NFTとは?広告・宣伝での活用法と成功事例を解説

近年、NFT(Non-Fungible Token)という言葉をよく耳にするようになりました。
デジタルアートの世界で話題になっているNFTですが、実は広告・宣伝の分野でも注目を集めています。
今回は、NFTの基本概念から、広告・宣伝における活用方法、そして具体的な事例についてまとめたいと思います。


NFTの基本概念

NFTとは何か?

NFTは「Non-Fungible Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。
簡単に言えば、デジタルデータに唯一無二の価値を持たせる技術のことです。

従来、デジタルデータは簡単にコピーできてしまうため、オリジナルの価値を保つことが難しいとされてきました。
しかし、NFT技術を使うことで、デジタルデータに「本物である証明」を付与することができるようになりました。


NFTの特徴

NFTには以下のような特徴があります。

  1. 唯一無二性
    各NFTには固有の識別子が付与され、同じものは存在しません。
  2. 所有権の証明
    ブロックチェーン技術により、NFTの所有者を明確に特定できます。
  3. 取引の透明性
    NFTの取引履歴はすべて記録され、誰でも確認することができます。
  4. 分割不可能:
    NFTは分割して所有することはできません

これらの特徴により、NFTはデジタルアートやコレクタブルアイテムの分野で急速に普及しました。


NFTの仕組み

ブロックチェーン技術との関係

NFTはブロックチェーン技術を基盤としています。
ブロックチェーンとは、分散型のデータベース技術で、一度記録された情報を改ざんすることが極めて困難です。

NFTは主に以下のようなブロックチェーンプラットフォーム上で作成されます。

  1. イーサリアム
    最も一般的なNFTプラットフォームで、「ERC-721」や「ERC-1155」という規格を使用しています。
  2. ソラナ
    高速で低コストな取引が特徴で、NFTマーケットでも人気が高まっています。
  3. ポリゴン
    イーサリアムと互換性があり、低コストで高速な取引が可能です。
  4. バイナンススマートチェーン
    バイナンス取引所が運営するブロックチェーンで、NFTプロジェクトにも利用されています。
  5. フロー
    NBA Top Shotなど、大規模なNFTプロジェクトに採用されています。

これらのプラットフォームは「スマートコントラクト」という機能を持っており、これによってNFTの作成や取引が可能になっています。

※NFTにおけるスマートコントラクトとは、自動的に動く「デジタル契約書」のようなものです。
これにより、NFT(デジタルアートやコレクション)の売買や所有権の移動が、決められたルール通りに自動で行われます。
例えば、NFTを売るときに、そのルールに従ってお金が支払われ、所有権が移ります。
スマートコントラクトを用いることで、仲介者がいなくても安全でスムーズな取引が可能になります。


NFTの作成と取引

NFTの作成から取引までの流れは以下のようになります。

  1. 作成(ミント)
    デジタルデータをNFT化する過程を「ミント」と呼びます。
    作成者は適切なブロックチェーンプラットフォームを選択します。
  2. 販売
    作成されたNFTは、専用のマーケットプレイスで販売されます。
    プラットフォームごとに異なるマーケットプレイスがあります。
  3. 購入
    購入者は各プラットフォームに対応した仮想通貨(イーサリアムの場合はETH、ソラナの場合はSOLなど)を使ってNFTを購入します。
  4. 所有権移転
    取引が成立すると、選択されたブロックチェーン上で所有権が移転します。

NFTと従来のデジタルデータの違い

NFTと従来のデジタルデータには、以下のような違いがあります。

  • 所有権の明確さ
    NFTは所有者を明確に特定できますが、従来のデジタルデータは誰でもコピー可能です。
  • 希少性
    NFTは数量が限定されていますが、従来のデジタルデータは無限にコピーできます。
  • 価値の保持
    NFTは転売時に価値が上がる可能性がありますが、従来のデジタルデータは基本的に価値が下がります。
  • 取引の透明性
    NFTの取引履歴は公開されていますが、従来のデジタルデータの取引は不透明です。

広告・宣伝分野でのNFT活用法

NFTを活用したプロモーション

NFTは、ブランドや商品のプロモーションツールとして活用できます。
例として下記のような活用が考えられます。

  1. 限定NFTの発行
    商品購入者に限定NFTを配布し、コレクター心を刺激する。
  2. NFTを使ったキャンペーン
    NFTを集めると特典が得られるようなキャンペーンを実施する。
  3. ブランドストーリーの発信
    ブランドの歴史や価値観をNFTアートとして表現する。

