オンラインカジノは違法:広告制作で押さえるべき注意点とは?

オンラインカジノに関連するニュースを目にする機会が増えています。
日本ではオンラインカジノの利用自体が違法とされていますが、それにもかかわらずネット上では関連広告が堂々と配信されていることもあり、広告業界としては「どこまでが違法なのか」「広告を出している側も処罰されるリスクはあるのか」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

今回は、広告制作における違法リスクを回避するためのポイントや、実務で気をつけるべき点について考えてみたいと思います。


オンラインカジノは「グレー」ではなく
賭博罪にあたる

まず前提として押さえておきたいのが「オンラインカジノはグレーゾーンではない」という点です。
弁護士ドットコムニュース(2025/2/14)によると、オンラインカジノの利用は日本国内では賭博罪にあたるため違法とされていて、たとえ「違法だと知らなかった」としても罪は成立するので、知らずに利用してしまった場合でも処罰の対象になる可能性があると言われています。


アフィリエイター逮捕など
強まる規制の動き

弁護士JPニュース(2024/12/2)では、アフィリエイターがオンラインカジノの利用を促す広告(リンク)を貼って常習賭博ほう助の容疑で逮捕された事例が取り上げられています。
以前は摘発されにくかったアフィリエイト報酬を得る手法も、近年は警察が取り締まりを強化しているため、広告主やアフィリエイター、広告代理店なども注意が必要です。


広告を出す行為そのものも
「賭博ほう助罪」にあたるリスク

スポニチアネックス(2025/2/9)によれば、オンラインカジノの広告を出す行為自体が「常習賭博ほう助罪」に問われる可能性があるとのことで、広告が海外から配信されていたり、サーバーが海外にあるケースも多く、日本の法執行機関としては取り締まりにくい面があるとされています。
しかし、警察は近年、オンラインカジノを排除すべく積極的な捜査を行っており、国内事業者・広告媒体へのアプローチも強化しているのが現状だと言われています。


無料版のオンラインカジノに関する広告は
「ゲーム扱い」?

一方で、週刊女性PRIME(2025/2/7)では「リアルマネーを賭けない無料版のオンラインカジノであれば“ゲーム”として扱われる」ため、現在もCMが流れていると報じており、実際に有名人が出演する動画広告なども、あくまで「無料で遊べるデモ版」として宣伝されているケースが多く見受けられます。

しかし、無料版だからといってまったくリスクがないわけではありません。
無料版で集めたユーザーを将来的に実際の賭博サイトへ誘導する行為は、結果的に常習賭博ほう助に問われるリスクをはらんでいるので、広告やキャンペーン内容を慎重に精査することが重要だと考えます。


「違法にならない広告」とは何か?

広告に関わる事業者にとって「違法になる広告」を出稿することは、企業ブランドや社会的信用を損なうリスクをはらんでいます。
特に、広告制作会社はクライアントとユーザーをつなぐ役割を担うため、違法性が疑われる表現や手法を回避するためのチェック体制が欠かせません。
以下では、広告制作会社として押さえておきたいポイントを整理します。

広告主と商品の合法性を確認する

まずは広告を依頼してくるクライアントや、訴求する商品の合法性をチェックすることが大前提です。
例えば、業態そのものが法律で規制されている業種(医薬品や金融商品、ギャンブル関連など)の場合は、業種別の法令・ガイドラインに詳しい専門家への相談が不可欠です。


表現やコピーの適法性を見極める

広告の内容が事実と異なったり、誇大広告とみなされる表現を含んでいたりすると、景品表示法など各種法令に抵触する恐れがあり、たとえ商品自体は合法であっても、広告の表現によって違法性を帯びるケースがあるため、ライティングやキャッチコピーの段階で十分な検証が求められます。


法令や業界ガイドラインの遵守

広告を出稿するプラットフォームによっては、独自のガイドラインや規約が設けられている場合があり、SNSや動画配信サイトなどでは特にギャンブルや金融、ヘルスケア関連の広告に厳しい制限があり、違反するとアカウント停止や広告の掲載拒否といったペナルティが科されることもあります。
広告制作会社としては、クライアントが遵守すべきガイドラインを十分に把握し、コンプライアンスを徹底する姿勢が必要です。


未成年への配慮や社会的影響を考慮

広告は多様な人々の目に触れるため、未成年に対する配慮や社会的影響も考慮しなければなりません。
過度に射幸心をあおる表現、健康被害を誘発するおそれのある表現、公序良俗に反する表現などは、たとえ直接的に違法とされなくても社会的批判を招く可能性があります。
広告制作会社としては、社会的責任も踏まえてクライアントと調整を行い、過剰な表現を控えることが重要です。


顧問弁護士や専門家との連携

複雑な法規制の存在するジャンルや、グレーゾーンが疑われる案件を取り扱う場合は、社内外の専門家との連携を早い段階で行うことが大切です。
制作完了後に「違法の可能性がある」と判明すると、修正に大きな手間とコストがかかるだけでなく、制作会社が損害賠償や信用失墜のリスクを負うことにもつながりかねないので、事前にリーガルチェック体制を整えておくことが、自社とクライアント双方を守ることになります。


企業や個人であっても、違法性が疑われるサービスの広告や宣伝活動に関わる際は、最新の法律情報や専門家の見解を踏まえ、リスク対策を徹底することが求められますので、広告制作会社としても、広告案件を受ける前にしっかりと運営元や表現内容を確認し、疑わしい点があればリーガルチェックを行うなど、慎重に取り組む姿勢が不可欠だと考えます。


※本記事は法律上のアドバイスを提供するものではありません。個別具体的な事案につきましては、必ず専門家の助言を受けるようにしてください。


参考記事