大阪・関西万博の開幕までわずか2か月となりましたが、現状では前売券の販売枚数が目標の半分程度に留まっているそうです。
一つの要因として、前売券購入での複雑な手続きがユーザーに大きな負担となり、「買いにくい」という声が相次いでおり、専用サイトを経由しての電子チケット購入、来場日時の予約、さらにはパビリオンなどの別途申し込みと、段階ごとに求められる手続きの数々が、利用者にとって分かりにくさを招いています。
今回の大阪万博のチケット購入の難しさの問題をきっかけに、改めてUIデザインの重要性について考えてみたいと思います。
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大阪万博のチケット販売現状と課題
NHK関西の報道によると、前売券の販売は目標に対して伸び悩んでおり、博覧会協会では当日券の導入や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとの連携による割引キャンペーンなど、販売促進策を強化しており、副会長の松本正義氏は、「チケットが買いにくいという声を受け、あらゆる手段で販売を伸ばす」と意気込みを示しています。
複雑なチケット購入手続き
実際、購入手続き自体も非常に複雑だと感じます。
協会によると、まずは専用サイトを経由して電子チケットを購入しますが、チケットには、来場日の期限が設定されたものや時間帯が限定されたものなどさまざまな種類があるようで、ユーザーはそれぞれの注意点を把握する必要があります。
購入時には「万博ID」の登録が求められ、来場日時の予約も事前に行う必要があり、入場日時の予約は、来場希望日の6か月前から先着順で受け付けられ、例えば開幕日の場合は今月13日から申請可能です。
またパビリオンなどの予約については別途申し込みが必要で、3か月前から前日までの間に計3回の申請機会が設けられており、抽選や先着順で決定されます。
抽選となる1回目、2回目の申し込みでは第5希望まで受け付けられますが、人気パビリオンには希望が殺到することが予想され、ユーザーは慎重な対応が求められます。
UIデザインとは?
UIデザインは、ウェブサイトやアプリケーションなどでユーザーが直接触れる部分のデザインを指します。
具体的には、ボタン、テキスト、アイコン、レイアウト、カラーなど、ユーザーが直感的に操作できるように工夫された要素が集約されています。
UIデザインの目的
- ユーザーのニーズを的確に把握し、求める情報や機能を迅速に提供する
- 使いやすさを追求してストレスなく操作できる環境を整える
- ブランドイメージを効果的に伝える
たとえ魅力的なサービスであっても、UIデザインが不十分であればユーザーが混乱し、購入プロセスにおいてもマイナスの影響を与えてしまいます。
良いUIデザインのポイント
レイアウトと視認性
グリッドを活用した整然とした配置により、ユーザーが情報に迷わずアクセスできるよう、視覚的な階層構造や十分な余白の確保が重要です。
カラーとブランディング
適切なカラースキームの選定は、ブランドイメージを強化し、情報の優先順位を視覚的に伝えるために不可欠で、カラーコントラストやアクセシビリティにも配慮することが重要です。
テキストとアイコン
読みやすさと直感的な表現を実現するため、フォント、サイズ、行間の最適化や、誰にでもわかるアイコンの使用がユーザー体験を向上させます。
ボタンとインタラクション
クリック可能であることがひと目でわかるデザインは、ユーザーの安心感を高め、具体的なアクションへの誘導に役立ちます。
モバイルフレンドリーな設計
スマートフォンなど、さまざまなデバイスで快適に利用できるように、レスポンシブデザインの徹底が必要です。
快適な購入体験へ向けたUI改善
- 直感的なナビゲーションの設計
ユーザーがどこに何があるのかを迷わず理解できるレイアウトを心がけ、複雑な手続きでも迷いなく進められる導線設計が求められます。 - 購入手続きの簡素化と明確な案内
複雑なチケット購入プロセスをユーザーにわかりやすく説明することで、登録や予約の際の混乱を軽減します。
たとえば、各手続きのステップや注意点をビジュアルで示すなど、ガイドラインの充実が有効です。 - アクセシビリティの向上
色のコントラストやフォントサイズの調整、スクリーンリーダー対応など、全てのユーザーが利用しやすい環境作りが重要です。 - レスポンシブデザインの徹底
現在、多くのユーザーがスマートフォンからアクセスするため、各デバイスで快適に利用できる設計が必須です。 - エラー表示やフィードバックの明確化
入力エラー時の具体的な指示や、処理状況が一目で分かるフィードバック機能を充実させ、安心して操作できる環境を提供します。
成功事例に学ぶUIデザインのヒント
世界中で評価されるサービス、たとえばAirbnb、Dropbox、Trello、Slackなどは、シンプルで直感的なUIデザインを実現しています。
- ユーザー視点での設計:ユーザーが必要な情報にすぐアクセスできるよう工夫されています。
- 一貫性のあるデザイン:色、フォント、アイコンなどが統一され、ユーザーに安心感を与えます。
- 迅速なフィードバック:ユーザーの操作に対して即座に反応があり、混乱やエラーを最小限に抑えています。
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優れたUIデザインは単なる見た目の美しさを追求するだけでなく、ユーザーが複雑な手続きの中でも安心して利用できる体験を生み出す、サービス成功の根幹とも言える要素だと思います。
分かりやすいナビゲーションや適切なフィードバック、そして一貫性のあるデザインは、ユーザーの不安を解消し、利用プロセス全体に快適さと信頼感をもたらすと考えています。
参考文献
・万博まで2か月 チケットの販売促進策を強化 当日券も検討(NHK 関西NEWS WEB)
・「2時間待ちの方がええわ」チケット売れない原因は買いにくさ 万博まで2カ月「改善に努める」と担当者(Yahoo!ニュース2/10掲載記事)