こちらの伊藤忠商事の記事|こどもの視点@ITOCHU SDGs STUDIOを読みました。
大人になると子どもの時の気持ちを忘れがちになってしまいます。
子どもの目を通して世界を見たとき、何が見えるのでしょうか?
大人の論理的な視点とはどう違うのでしょうか?
子どもの視点に戻ることはできませんが、子どもの直感的で自由な発想と大人の構造化された思考を融合させると、何かおもしろいものが見えてくるかもしれません。
今回は「子どもの視点を取り入れたデザイン」について考えてみたいと思います。

視点を変えるデザインの重要性
視点を変えることが、新たなアイデア、新たな問題点、新たな解決策を見いだすきっかけになる可能性があります。
アイデアが広がる
子どもは大人が考えつかないようなシンプルで直感的な視点をもっているので、
この視点をデザインに取り入れることで、既存の枠を超えた新鮮なアイデアを生みだしやすくなります。
ユーザーとの新たな関係の構築
デザインは、ユーザーの、製品やサービスの見え方や感じ方に大きな影響を与えます。
子どものような視点を取り入れることで、より直感的でアクセスしやすいデザインが実現し、ユーザーとの新たな関係を築くことができます。
ブランドを魅力的にする
新しい視点による斬新でユニークなデザインは、会社の個性を強調してブランドを際立たせ、市場での存在感を高めてユーザーの記憶に残ります。
子どもの視点を取り入れた
デザインの事例
デザインの視点を変えることで話題になった事例を紹介します。
・富士通株式会社:エキマトペ
エキマトペは、駅のアナウンスや電車の音などを文字や手話、オノマトペに変換して視覚的に表示する装置で、川崎市立聾学校の子どもたちと一緒に開発されました。
AIを用いて環境音を分析し、リアルタイムで駅アナウンスを文字化し、視覚情報として提供し、聴覚に障がいのある子どもだけでなく、すべての鉄道利用者が快適に楽しく利用できるデザインになっています。
この装置は、第17回キッズデザイン賞で経済産業大臣賞を受賞しました。
・角川つばさ文庫:こどもにしか見えない広告
角川つばさ文庫は、レンチキュラー印刷という技術をタテ方向に利用し、子どもたちの目線の高さからのみ、色々なメッセージが見えるように工夫された広告を発表しました。
大人の目線の高さでは見ることができないため、そこに書かれた特別なメッセージは、子どもたちだけが読み取ることができます。
この斬新なアプローチは、2010年のニューヨークADC(Art Directors Club)で銀賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

https://www.creative-project-base.com/the-ads-only-kids-can-seeより引用
・株式会社DiscoveryKids: i do button
教育型保育園 Discovery Kids School 祐天寺 を運営する株式会DiscoveryKidsは、モンテッソーリ教育を日常に取り入れた新しい発想のナイトウェア ” i do button ” の販売を、2022年11月より自社ECサイトにて開始しました。
子どもが「やりたい!」と感じた時に最も成長する姿から、「i do button」という新プロダクトが開発されました。
このプロダクトは、独自に開発した特別なボタンをはじめ、ウエアに施されたさまざまな工夫が子どもたちの自信と自己肯定感を育み、成長をサポートします。

・NPO法⼈AQUAkids safety project:#サンダルバイバイ ハッシュタグ1つで出来る⼦どもの⽔難事故予防
「#サンダルバイバイ ハッシュタグ1つで出来る子どもの水難事故予防」プロジェクトが、第17回キッズデザイン賞で子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門の賞を受賞しました。
このプロジェクトは、子どもたちが流されたサンダルを追いかけることによる水難事故の予防を目的としており、Twitter上で3000以上のいいね!がつき、関連動画再生回数は10万回以上になり、現在も更新中です。
「サンダルバイバイ」は、「流されたモノは追いかけない」という事故予防のアクションに直接繋がりやすいキーワードとして、NHKニュースやEテレ、各新聞でも取り上げられ、公立小学校の教材としても活用されています。

https://aquaproject721.wixsite.com/website/sandal-bye-byeより引用
導入の際のポイントと注意点
新しいデザインを取り入れる際のポイントについては、下記のようなことが言われています。
- 誰のためのデザインか考える
そのデザインの主な受け手は誰なのかを明確に理解することが重要です。
子どもの視点を取り入れる場合でも、管理する大人の視点も大切です。
- テストとフィードバック
デザインを実装する前に、小規模なグループでテストを行い、フィードバックを集めることが重要です。
その結果、予期しなかった問題を事前に見つけて改善することができます。
- シンプルさの維持
子どもの視点を取り入れたデザインはシンプルで直感的であるべきですが、同時にプロフェッショナルな印象も必要です。
シンプルすぎて重要な情報を伝えきれなかったり、不適切に見えることがないように注意しなければなりません。
- ブランドとの一貫性
ブランドの核となる価値やメッセージは一貫して伝える必要がありますから、新しいデザインが既存のブランドイメージやメッセージと一致しているかどうか確認することも大切です。 - 改善を続ける
導入した後も、定期的に効果をチェックし、必要に応じて調整や改善を行います。市場やユーザーのニーズは常に変化しているため、柔軟に対応することが必要になります。
今回は「子どもの視点を取り入れたデザイン」について考えてみました。
新しい視点をデザインに取り入れることで、直感的でシンプルながらも強いメッセージを持つデザインを生み出すことができ、新たなアイデアや商品が生まれるのだと思いました。