グラングリーン大阪で注目される「ランドスケープファースト」とは?

2024年9月6日に、JR大阪駅のうめきたエリアに先行開業した「グラングリーン大阪」が話題になっています。
大阪駅直結という利便性と、9万平方メートルという広大な敷地に広がる緑豊かな公園や多機能ビル群が、訪れる人々に新しい都市の魅力を提供しています。

グラングリーン大阪
Tokumeigakarinoaoshima – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=152985841による

グラングリーン大阪の空間デザインにおいては「ランドスケープファースト」という考え方が重要視されたそうで、注目を集めています。
今回はこの「ランドスケープファースト」について学びたいと思います。


ランドスケープファーストとは何か?

「ランドスケープファースト」とは、その名の通り「ランドスケープ(景観)」を「ファースト(第一に)」考えるという意味です。
都市開発や建築設計において、建物やインフラを優先するのではなく、まず自然環境や景観をどのように活かすかを考えたうえで、他の要素を設計していくアプローチを指します。

従来の都市計画では、まずビルや交通網を整備し、その後に公園や自然を付け加えることが一般的でした。
しかし「ランドスケープファースト」では、自然や緑地を最初に考慮し、その中に建物や街が溶け込むようにデザインされます。
この考え方は、環境への配慮や持続可能な都市づくりに対する意識が高まる中で、世界的に注目されているトレンドです。


グラングリーン大阪での
ランドスケープファーストの具体例

「グラングリーン大阪」では、この「ランドスケープファースト」の考え方が随所に反映されています。
特に象徴的なのが、「公園の中にまちをつくる」というデザインコンセプトです。

通常の都市開発では「建物の周りに公園を作る」ことが多いですが、グラングリーン大阪では広大な「うめきた公園」を中心に据え、その周囲にオフィスビルやホテル、商業施設などの都市機能が配置されています。
この構成により、都市空間全体が自然と調和し、訪れる人々は都会の中心にいながらも、常に自然に囲まれた空間で過ごすことができます。

緑地面積が約4.5万平方メートルを占める「うめきた公園」では、都市の喧騒を忘れさせるほど豊かな植栽が施されており、320種類もの植物が植えられ、四季折々の景観を楽しめる空間が広がっているそうです。
また建物自体も緑化されており、商業ビルやオフィスが自然と一体化するようにデザインされています。
これにより、都市空間における自然の存在感が強調され、都市と自然の調和が実現されています。


ランドスケープファーストの
メリット

環境への配慮とサステナビリティ

ランドスケープファーストの最大のメリットは、環境への配慮です。
都市開発が進む中で、緑地や自然環境の確保は非常に重要な要素で、グラングリーン大阪のように、自然を都市設計の中心に据えることで、都市住民は日常的に自然と触れ合うことができ、都市の環境負荷を軽減する効果も期待されています。

またこのようなデザインは「サステナビリティ(持続可能性)」の観点からも意義があると言われており、緑豊かな空間は、大気の浄化やヒートアイランド現象の抑制、都市の生態系の保全に貢献するそうです。
特に、都市における自然の回復力が注目されている現在、ランドスケープファーストのアプローチは、持続可能な都市づくりの鍵として位置付けられています。


ユーザー体験の向上

ランドスケープファーストのもう一つの大きな利点は、利用者にとって心地よい空間を提供できる点だと言われています。
自然豊かな環境は人々にリラックス効果をもたらし、公園や緑に囲まれたスペースで過ごす時間は、現代の忙しい都市生活において貴重な癒しの場となります。

さらに、グラングリーン大阪では、広大な緑地とイベントスペースが一体化しており、大規模なイベントも開催できるよう設計されています。
このように、自然空間の中で柔軟にイベントやプロモーションを行うことができるため、訪れる人々に対してより多彩な体験を提供することが可能なのだそうです。


広がる「ランドスケープファースト」の
考え方

グラングリーン大阪のように、ランドスケープファーストの考え方は日本国内でも注目を集めつつあります。

世界的にも、自然との共存を目指す都市デザインは増加傾向にあり、ニューヨークの「ハイライン」やシンガポールの「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」などの事例がその一例として挙げられます。
これらのプロジェクトもまた、ランドスケープファーストの考え方を取り入れ、都市の中に豊かな自然を取り戻す取り組みの一環なのだそうです。

ニューヨーク「ハイライン」
Beyond My Ken – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10811588による

シンガポール「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」
Jan – https://www.flickr.com/photos/jhecking/14682030600/, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=35313340による

日本国内では、東京や福岡などで緑地を重視した都市再開発が進められており、「グラングリーン大阪」はその最前線に立つプロジェクトの一つです。
このような取り組みが広がることで、都市と自然が調和した持続可能な社会の実現に貢献すると期待されています。


「グラングリーン大阪」で実践されているランドスケープファーストのアプローチは、未来の都市デザインにおいて重要なモデルだといえます。自然と都市機能が調和し、環境への配慮と都市の利便性を両立するこの考え方は、これからの都市開発における新しい基準となる可能性があると思っています。


参考記事
・https://www.wwdjapan.com/articles/1909053
・https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g009563