日常生活において欠かせない存在である物流。
オンラインで注文した商品がスムーズに届き、スーパーやコンビニの棚に商品が並ぶその背後には、「運ぶ人」の多くの努力と工夫が隠されていると言えます。
コロナ禍では、多くの人々が物流の恩恵に感謝し、その重要性を再認識しましたが、時間が経つにつれて、日常の当たり前のことになりつつあると感じます。
今、日本の物流業界では「2024年問題」と言われる課題が浮上しています。
今回は物流業界の問題解決に向けて、広告やデザインが果たす役割について考えてみたいと思います。
2024年問題とは
「2024年問題」とは、2024年4月から、働き方改革法案により労働時間規制の強化やドライバー不足が原因で物流が停滞する懸念がある問題です。
物流業界において、労働時間規制の強化やドライバー不足が原因で物流が停滞し、商品の供給が遅れたり、物流コストが上昇したりする可能性が高いと考えられます。
参考：https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/00001_00251.html
東京都トラック協会の広告の背景
こうした背景の中、東京都トラック協会は読売新聞に広告を掲載し、物流業界の現状と課題に対する理解を深めるための広報活動を展開しました。
この広告は、業界の課題を広く社会に認知させるとともに、ドライバーの労働環境の改善を目指していると言われています。
トラックとドライバーの写真を使用し、リアルな現場の状況を伝えており、キャッチコピーで物流の重要性を強調し、視線を引き付けるレイアウトで重要なメッセージを効果的に伝えています。
参考：https://www.totokyo.or.jp/archives/30122
広報戦略の役割
認知度の向上
広告は、多くの人々に問題の存在を知らせるための第一歩で、視覚的にインパクトのあるデザインとキャッチコピーを用いることで、関心を引き、記憶に残る効果を持ちます。
例えば、トラックドライバー不足の問題を訴える広告では、日常生活でトラックが果たす重要な役割を強調することで、問題の深刻さを認識させることができると言えそうです。
共感の喚起
広告は、ターゲットオーディエンスに対して感情的な共感を引き起こすことが重要です。
具体的なエピソードや感動的なビジュアルを用いることで、問題に対する理解と共感を促進できると考えられます。
ドライバーの労働環境の厳しさを伝える広告では、ドライバーの声やストーリーを通じて、彼らの現状を身近に感じてもらうことができるでしょう。
行動の促進
認知度と共感を高めることで、具体的な行動を促すことができます。
例えば、業界の問題に対する署名活動やサポートの呼びかけ、または消費者としての意識を高めるための情報提供など、具体的なアクションに結びつけることが可能だと言われています。
広告事例の紹介
その他にも物流に関わる企業の広告があります。
日本パレットレンタル（JPR）の広告事例
日本パレットレンタル株式会社（JPR）は、「この社会のために私たちができること」というテーマで企業広告を展開しました。
広告では、物流用パレットのレンタル事業を通じて労働力不足や社会的課題の解決に貢献する取り組みを紹介しています。
具体的には、標準化されたパレットの共有によって、物流の効率化と労働環境の改善を図る姿勢が強調されています。
デザインにはJPRのロゴや企業カラーを用い、シンプルかつ視覚的に訴求力のあるものとなっています。
https://note.com/jpr_pr/n/ncb2d9fc818bbより引用
Hacobuの広告事例
Hacobuは、物流業界向けにデータを活用した効率化を提案する企業です。
日経ビジネスへ掲載した広告を通じて、低積載率やドライバーの待機時間など物流課題の認識を広げ、社会全体での解決を訴求しています。
「Data-Driven Logistics®が社会課題を解決する」というキャッチコピーは簡潔で、メッセージが一目で伝わると考えられます。
物流問題が業界内だけでなく広く社会問題であることを伝え、協力を呼びかけていると言えそうです。
https://hacobu.jp/news/7208/より引用
広報戦略の重要性
広報戦略は、企業や業界全体の信頼性とブランド価値を向上させ、問題解決を推進するために重要です。
透明性を持って業界の現状を正確に伝えることで信頼を築き、ポジティブなイメージを作り上げることでブランド価値が向上します。
さらに、社会的な支持を得ることで問題解決への取り組みがスムーズに進みます。
企業が学ぶべきポイント
企業が広報戦略を展開する際には、以下のポイントが重要です。まず、業界内外での協力や連携を強化し、協力体制を築くことが求められます。次に、一過性の活動ではなく、継続的な情報発信を行うことが重要です。そして、正確で信頼性のある情報を提供し、社会的な信頼を得ることが必要です。
広報戦略をうまく活用することで、業界全体の課題について多くの人に知ってもらい、理解を深め、具体的な行動を促すことが期待されます。
企業や業界が持つメッセージを社会に伝えるためのツールとして、広告やデザインの重要性はますます高まると考えています。