広告にユーモアを取り入れることは、消費者の心に響きやすく、ブランドを印象づける効果的な戦略です。
ユーモアを用いた広告は、笑いや楽しさを通じて消費者の注意を引き、ブランドに対する親近感を高めるだけでなく、強く印象に残るというメリットがあります。
現代の消費者は、日々膨大な情報にさらされており、興味を引く内容にしか目を向けない傾向があると言われています。
ユーモアは、他の広告との差別化を図り、ターゲット層の心をつかむ強力なツールだと考えています。
今回は、広告にユーモアを取り入れるメリットや心理的効果、成功事例についてまとめます。
ユーモアがもたらす心理的効果
ユーモアには、消費者の心をつかみ、ブランドへのポジティブな印象を作り上げる心理的な効果があると言われており、ユーモアがもたらす心理的効果については、下記のように言われています。
- 記憶に残りやすい
ユーモアは、楽しい感情を引き出すため、消費者の記憶に残りやすく、ブランド名や商品イメージを強く結びつけることができます。
広告に笑いや驚きを与えると、消費者はそれを心に刻みやすくなります。 - 好感度の向上
ユーモアが使われた広告は、ポジティブな感情をもたらし、ブランドに対する好感度を上げる効果があります。
楽しい体験は信頼感と親近感を生み、商品やサービスを選ぶきっかけになるでしょう。 - 他者との共有
ユーモアに富んだ広告は、シェアされやすく口コミも広がります。
SNSや会話を通じて他の人と共有されることで、広告の認知度や影響力が拡大します。
ユーモアの力を理解し、広告戦略に取り入れることで、ブランドの魅力を効果的に伝えることができると考えます。
成功事例の紹介
ユーモアを使った広告の成功事例を見ていくと、笑いや親しみやすさが消費者に与える影響がわかります。
ここでは、いくつかの例を紹介します。
・インド人のアドバイスを無視して作った【インド人完全無視カレー】
「インドでNo.1のカレーシェフを招き、アドバイスをもらいながらも、そのアドバイスを一切無視してカレーを作る」というユニークなコンセプトは、視聴者が「そのインド人、本当に存在するの?」「無視するの?」とツッコミを入れたくなるほどの面白さがあります。
こうした疑問を抱いた時点で、視聴者はすでにその商品のことを考え始めています。
この手法は、見ただけで視聴者を引き込む非常に強力なもので、「いったいどんなカレーなのか?」と知らずにはいられないという気持ちになり、商品の詳細が気になってしまいます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000003454.htmlより引用
・グリコ「プッチンプリン」
プッチンプリンは、ユーザーの興味を引く演出を盛り込んだ新商品のプロモーションで、リポスト数4.9万件、いいね数18万件を獲得しました。
「カラメルとプリンの比率が逆になった“ンチップンリプ”が新発売」という内容で、商品名の読みづらさや真っ黒なビジュアルなど、ツッコミどころ満載の要素がユーザーの関心を引きつけました。
https://twitter.com/glico_PPPR/status/1641998832849543169より引用
・日本郵政「ゆうパック」
「〝速達〟でお肌に潤いを届ける『ゆうぱっく』が全国の郵便局で一斉販売されます!」というユニークなキャッチコピーとともに、日本郵政は真っ赤なフェイスパックを顔に貼った女性の画像を4月1日午前0時に合わせてX(旧Twitter)に投稿しました。
パックの額部分には郵便マークの「〒」が白抜きであしらわれており、インパクトのあるビジュアルで注目を集めました。
日本郵政の担当者は「日本郵政が親しみやすい存在となるよう、エイプリルフール企画として今年初めて行いました」と説明しています。
Xのコメント欄には「欲しい!」という声が多数寄せられ、多くのユーザーが販売を望んでおり、親しみやすさを演出したこのエイプリルフールのネタは、日本郵政の印象をポジティブに広める良い機会となりました。
https://twitter.com/JapanPostHD_PR/status/1774451617120878728より引用
広告にユーモア効果を取り入れるヒント
ユーモアを広告に取り入れる際のポイントとしては、下記のようなことが言われています。
- ターゲットを明確にする
ユーモアはターゲットの価値観や嗜好に合わせたものでないと、効果が薄くなると言われており、誰に向けた広告なのかをしっかり定め、そのターゲット層に響く笑いを見つけることが大切です。 - 適切なバランスを保つ
過度な誇張や風刺を使いすぎると、特定のグループを不快にさせることがリスクもあります。
商品やサービスの本質を伝えながら、適度で共感しやすいユーモアを取り入れることが重要です。 - タイミング
広告メッセージとシチュエーションが一致することで、ユーモアが一層効果的に機能するそうで、メッセージの伝達タイミングを工夫し、ストーリー全体を通じて自然な笑いを生み出す必要があります。 - ブランドの一貫性
ユーモアのスタイルがブランドイメージと一致しないと、消費者に混乱を与える可能性があり、ユーモアがブランドの価値観と調和し、ポジティブな印象をもたらすことが重要です。
失敗事例から学ぶリスク
ユーモアは消費者の興味を引き、広告効果を高める一方で、使い方を誤ると逆効果になることもありそうです。
- 文化的な誤解
広告でユーモアを使う際に、その内容が文化や地域の価値観に合わないと誤解を生むことがあり、例えば、国際的な企業が地域ごとの宗教や風習に無理解な内容を使った結果、反発を受けて炎上したケースが見られます。
リサーチを十分に行い、ターゲット層にとって不適切でないかどうかを確認しましょう。 - ステレオタイプの押し付け
固定観念に基づくユーモアが、特定の人々に不快感を与えてしまうことがあると言われており、性別や人種、職業に関するステレオタイプな笑いが含まれると、否定的な反応を招く可能性が高くなるそうです。
多様性を意識し、すべての人が共感しやすい内容にすることが大切です。 - ブランドのメッセージとの不一致
ユーモアがブランドの理念やイメージと合わないと、消費者に混乱や反感を与える場合があり、笑いの方向性がブランドのメッセージと一致しているかを確認し、ユーモアが適切に活用されているかを慎重に見極める必要があります。
ユーモアは消費者とのつながりを強化する強力なツールですが、適切な使い方を意識することが重要だと考えます。
ユーモアは強力なツールであり、消費者に笑いをもたらすとともに、ブランドにポジティブなイメージを与えることができます。
適切なバランスとタイミングを見極めつつ、上手にユーモアを取り入れていきたいものです。
参考記事
・マーケティングで使えるユーモア6つのパターン 実例付き – オクゴエ!
・【X・Instagram事例15選】バズった企業のエイプリルフールSNS投稿 | テテマーチ株式会社