「大阪マラソン2025」に学ぶ!市民参加型スポーツ大会のマーケティング戦略

先日2025年2月24日、「大阪マラソン2025」が開催されました。
国内外から集まった多くのランナーが大阪府庁前からスタートし、大阪城公園をゴールとする42.195kmを駆け抜け、男子マラソン日本記録(2時間4分56秒)保持者の鈴木健吾選手などトップアスリートも参戦し、世界選手権代表の座を狙うハイレベルなレースが展開されました。

大阪マラソンは市民ランナーが同じコースを走る市民参加型大会としても定着し、健康志向や地域活性化の観点から大きな注目を集めており、今回は大阪マラソンをきっかけに「スポーツ大会のマーケティング」について改めて考えてみたいと思います。

https://www.osaka-marathon.com/より引用


「するスポーツ」の市場拡大と背景

2007年に市民参加型へと統合された東京マラソンの大成功を機に、全国各地でマラソン大会が次々と誕生しました。
大阪マラソンもその流れをくみつつ、学生時代で終わりがちだったスポーツを再開する社会人を多く取り込んでいます。

また、平均寿命が伸びる現代社会では「健康を維持するにはどうすればいいか」が重要なテーマとなっており、自治体や企業も健康増進の取り組みを活発化させています。
マラソン大会のスポンサーにはスポーツ用品・飲料メーカーだけでなく、不動産や金融といった一見スポーツと無関係な業種まで多岐にわたり始めています。


スポーツマーケティングの視点
「見る」から「する」へ

スポーツイベントといえば、かつてはスタジアムなどで観戦する「見るスポーツ」というイメージが強くありました。
しかし、市民マラソンや地域密着型のトライアスロンなど、参加型(するスポーツ)の魅力が再注目されていて、特にマラソンのように「誰でも参加できる」イベントは、一般消費者を当事者として巻き込める点が大きな特徴です。

企業側から見ると、参加者や観客に向けて商品・サービスをアピールするだけでなく、「健康を応援する企業姿勢」を示すことによって社会貢献や好感度アップを図ることができ、自治体にとってもマラソン大会の誘致や支援は地域経済の活性化につながり、観光客の増加やメディア露出が期待できるメリットがあります。

さらに、マラソン大会やスポーツイベントそのものが「体験型メディア」として機能する点にも注目が集まっており、給水所でのサンプリングやゴール地点でのブース出展など、五感を通じて顧客と接触する機会が増え、SNSや口コミで話題が広がりやすくなると言われています。


トップアスリートと
市民ランナーの相乗効果

大阪マラソンは世界選手権やオリンピック代表選考会を兼ねているため、トップアスリートが集結し、メディアの取材や報道が大幅に増えます。
大会の知名度向上はスポンサー企業や地域にも恩恵をもたらし、広告効果や経済効果の拡大につながります。

一方、市民ランナーにとっては、エリート選手と同じコースを走る体験そのものが魅力で、自分自身の健康維持やチャレンジのモチベーションを高めるだけでなく、レースの盛り上がりや達成感が大きく、スポーツへの関心をより強く持つきっかけになります。
こうした「トップアスリートの競技性」と「市民の参加体験」の両面がうまく噛み合うことで、大会はさらに盛り上がっていきます。


大会から広がるマーケティングの可能性

マラソン大会は、企業や自治体にとって新商品・サービスのテストマーケティングや地域ブランドの確立など、多様なマーケティングの機会を提供します。

  • スポーツウェア、シューズ、サプリなど「健康」を切り口とした新商品の開発
  • ウェアラブル端末やアプリの実証実験・データ収集の場としての活用
  • 大会前後に地域の特産品をPRするフードイベントや観光ツアー
  • 参加費の一部を地元の医療・福祉に寄付するなど社会貢献型プロジェクト

こうした取り組みは、健康志向の高い消費者や観光客を取り込み、地域経済を盛り上げるだけでなく、企業の社会的イメージの向上や住民の参加意欲を高める相乗効果が期待できます。


大阪マラソン2025は、トップ選手の競技性と市民ランナーの参加意欲が融合し、健康志向や地域活性化の大きな波を作り出す場となりました。
ドラマや話題性がメディアと観客の注目を集め、さまざまな企業や自治体がスポーツイベントをマーケティングや社会貢献のプラットフォームとして活用しやすい環境が整いつつあります。

今後も長寿社会や健康ニーズの高まりに伴い、「するスポーツ」の市場はさらに拡大していくと予想でき、企業や自治体がスポーツイベントの持つ力を最大限に活かすためには、単なる広告効果だけでなく、地域や参加者とのかかわり方、社会課題との連動などを総合的に設計することが重要だと考えます。


参考記事
・https://www.runwayplus.jp/content_0090