良いデザイン。とはどういうものなのか?広告賞を獲ったデザインが良いのか、著名なデザイナーが手がけたものなのか、デザイン学みたいなことをしっかり踏まえて考えて創ったものがいいのか等々。どれも素晴らしいもので良いデザインだと思います。
私もなにか広告賞獲ってみたい、有名になってみたい、もっとデザインの勉強してクオリティあげたい等、いつも思います。
そこで、良い広告デザインについてとても個人的な考えになりますが、お話したいと思います。
広告の意味
「広告」とは、そもそも何かということですが、読んで字のごとく、世間に広く告知することです。
なぜそうするのかは、広告を打ち出す側となる広告主が、ユーザーとの接点を設けて、コミュニケーションをはかって、広告主が会社であれば、認知してもらう、利益を得るということがひとつのゴールになると思っています。
広告の見せ方
私の会社が「広告制作会社」として機能しているので、お客さまへは、最終的に利益につながる仕組みや表現、展開を常に考えることだと捉えています。
例えば、Webサイトの場合、求人ページ等では、会社や業務の印象を強めるために、動きのあるスタイリッシュなサイトを表現する場合もありますし、逆に一昔前の雰囲気を感じさせて、あえてダサくすることで問合せをしやすく印象づけをおこなうデザインをすることもあります。
グラフィックでも、ある企業の会社案内をとてもシンプルに読みやすくキレイに仕上げても、チラシはインパクトを高めるために、派手な色使いでゴチャゴチャしたチラシにして、違和感が無いように馴染みやすくすることもあります。
媒体に合わせた広告展開が重要
わかりやすい例ですと、UNIQLOのカタログやCMと、折込チラシを見比べると歴然と見た目の違いがでています。
折込チラシだけは、柳井社長が「お客さまに対するラブレター」とずっと言っており、とても大切な媒体として位置づけています。
この折込チラシには、グラフィックデザインとしてのかっこよさは必要無く、主婦層への購買意識を高めるための特殊でとても経験が必要なデザインになります。
ヒアリングの重要性
イメージバナーの打合せでは、まずお客さまの意向やイメージをお聞きして、合わせてお客さまの顧客層も詳細にお聞きします。
わかりやすくお伝えすると、顧客となるターゲットの聞き取りとして、基本的な内容となる、男性なのか女性なのか、年齢層は?、住んでいる地域は?、みたいな話から始まります。
そこから、どんな性格の方が多いのか、見た目はどういった印象なのか、一日のサイクルはどんな感じなのか、職業に偏りがあるか、家族構成や人間関係は?みたいな生活シーンも掘り下げていきます。
その後に、打ち出す内容との接点や組み合わせ、仮説の展開等を組み合わせていきながら、着地点を探っていきます。
一度で終わる時もあれば、何度も何度も繰り返すこともありますが、基本的には、徹底してヒアリングをおこなうことで、より深みを持ったデザインのアプローチができるため、できる限り時間をとりながら進めます。
※時には、聞き漏れが無いように2人でヒアリングを実施することもあります。
ペルソナ設定の限界
いまではペルソナ設定といわれる、架空の顧客をイメージさせて、マーケティングでは頻繁に利用されていました。
メリットとしては、依頼側、制作側ともターゲット像が絞りやすく、定めやすいため、イメージが共通されて、ブレにくいといった点があります。
ただ、最近の世の中を見ると、もうこの考え方に無理がでてきています。
例えば、音楽フェスというシーンを想定すると、性別性格も、年齢層も、ファッションも、住んでいる地域も、聴く曲も、好きなアーティストも様々で、ペルソナの設定自体に無理があります。
シーンという捉え方
そこで、新しい切り口で捉えられるプロセスがでてきました。
それは「シーン設定」です。
上記でお話した「フェス」もそうですし、「スポーツ観戦」等もそうで、ペルソナ設定の仮説の顧客層からの展開ではなく、具体的なシーンから顧客を定めていく考え方です。
このようにアプローチする方向を変えることで、新たにみえてくる課題や問題点、見えてなかった新しい切り口が、わかってくるようになります。
前提にある課題をデザインすること
この他にもマーケティングといわれる中に、あらゆる考え方や手法がありますが、いかにうまくデザインで表現し、わかりやすくスマートに落とし込むことができるかが、ポイントになります。
単に見た目のデザインだけではなく、前提にある課題をしっかり見定めて理解し、解決できる糸口を見いだせることが、本当の良い広告デザインとしてのゴールになるのではと考えています。