パートナーシップ構築宣言とは?|取引先との良好な関係を築く

パートナーシップ構築宣言という言葉を聞いたことがありますか?

パートナーシップ構築宣言とは、企業が自社の取引方針を明確にし、取引先と良好な関係を築くことを目指す宣言です。
具体的には、企業が「発注者」の立場で、取引先との取引を適正に行うことを約束します。
この取り組みは、大企業と中小企業の間に生じやすい力の不均衡を解消し、下請け企業が不利益を被らないようにするためのものです。

「パートナーシップ構築宣言」の仕組みは、関係閣僚(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省及び内閣官房副長官)と経団連会長、日商会頭、連合会長をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、令和2年5月に創設されました。
令和5年3月現在で、全国累計で19,096社が登録されているのだそうです。

今回は、パートナーシップ構築宣言の概要や中小企業がこの取り組みを通じて得られるメリットなどについて学びたいと思います。


パートナーシップ構築宣言の概要

パートナーシップ構築宣言とは、企業が「発注者」の立場で、自社の取引方針を明確にし、取引先と良好な関係を築くことを目指す宣言です。
この取り組みは、大企業と中小企業の間で発生しがちな力の不均衡を是正し、下請け企業が不利益を被らないようにするためのものです。
この宣言は、企業のトップが署名し、公式ポータルサイトに登録することで、公的にその取り組みが認められるようになります。
これにより、企業全体で宣言を遵守する意識が高まり、取引先との信頼関係が強化されると言われています。


パートナーシップ構築宣言のメリット

信頼関係の構築

パートナーシップ構築宣言を行うことで、発注元企業は下請け企業に対して適正な取引を行うことを約束します。
これにより、下請け企業は安心して取引を行えるようになり、信頼関係が築かれます。
具体的には、下請中小企業振興法の「振興基準」に基づく取引が行われるため、不利益を被るリスクが減少すると考えられます。


公式ポータルサイトへの掲載

宣言を行った企業は、その内容が公式ポータルサイトに掲載されます。
これにより、「下請け企業に不利益のない取引を行う」という姿勢を広く周知でき、取引先や消費者に対して良いイメージを与えることができると言われています。


ロゴマークの使用許可

宣言を行った企業は、パートナーシップ構築宣言のロゴマークを使用することができます。
名刺やパンフレットなどにロゴマークを使用することで、取引先との共存共栄を目指すホワイト企業であることをPRできると言われています。


補助金の加点措置

パートナーシップ構築宣言を行うことで、国が実施する補助金で加点措置が受けられることがあります。
例えば、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」などの申請において、この宣言が加点要素となり、採択の可能性が高まると言われています。


SDGsの達成への貢献

パートナーシップ構築宣言は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献します。
具体的には、以下の目標に取り組んでいるとみなされます。

  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標8:働きがいも経済成長も
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

パートナーシップ構築宣言の事例紹介

花王株式会社の取り組み

花王株式会社は、サプライヤーに対してCDPサプライチェーンプログラムやSedexという国際的な評価枠組みの調査回答を促し、結果を分かりやすくフィードバックしています。
この取り組みで、サプライヤーの環境活動レベルやESGマネジメントレベルの向上が見られ、パートナーシップ構築対象2022経済産業大臣賞を受賞しました。

https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2022/20221201-001/より引用


株式会社日立システムズの取り組み

株式会社日立システムズは、パートナー企業と事業方針を共有し、人財育成と事業強化を行う取り組みで、デジタル分野事業の拡大に貢献しています。
この取り組みで、パートナーシップ構築大賞2022中小企業庁長官賞を受賞しました。

https://www.hitachi-systems.com/news/2022/20221130.htmlより引用


パートナーシップ構築宣言のデメリット

パートナーシップ構築宣言のデメリットとしては、下請中小企業振興法の「振興基準」を守らなければならなくなるという点があります。
この基準に従うことで、企業間の取引がより適正になり、下請け企業に対する不当な扱いが防がれると考えます。


パートナーシップ構築宣言と補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、製造業を対象とした補助金であり、パートナーシップ構築宣言を行っている企業は加点措置を受けることができます。
これにより、補助金の採択が有利になると考えられます。


事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新たな事業の展開を支援する補助金であり、パートナーシップ構築宣言を行っている企業は加点措置の対象となります。
これにより、事業の再構築や新たなビジネスモデルの構築が進めやすくなると言われています。


パートナーシップ構築宣言は、企業が取引先との良好な関係を築くための重要な取り組みです。
これにより、企業は信頼関係を構築し、公式ポータルサイトへの掲載やロゴマークの使用、補助金の加点措置など多くのメリットを享受できます。
中小企業にとって、パートナーシップ構築宣言は競争力を高め、持続可能な成長を実現するための有力な手段となると考えます。


参考記事
https://www.sme-support.co.jp/2023/12/08/950/
https://hksllc.co.jp/2023/03/12/partnership/