【新型ジムニー ノマド】5万台超の注文殺到! ジムニーに見るカルトブランディングの力とは?

スズキ株式会社が発表した「ジムニー ノマド」に注文が殺到し話題になっています。

新型ジムニー ノマドは2025年1月30日に発表されたばかりの新型車で、本格小型SUV「ジムニー シエラ」をロングボディ化&5ドア化したモデルです。
発売予定日は同年4月3日でしたが、販売計画台数(月販1200台)を大きく超える約5万台の注文を受けたことで、状況を鑑みて注文の受付を一時停止することになったそうです。(参考:Yahoo!ニュース 2025年2月3日掲載記事))

まさに「待ってでもほしい」という行動は、まるで信者のような熱狂ぶりを感じさせますが、実はジムニーには以前から多数の“信者”と呼ばれる熱狂的ファンが存在すると言われています。
そんな「ジムニー信者」の存在を解説したForbes JAPANの記事を見つけたので、今回のブログではその記事を参考にしつつ、ジムニーの人気の秘密やカルトブランディングの手法についてまとめてみたいと思います。

引用元:https://www.suzuki.co.jp/car/jimny_nomade_jimny_sierra/


カルトブランディングとは?

「カルトブランド」とは、一般的なファンを超え、熱狂的な“信者”を抱えるブランドを指し、北米では「カルト的な人気」を誇るブランドが数多く存在し、そこから導き出されたブランディング手法が「カルトブランディング」と呼ばれています。
特徴としては、ユーザーにとって単なる商品以上の意味を持ち、ブランドの世界観や価値観に共感して“非合理的な献身”を示すほどの強い愛着を持ってもらう点が挙げられます。


カルトブランディングの鍵

  • プロダクト(サービス)への強い愛
    ブランド側がそのプロダクトに対して強い愛を持つことが重要で、開発者やスタッフが心から商品を好きであり、愛している姿勢が伝わると、自然とユーザーも愛着を高めていくと言われています。
  • 文化(伝統)を守り抜きつつ進化させる
    長く愛されるブランドには、独自の文化や伝統が必ず存在し、古き良き要素を残しつつ新しい技術やデザインを取り入れることで、既存ユーザーから新規ユーザーまで幅広い層に訴求力を維持します。
  • コミュニティ形成とエンゲージメント
    カルトブランドが成立するためには、ユーザー同士が共感し合い、ブランド自体を“育てていく”という感覚が不可欠だと言われていて、双方向のコミュニケーションを継続的に重ねることで、ユーザーがブランドを自分事として捉え、コミュニティを形成していきます。

ジムニーが築いた“信者”の存在

スズキの軽四輪駆動車・ジムニーは、世界199の国と地域で累計300万台を販売し、2020年に発売50周年を迎えました。
こうした長い歴史の中で、ジムニーは“信者”と呼ばれるほど熱狂的な支持層を育んできたと言われています。


“プロの道具”へのあこがれ

ジムニーの魅力の一つは、プロユーザーを満足させるために突き詰めた「本格的な4WD性能」と「無駄のない機能美」だと言われてきました。
山間部や積雪地、農家や狩猟などの現場で使われる“道具”としての一面を持ちながら、ロマンを感じるフォロワー層にも深く支持されており、これはカルトブランドにおいてよく見られる「プロの道具」へのあこがれが大きく影響しているといえます。


デザインと伝統の継承

ジムニーのデザインには、初代から綿々と続く丸型ヘッドランプや四角いフォルムといった「ジムニーらしさ」が受け継がれており、それに加えて、ユーザーの声を反映した改良や最新の装備を取り入れながらも、ブランドの核である「ラダーフレーム構造」や「4WD機構」は堅持しています。
古さと新しさの融合が、長年のファンから新規ユーザーまで、幅広い層の心をつかんでいると言われています。


ユーザーコミュニティとブランド愛

開発担当者自身がジムニーを愛し、社内にも多くのジムニーユーザーが存在するそうです。
ユーザー同士で自然発生的にイベントやツーリングが企画され、ファンがコミュニティをつくり上げていく姿を見た開発者は「顧客に育ててもらっている」という感謝の気持ちを持ち、さらにブランドを進化させ、この愛の循環こそがカルトブランドの理想的な姿と言えます。


カルトブランディングの視点から見る
ジムニーの成功要因

  • 創始者(開発者)の強い愛情と信念
    プロユーザーを満足させるという明確なコンセプトを掲げ、ファッション性よりも「本格的な四駆性能」と「機能美」を優先して開発。
  • ブランドの伝統を守り抜く姿勢
    丸型ヘッドランプやラダーフレームなど、代々受け継がれるアイデンティティを守りつつ、時代に合わせた技術を導入。
  • ユーザーコミュニティの存在
    コミュニティが自然発生し、顧客がブランドを“共創”している。イベントなどを通じてユーザー同士がつながり、さらに愛着を深めていく。
  • 唯一無二のポジショニング
    「軽自動車」というサイズ感と「本格的な四駆性能」を兼ね備えた希少性が、他にはない優越感や所有欲をくすぐる。

ジムニーは、プロ仕様の性能と伝統のデザインを武器に、ユーザーとの強い結びつきを育んできており、この“絆”こそがカルトブランディングの要であり、「とにかく好きだ」「他の選択肢は考えられない」という熱烈なファンを生み出す原動力なのだと思います。

「ユーザーとのコミュニケーションを深め、ブランドがユーザーを愛し、ユーザーにブランドを愛してもらう」ということが、どんな時代でも熱狂的な支持を得るための秘訣だと考えます。


参考記事
スズキの名車ジムニーはなぜ多数の「信者」を獲得したのか?(Forbes JAPAN 編集部)
スズキが新型「ジムニー ノマド」注文停止でお詫び! 発表から数日で5万台受注! 関連イベントも中止に(Yahoo!ニュース)