com/20210415/article346909/ より引用
ジェンダーレス広告を制作するためのステップ
- ターゲットオーディエンスの理解とアプローチ
ジェンダーレス広告を成功させるためには、まずターゲットとなるオーディエンスを深く理解することが必要です。
性別にとらわれないアプローチではあっても、顧客の興味やニーズ、価値観を把握することは欠かせません。
市場調査や顧客インタビューを通じて、オーディエンスの多様性を理解し、それに合わせたメッセージを考える事が重要です。
- ジェンダーレスなメッセージング
ジェンダーレスなメッセージングを作るには、言葉遣いやメッセージの内容に注意を払う必要があります。
性別を前提としない表現を選び、誰もが共感しやすいテーマを取り入れることが重要です。
また、顧客の声を広告に取り入れることで、リアルな共感を呼び起こすことも大切です。
ビジュアルとコンテンツ制作のポイント
広告を見る人たちに共感してもらうために、いくつかポイントがあるようです。
- 多様な人々をフィーチャー
広告に登場する人々は、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちを選びます。
誰もが自分自身を見つけられるような広告を作ることで、より多くの人に共感してもらえます。
- カラーとデザイン
性別を特定しない色やデザインを使うことで、誰にでも訴えかけるビジュアルを作り出せます。
例えば、パステルカラーや極端に明るい色だけでなく、バランスの取れたカラーパレットを選びます。
- プロダクトの提示
商品やサービスがどんな性別の人にも使えるものであることを強調する。その特徴やメリットを明確に伝え、なぜジェンダーニュートラルであることが重要なのかをお客様に理解してもらいます。
画像や内容は誰にでも響くような設計にすることが大切です。
誰もが自分に関連する何かを見つけられるような広告は、強い共感を呼び、記憶に残りやすくなると言えます。
ジェンダーレス広告の注意点
ジェンダーレス広告を制作する際には、下記のような点に注意する必要があると言われています。
伝統的な性別の規範から脱却し、全ての人に響くメッセージを作り出すことや、
多様な視聴者に誤解や反感を与えないようにしながら、革新的で意味のあるコンテンツを制作することも求められます。
- 綿密なリサーチ
市場とオーディエンスの綿密なリサーチを通じて、ターゲット層の多様性とニーズを理解することが重要です。これには、文化的背景や社会的価値観の理解も含まれます。
- 多様性の尊重
広告制作チーム自体の多様性を高め、異なる視点や意見を取り入れることで、より幅広い人に受け入れられるメッセージやアイデアを生み出すことができます。
- オープンなコミュニケーション
制作プロセスにおいて、オープンなコミュニケーションを心がけ、様々な意見やフィードバックを取り入れることで、より幅広い受け入れられる広告を制作することが可能です。
- 共通認識を持つ
チーム内でのジェンダーに関する共通認識を持ち、認識のズレがないかの確認をすることも大切です。
- 事例から学ぶ
他の企業や業界での成功事例や失敗事例を学び、自社の広告戦略に生かすことができます。
ジェンダーレスを取り入れた広告を制作する上で、広告やマーケティングの基本である「消費者のニーズを理解する」「時代の変化に敏感であること」は変わらないと思います。
加えて、環境や社会に配慮した広告を作ることで、ブランドの信頼を築く鍵となりえると感じています。