「リアルタイムマーケティング(ニュースジャック)」という言葉をご存じですか?
「リアルタイムマーケティング(ニュースジャック)」とは世の中で話題になっているニュースやトレンドを取り入れることで、一気に注目を集めることを狙うマーケティング手法です。
たとえばXやInstagramなど、ユーザー同士のコミュニケーションが盛んな場では、投稿次第で短期間に“バズ”を狙える一方、炎上リスクと隣り合わせでもあります。
今回は「ニュースジャック」を取り巻くメリットとデメリット、そして成功・失敗を分けるポイントについてまとめてみます。
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ニュースジャックとは?
「ニュースジャック(Newsjacking)」とは、社会的に注目が集まっているニュースや出来事、流行などの“勢い”を自社のマーケティング施策に取り込み、話題を呼ぶ手法です。
事例としては、スポーツ大会や映画のヒット、季節イベントなどにタイムリーな投稿を行い、SNS上で拡散を狙うケースが挙げられます。
話題になっているタイミングで適切なメッセージを発信し、トレンドの恩恵を受けやすい点が大きな特徴です。
リアルタイムマーケティングの代表例として、SNS公式アカウントがユーモアや機転を利かせて時事ネタを取り入れ、多くのいいねやシェアを獲得するケースが知られています。
ニュースジャックのメリット
爆発的な拡散・認知向上
トレンドや話題性の高いキーワードに乗ることで、短期間で大きな露出を獲得しやすくなります。
SNSの拡散力を味方につけると、企業の認知度向上や新規顧客の獲得につながりやすいと言われています。
ブランドの“今っぽさ”を演出
流行を即座にキャッチし、自社の発信内容に反映させることで、「時代の空気を読める企業」という印象を与えられます。
特に若年層をターゲットとするブランドやサービスにおいては、親しみやすいイメージ作りに寄与します。
少ないコストで大きな効果
テレビCMや大規模キャンペーンと比較すると、SNSで行うニュースジャックはコストが低く済むのも魅力です。
話題性さえ押さえていれば、短時間のうちに大きな反響を得られる可能性があります。
ニュースジャックのデメリット
炎上リスク
ニュースジャックは「便乗」や「不謹慎」と捉えられやすく、炎上のきっかけにもなり得ます。
特に社会問題や災害など、センシティブな話題に安易に乗ると企業イメージを大きく損なう可能性があるため注意が必要です。
一過性で終わる可能性
一時的にバズを起こしても、継続的なファンや売上に結びつかない場合があります。
「あの投稿は面白かった」で終わってしまい、中長期的にブランド価値を高められないケースもあります。
無理やり感・不自然さ
ニュースジャックの内容が企業や商品とまったく関連性がない場合、受け手に「わざとらしい」「便乗しすぎ」と感じられがちで、その結果、かえって企業への不信感や失望を与えてしまうこともあります。
成功と失敗を分けるポイント
社会情勢・テーマの選択
大きなスポーツ大会や祝賀ムードのあるイベントなど、ポジティブな話題を選ぶのが基本であり、災害や事件などの深刻なニュースには安易に便乗しないようにし、時代の空気・社会的な価値観を踏まえてテーマを選ぶことが重要だと言われています。
企業コンセプトや商品との親和性
自社のサービスや製品と自然に結びつくトレンドを選ぶと、ユーザーの理解・共感を得やすくなります。
逆に関連性が薄いトレンドに飛びつくと無理やり感が出てしまい、ユーザーの反応が冷める一因になります。
タイミングとスピード
SNSでの拡散を狙う場合、トレンドは数日、場合によっては数時間で変化します。
ピークを逃さないためには素早い投稿が必要ですが、同時に炎上リスクや誤情報がないか複数人でのチェック体制を整えておくことが大切です。
コミュニケーション設計
投稿後の反応をシミュレーションし、炎上した場合の対処方法まで想定しておくことが重要です。
ユーザーのポジティブな反応には感謝を伝え、ネガティブな反応には真摯に対応することでブランドの信頼度が高まります。
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クリエイター視点で考える
「無理やり感」を出さない方法
- トーン&マナーの統一
ブランドイメージや世界観を大きく崩さず、ロゴの使い方や文体、ビジュアルのテイストなど、既存のクリエイティブと乖離しすぎないように注意します。 - ユーザーが納得するストーリー設計
なぜこのニュースと自社が絡むのかを短いストーリーでもいいので伝え、背景や意図がわかるようにします。
そうすることで便乗感が薄れ、ユーザーの共感度が上がります。 - 過去の成功・失敗事例を参考にする
自社だけでなく他社の取り組みからも学ぶことで、既存の企画との差別化や不適切な表現の回避が可能です。
特にSNS上では同じような企画が乱立するため、新しさや独自性を出す工夫が重要になります。
リアルタイムマーケティング(ニュースジャック)は、上手に活用できれば「一気にブランド認知度を高める」強力な武器になる一方、炎上やブランドイメージの低下といったハイリスクも伴います。
上手に取り入れるためには、時事ネタの特性と自社のブランドコンセプトとの親和性、そして情報発信のスピードとクオリティのバランスが肝心だと考えます。