要件定義とは？初心者にもわかる基礎知識と成功する手順

Webサイトの制作において、「要件定義」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。
しかし、「具体的に何をするのか」「どのように進めるべきか」といった部分が曖昧なままの人もいるかもしれません。

今回は、発注者側も制作側も役立つ、要件定義の基礎やその重要性、具体的な手順について改めてまとめてみたいと思います。

要件定義とは何か？

要件定義とは、ユーザーの要求を具体的な形に落とし込み、プロジェクトの進行や実現方法を明確にする作業を指します。
たとえば、システム開発やWebサイト制作では、クライアントが抱える課題や希望を整理し、どのような成果物を作るかを計画する工程がこれに該当します。

要件定義と要求定義の違い

ここで混同されやすいのが「要求定義」との違いです。

• 要求定義: ユーザーが「何を必要としているか」を定義
• 要件定義: 要求を実現するための具体的な機能や手法を開発者視点で明確化

要件定義では、「どう作るか」を深掘りし、実行可能な計画を立てます。
この違いを押さえることで、要件定義の役割がより明確になります。

なぜ要件定義が重要なのか

要件定義は、プロジェクトの命運を握る基盤です。
この工程を適切に行うことで、スムーズなプロジェクト進行と高品質な成果物を実現できます。

要件定義が曖昧だと何が起きる？

• 納期の遅れ: 不十分な要件定義は、開発後半での仕様変更を招き、スケジュールが崩れる原因になります。
• コストの増大: 要件変更による手戻り作業が増え、予算を圧迫します。
• 品質の低下: 重要な機能の抜け漏れや、ユーザーの期待と異なる成果物が生じる可能性があります。

要件定義の具体的な流れ

1. ユーザーからの要求をヒアリングする

要件定義の最初のステップは、クライアントやユーザーからの要求を詳しく聞き取ることです。

• ヒアリングのポイント: ユーザーの課題やゴールを明確化し、具体的な要望を引き出す。
• 注意点: 抽象的な要望を具体化し、プロジェクトの範囲を明確にする。

2. 要求を細分化する

ヒアリングで得た情報を整理し、実現可能な形にまとめます。
ここでは、要求を以下のように分類するのが一般的です。

• 必須要件: 必ず実現するべき機能や仕様
• 希望要件: 実現できれば嬉しいが、必須ではないもの

要求を優先順位に分けることで、プロジェクトの進行がスムーズになると考えます。

3. 要件定義書を作成する

最後に、すべての情報をまとめた要件定義書を作成します。
この文書は、プロジェクトチーム全員が参照できる「設計図」の役割を果たします。

• 要件定義書に含める内容
  • プロジェクトの目的や背景
  • ユーザーの要求とその優先順位
  • 必須要件と希望要件の詳細
  • 開発スケジュールとリソース割り当て

作成した要件定義書をもとに、チーム全員で内容を共有することが重要です。

要件定義に必要なスキル

要件定義を適切に行うためには、次のスキルが必要です。これらを身につけることで、プロジェクトの進行をスムーズにし、成功に導くことができます。

1. ヒアリング力
   • ユーザーやクライアントから正確に要求を引き出す力です。
     ただ話を聞くだけでなく、本質的なニーズを汲み取る質問力が求められます。
   • 特に、抽象的な要望を具体化する力が重要です。たとえば「使いやすいデザインにしてほしい」という要望を、実際の操作フローやデザインコンセプトに落とし込むスキルが必要です。
     
2. 技術的な知識
   • 要求を実現可能かどうか判断するための基礎的な開発知識です。システムの基本構造や使用する技術の制約を理解していなければ、非現実的な要件を受け入れてしまい、後の工程で大きな混乱を招く恐れがあります。
   • たとえば「AI機能を取り入れたい」という要望に対して、開発リソースやスケジュールを考慮し、実現可能な形で提案する力が求められます。
     
3. ドキュメント作成力
   • 要件を整理し、分かりやすく文書化する力です。
   • ドキュメントはプロジェクト関係者全員が利用する重要な資料なので、誰が見ても理解しやすい形式で作成することが大切です。
   • 表や図を適切に使用し、フォーマットを統一することで、内容が伝わりやすくなります。

要件定義の成功に向けたポイント

要件定義を成功させるためには、次のポイントを意識することが重要です。

1. 明確なゴール設定
   • プロジェクトの目的や成功基準を共有することが第一歩です。
     関係者全員が同じ目標を認識していないと、要件定義がぶれたり、後の工程で大きな修正が必要になるリスクが高まります。
   • 具体的には、「ユーザー体験の向上」や「月間PVの20%増加」といった定量的な目標を設定することで、要件の優先順位が明確になります。
     
2. チーム間の連携
   • 要件定義は一人で完結する作業ではなく、ユーザーや開発チーム、営業担当者との協力が必要です。
     特に開発チームとの連携は、技術的な制約を理解しながら現実的な計画を立てるために欠かせません。
   • たとえば、定期的なミーティングやレビューを実施し、チーム全員が同じ認識を持つように心がけましょう。
     
3. ツールやテンプレートの活用
   • 効率的に作業を進めるためには、要件定義に特化したツールやテンプレートの活用が有効です。
   • たとえば、ExcelやGoogleスプレッドシートで要件リストを管理したり、プロジェクト管理ツールを使用して進行状況を可視化すると、情報の共有がスムーズになります。
   • また、過去のプロジェクトで使用した要件定義書のテンプレートを流用することで、作成時間を短縮しつつ精度を高めることができます。

要件定義は、プロジェクトの成功に直結する重要な工程です。
要件定義を適切に行うことで、スムーズな進行と高品質な成果物を実現できると考えています。

参考記事
・https://it-trend.jp/development_tools/article/32-0060