ローカルビジネスの成長を促すデザインの活用

近年、地方創生や地域活性化への関心が高まる中で、「ローカルデザイン」という概念が注目を集めています。
「ローカルデザイン」とは、地域の文化、伝統、特性を反映し、地元の人々や地域経済に価値をもたらすデザインのことを指します。
ローカルデザインは、単に地域の素材やテーマを用いるだけことにとどまらず、その地域に根ざした独自性とのつながりを表現するデザインアプローチです。
たとえば、地域の歴史を象徴するモチーフをロゴデザインに取り入れたり、地域産の素材を使った商品デザインをすることなどが含まれます。


ローカルデザインは、地域の魅力を内外に伝え、観光客の関心を引きつけたり、地域産品の販売促進に貢献するなど、多方面にわたって地域にプラスの影響を与えます。
さらに地域の課題を解決し、地域への誇りを高めたり、コミュニティを豊かにする力を持っていると言われています。


小規模ビジネスにとって、地域に根差した広報活動を行ったり、地域の消費者をターゲットにした広告戦略を考えていくことも、大切な視点の一つであると考えます。
今回は、ローカルビジネスの成長を促すデザインの活用について、考えていきたいと思います。



ローカルデザインがもたらすプラスの影響

ビジネスにローカルデザインが与える影響についてまとめてみます。

地域社会とのつながりを強化

地域の文化や伝統を取り入れたデザインは、地域社会のメンバーとの絆を深め、地域に根ざしたブランドイメージを構築します。

市場での差別化

ローカルデザインを取り入れることで、競合他社とは異なる独自性を打ち出し、顧客の注目を引きやすくなります。

顧客の信頼を獲得

地域の要素を反映した製品やサービスは、消費者が親しみやすく、信頼と忠誠心を高めることができます。

サステナビリティの推進

地域の素材や職人の技術を利用したデザインは、持続可能なビジネスモデルへの関心を示し、エコ意識の高い消費者からの支持を得られます。

地域経済への貢献

ローカルデザインを採用することで、地域の職人やビジネスへの支援となり、地域経済の活性化に貢献できます。

観光促進

独特の地域色を持ったデザインは、観光客の関心を引き、地域の魅力を伝える手段となり得るでしょう。

文化遺産の保存

伝統的なデザインや技法を現代の製品に取り入れることで、地域の文化や歴史を保護し、後世に伝えることができます。


ローカルデザインがビジネスに良い影響を与えた例

ローカルデザインがビジネスに良い影響を与えた例を2つ紹介します。

六花亭

北海道の代表的な菓子メーカーの六花亭は、地域の素材を生かしたさまざまなスイーツを提供しており、中でもマルセイバターサンドは全国的に有名で、北海道のブランドとしての地位を確立している商品です。
さらに、パッケージデザインにも地域の自然や文化を反映させ、地域ブランドとしてのアイデンティティを強化しています。

https://www.rokkatei.co.jp/より引用

ユニクロ

2023年11月23日に大阪・心斎橋にオープンした「UNIQLO SHINSAIBASHI」はPOP(店頭販促)やフラッグのコピーに大阪弁を使うなど、“コテコテの大阪らしさ”を店内に表現して、注目を集めています。
他にも、大阪・道頓堀のネオンをイメージさせる赤と黄色の電飾や提灯があったり、大阪を代表する食品企業や飲食店と共同開発したユニークなイラスト入りTシャツを限定販売するなどしています。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/02390/より引用

これらの企業は、地域の文化や資源を大切にしながら、独自のデザイン戦略を展開することで、地域経済に貢献し、ブランド価値を高めている好例です。


ビジネスにローカルデザインを
取り入れるステップ

ビジネスにローカルデザインを取り入れるステップについてまとめてみます。

  • ローカル文化の理解
    地域の祭り、伝統工芸、建築様式など、インスピレーションを得る材料を探し、地域の歴史、文化、特色を研究して理解を深めましょう。
  • コミュニティとの関わり
    地域コミュニティに参加し、地域の人々と関係を築くことで、
    地域のニーズや価値観を直接学ぶことができます。
  • 地域のデザイナーとの協力
    地域の文化や美学に精通している地域のデザイナーやアーティストと協力すれば、貴社のビジネスに独自の地域色を加えるのに役立つでしょう。
  • デザインコンセプトの開発
    地域の文化や特色を反映したデザインコンセプトを開発します。
    この段階で、色、形、素材など、デザインに取り入れる要素を決定します。
  • プロトタイプの作成とテスト
    初期のデザインアイデアをもとにプロトタイプを作成し、
    地域のコミュニティや顧客からのフィードバックを受け、必要に応じて調整します。
  • ストーリーテリング
    製品やサービスに地域のストーリーや文化を組み込み、顧客にその背景を伝えることで、ローカルデザインの価値と意義を高めることができます。
  • マーケティングとプロモーション
    ローカルデザインをフィーチャーしたマーケティング戦略を立案し、SNS、ローカルイベント、地域のメディアを利用して、製品やサービスを宣伝します。
  • 持続可能な関係の構築
    地域のコミュニティやデザイナーと長期的な関係を築き、継続的な協力体制を構築すれば、ビジネスの成長とともにローカルデザインの取り組みを発展させていくことができます。

今回はローカルデザインのビジネス活用について考えてみました。
ローカルデザインをビジネスに取り入れる際には、地域の文化を深く理解しようとする姿勢と、コミュニティとの関わりに重きを置くことが大切だと感じました。