顧客エンゲージメントの向上

NFTを活用することで、顧客との長期的な関係性を構築できます。

  • 会員証としてのNFT
    特別な会員限定サービスにアクセスできるNFT会員証を発行する。
  • コミュニティ形成
    NFT保有者限定のイベントや特典を設けることで、ファンコミュニティを形成する。
  • 顧客フィードバック
    NFT保有者から製品開発に関する意見を募る。

新たな収益モデルの創出

NFTは、企業に新たな収益源をもたらす可能性があります。

  • デジタルグッズの販売
    ブランドのロゴやキャラクターをNFT化して販売する。
  • 二次流通からのロイヤリティ
    NFTが転売される度に、一定のロイヤリティを得られる仕組みを構築する。
  • NFTを活用した資金調達
    新規プロジェクトの資金をNFT販売で調達する。

NFTを活用した広告・宣伝の事例

Perfumeの3Dデータ販売事例

日本を代表する音楽ユニット「Perfume」が、3Dデータを販売しました。
これは、Netflixで配信されていた「Perfume Imaginary Museum “Time Warp”」で使用したデータを軸として、パフォーマンスとして披露された振り付けからメンバーの象徴的なポーズを3Dデータにして販売したものです。

落札額は約325万円(20000MATIC)であり、新たなエンターテインメントの形として大きな話題となりました。
この事例は、アーティストの新たな表現方法とファンエンゲージメントの可能性を示しています。

参考:https://www.perfume-web.jp/news/detail.php?id=3676


吉本興業の撮りおろしコント販売事例

吉本興業は、NFTを活用して撮りおろしコントの販売を開始しました。
これは、撮りおろしコントを購入することで、そのコント動画が自分の所有権となるというものです。
購入した撮りおろしコントの動画は自分で持ったままにすることはもちろん、誰かにあげたり販売することもできます。

買っても売ってもその芸人を応援できるため、好きな芸人を応援したいという気持ちから購入しているファンも多いといえます。
この取り組みは、エンターテインメント業界における新たな収益モデルとファンサポートの形を提示しています。

引用:https://fanynft.yoshimoto.co.jp/


UniCaskのウィスキー樽小口所有の事例

UniCaskでは、小口化した樽にNFTを紐付けて発行しています。
購入することで、UniCaskのウィスキー樽と、そこで熟成されるウィスキーの小口所有が可能です。

UniCaskのNFTは「Cask NFT」とされており、「Cask NFT」を保有することでUniCaskが運営するゲームに参加できます。
ウィスキー樽の小口所有だけではなく、ゲームに参加できるように、さまざまな権利を獲得できるNFTです。

この事例は、実物資産とデジタル資産を融合させた新しいビジネスモデルを示しており、NFTの応用範囲の広さを表しています。
また、コレクターズアイテムとしての価値だけでなく、実際の体験やゲーム参加権を組み合わせることで、より魅力的な商品設計が可能であることを示唆しています。

引用:https://for-professional.jp/media/consultant/business-consultant/article/nft-method/


これらの事例は、NFTが単なるデジタルアートの枠を超えて、エンターテインメント、コンテンツ販売、そして実物資産との連携など、さまざまな分野で革新的な活用方法を生み出していることを示しています。
広告・宣伝の観点からも、これらの事例は新たな顧客体験の創出や、ブランドエンゲージメントの強化につながる可能性を秘めていると考えます。


NFT活用の課題と注意点

NFTを活用する際には、以下のような課題や注意点があります。

  1. 法的な不確実性
    NFTに関する法規制はまだ明確ではありません。
  2. 環境への影響
    NFTの作成・取引には大量の電力を消費するため、環境負荷が懸念されています。
  3. セキュリティリスク
    NFTの保管には専用のウォレットが必要で、管理に注意が必要です。
  4. 市場の変動性
    NFT市場は比較的新しく、価格の変動が激しい傾向があります。
  5. 消費者の理解度
    まだNFTの概念を理解していない消費者も多く、教育が必要です。

NFTは、デジタルデータに唯一無二の価値を付与する革新的な技術です。
広告・宣伝の分野では、新たなプロモーション手法や顧客エンゲージメントの向上、さらには新しい収益モデルの創出など、多様な可能性を秘めていると考えられます。

一方で、法規制や環境問題、セキュリティなど、解決すべき課題も存在します。
これらの課題に対処しながら、NFTの特性を活かした創造的な活用方法を模索していくことが重要だと考えています。


参考記事

NFTの成功事例7選|特性を活かした活用方法を紹介 – 広告.jp メタバース研究所
NFT(Non-Fungible Token)とは?特徴や活用事例を紹介! – NOKID