広告におけるイラストの力:感情的なつながりを強化する

この記事を読みました。
マーケティング戦略として、企業と顧客との「感情的なつながり」の強化が効果的だという内容でした。
企業と顧客の感情的なつながりを強化するには、魅力的なブランドイメージを構築し、効果的に伝えることが大切で、その際、イラストが特に重要な役割を担うといわれています。
そこで今回は、企業と顧客との感情的なつながりを強化するイラストの力について、広告制作の視点から深掘りしてみようと思います。


イラストレーションとは?

まず、イラストレーションとはどんな表現なのか整理してみます。

Wikipediaには

イラストレーションは情報を伝達する媒体の1つであり、目的に沿って作成される絵や図像であり、情報の図解という性格を持つ。
マスメディアを通じて社会の中で機能することを大前提としており、グラフィックデザインの中の分野でもある。
そのため、作家自身の世界を一貫して追求する芸術・美術とは性質が異なっている。

といったことが書かれていました。

※イラストレーション=イラスト。以下イラスト

イラストは写真より、幅広く自由にアイデアを表現できるため、企業のコンセプトに合ったビジュアルを作ることが可能で、
この柔軟性が、ブランディング戦略におけるイラストの大きな強みだといわれています。


良いイラストの基本原則

良いイラストは感情を動かし、行動を促す力を持っており、以下の3つの基本原則に基づいて作られているといわれます。

  • 明確性
    イラストはメッセージを明確に伝えるべきです。複雑すぎるデザインは避け、目的に直結したシンプルなビジュアルにします。
  • 関連性
    イラストはブランドの価値観やメッセージと密接に関連している必要があります。良いイラストは、ブランドメッセージを強化して、より深い理解を促します。
  • 感情的共感
    イラストは色使い、スタイル、形状を工夫することで、視覚から感情的な共感を与えることを可能にします。


イラストが顧客との感情的なつながりを
強化する理由

イラストが顧客との感情的なつながりを強化する理由は、次のようなことが挙げられます。

  • 視覚的魅力
    イラストは色、形、テクスチャーを使って目を引き、心に残る視覚的体験を提供します。
    魅力的なビジュアルは、見る人の注意を引きつけ、長く記憶に残るでしょう。
  • 物語の力
    イラストには物語を語る力があります。人は物語を通じて情報をより正確に理解し、感情移入するのです。
    イラストにより、複雑なアイデアや物語を簡潔に伝え、共感や共鳴を促すことができます。
  • 感情的な表現
    イラストは幅広い感情を表現できるため、見る人の感情に直接訴えかけ
    喜び、悲しみ、驚きなどの特別な感情を呼び起こして、メッセージの影響力を高めます。
  • 個性と差別化
    イラストによってブランドやプロダクトが独自の個性を持つことは、
    競合他社と差別化し、ターゲットオーディエンスとの個人的なつながりを築く上で有効です。
  • 文化的・社会的なつながり
    イラストが、特定の文化的・社会的な背景や価値観を反映すれば、特定のコミュニティや文化的背景を持つオーディエンスとの深いつながりを築くことが可能になります。
  • アクセシビリティ
    イラストなら、外国人や文章を読むのが苦手な人にもメッセージを伝えることが可能ですから、言葉の壁を越えてコミュニケーションを取ることができるでしょう。

イラストの持つ「感情を動かす力」が、消費者との間に強い絆を築くのに重要な役割を果たしているといえそうです。


イラストを効果的に用いた企業

イラストをビジネスや広告に効果的に用いた企業の事例を紹介します。

LINE
LINEは日本で広く使われているメッセージングアプリですが、その特徴の一つにキャラクターデザインがあります。
LINEのオリジナルキャラクター「LINEフレンズ」は、アプリ内のスタンプやグッズ、さらには実店舗でも大きな役割を果たしており、
ユーザーと強い感情的な絆を築いて、ブランドの親しみやすさと認知度を高めるのに寄与しています。

https://www.linefriends.com/?lang=jpより引用


カルピス
「カルピスウォーター」のパッケージデザインは、さわやかで親しみやすいイラストを採用して、商品のイメージを消費者に強く印象付けています。
イラストが製品のブランディングを強化し、消費者との感情的なつながりを促進しているのです。

https://www.calpis.info/より引用


キリンビバレッジ
キリンビバレッジは、商品パッケージングにイラストを積極的に取り入れており、特に「午後の紅茶」シリーズでは、季節ごとに変わるイラストが特徴的で、消費者に新鮮な印象を与え、購買意欲を刺激しています。

イラストが、商品のブランドイメージを強化し、消費者との感情的な結びつきを促進している好例でしょう。

https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2021/1001_01.htmlより引用


イラストを導入する際の注意点

イラストをビジネスやブランディングに取り入れる際の、一般的な注意点を挙げてみます。

  1. ブランドアイデンティティとの一貫性
    イラストは、企業のブランドアイデンティティと調和している必要があり、色使い、スタイル、テーマなど、ブランドの核となる要素と整合性を保つことが重要になります。
  2. ターゲットを理解する
    イラストを通じて訴えたいターゲットの好みや文化を理解し、それに合わせたデザインを選択することも必要です。
    関連性を感じるイラストは、より強い共感を呼びます。
  3. 目的に合わせた適切なスタイルの選択
    イラストのスタイルは多岐にわたるため、メッセージの性質や伝えたい感情に応じて、最適なスタイルを選ぶことが大切です。
    例えば、プロフェッショナルなコンテキストではシンプルで洗練されたスタイルが、カジュアルな環境では温かみのある手描き風のイラストが適しているといわれます。
  4. 過度の複雑さを避ける
    イラストは視覚的なメッセージを簡潔に伝える手段ですから、
    過度に複雑で詳細なイラストは、メッセージの伝達を妨げる可能性があり避けなければなりません。
  5. 文化的感受性を尊重する
    文化が違えば、同じイラストが異なる受け取り方をされることもありますから、国際的なターゲットにアプローチする際は、文化的な差異を考慮し、不適切な表現が含まれていないか慎重に検討する必要があります。
  6. 著作権とオリジナリティ
    使用するイラストが著作権法に違反していないことを確認し、オリジナルのイラストを使用することが重要です。
    オリジナルのイラストはブランドの独自性を強調し、強い印象を与えることができます。


今回は感情的つながりを強化するイラストの力について、広告制作の視点から考えてみましたが、企業の個性や伝えたいメッセージを明確にし、目的や意図をもって効果的にイラストを用いることが重要だと再認識しました。