レスポンシブデザインとは?メリット・デメリットと導入ポイントについて

Webデザインにおいて、近年ますます重要性を増しているのが「レスポンシブデザイン」です。
PCやスマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスでWebサイトが閲覧されるようになり、ユーザーがどのデバイスを使っても快適にサイトを利用できることが求められています。
特に、スマートフォンが普及した今、モバイル対応はWebサイト運営に欠かせない要素となっています。


今回は、レスポンシブデザインの基本知識や作成のポイントについてまとめます。


レスポンシブデザインとは?

定義と基本概念

レスポンシブデザインとは、PC、スマートフォン、タブレットなど、異なるデバイスや画面サイズに応じて、Webページのレイアウトやデザインを動的に調整する手法です。
具体的には、1つのHTMLコードで複数のデバイスに最適化された表示を提供します。例えば、PCでは複数のカラムを表示し、スマートフォンではそれを1カラムに変換することで、ユーザビリティ(使いやすさ)を高めることが可能です。

この技術の最大の特徴は、ユーザーのデバイスや画面サイズに応じて自動的にレイアウトが変わる点にあります。
これにより、どのデバイスでも快適にWebサイトを閲覧でき、表示が崩れたり操作がしにくくなる状況を防ぎます。


レスポンシブデザインが生まれた背景

レスポンシブデザインが登場した背景には、2010年代に急速に普及したスマートフォンの影響が大きくあります。
当時はPC向けとスマートフォン向けに別々のサイトを用意することが一般的でしたが、管理コストが高くなることや、異なるデバイスでも一貫したユーザー体験を提供する必要性から、Googleが「モバイルフレンドリーなデザイン」を推奨するようになりました。
この流れの中で、レスポンシブデザインが広がり、現在では標準的なWebデザイン手法となっています。


レスポンシブデザインのメリット

1つのHTMLでサイトを管理できる

レスポンシブデザインを採用すると、PC、スマートフォン、タブレットといった各デバイス向けに個別のHTMLファイルを用意する必要がなくなります。
これにより、サイトの更新や修正作業が大幅に簡素化されます。
従来の方法では、PC用のサイトを更新する際、スマートフォン用やタブレット用のサイトもそれぞれ修正しなければならず、多くの手間がかかっていました。
レスポンシブデザインでは、1回の修正で全デバイスに反映できるため、運用コストが削減されます。


SEO効果が期待できる

レスポンシブデザインは、SEO(検索エンジン最適化)にも好影響を与えます。
Googleは「モバイルファーストインデックス」と呼ばれる基準で、モバイルサイトの評価を重視しています。
レスポンシブデザインに対応しているWebサイトは、モバイルフレンドリーとして評価され、検索結果の上位に表示される可能性が高まります。
検索エンジンでの上位表示を目指す上で、レスポンシブ対応は重要な要素です。


SNSシェアの利便性

レスポンシブデザインは、どのデバイスで閲覧しても同じURLでアクセスできるため、SNSなどでのシェアが容易になります。
デバイスごとに異なるURLを使う必要がなくなるため、リンクがシンプルになり、共有の際の手間を減らせます。
また、共有されたリンクをどのデバイスで開いても、最適なレイアウトで表示されるため、ユーザーの満足度が高く、さらにシェアが広がりやすくなります。


レスポンシブデザインのデメリット

表示速度の問題

レスポンシブデザインにはデメリットも存在します。
1つのHTMLファイルをすべてのデバイスで使用するため、PC向けの高解像度画像や重いスクリプトがスマートフォンでも読み込まれてしまうことがあります。結果として、スマートフォンでのページ表示速度が遅くなり、ユーザーが離脱する可能性が高まります。


デザインに制限がある

レスポンシブデザインでは、デバイスごとに完全にカスタマイズされたデザインを実現することが難しい場合があります。
異なるデバイスに対応するため、デザイン要素に一部妥協が必要になることがあるのです。
例えば、PC向けに精緻なレイアウトを作り込んだとしても、スマートフォンでの表示ではシンプルにまとめざるを得ないことがあります。


レスポンシブデザインで採用される
レイアウトの種類

レスポンシブレイアウト

レスポンシブレイアウトは、画面の幅に応じてページ内の要素(テキスト、画像、ナビゲーションメニューなど)が自動的に並び替えられるレイアウトです。
この動的なレイアウトの変更には「ブレイクポイント」と呼ばれる基準が使用されます。
たとえば、960px以上の画面幅では2カラムレイアウトを表示し、スマートフォンのような小さな画面では1カラムに変換するなど、ブレイクポイントに基づいた表示の最適化が行われます。

ブレイクポイント:画面幅に合わせてCSSを切り替える時に使用する、切り替えポイントのこと


リキッドレイアウト

リキッドレイアウトは、画面幅に応じて要素自体の幅やサイズが変動するレイアウトです。
どのデバイスでも同じコンテンツが表示されるため、情報量が変わることはありませんが、表示領域に応じて要素が拡大・縮小します。
これはデバイス間で一貫性を保ちながら、異なる画面サイズに対応する方法として有効です。


フレキシブルレイアウト

フレキシブルレイアウトは、リキッドレイアウトの進化版とも言えるもので、最小幅と最大幅を指定することができます。
これにより、極端に小さな画面や大きな画面でも、適切な幅で要素が表示され、快適なユーザー体験を提供します。
デスクトップPCの大画面でも、要素が広がり過ぎて見づらくなることを防ぐため、ビジネスサイトやECサイトでよく使われるレイアウトです。


レスポンシブデザインを導入する
5つのステップ

STEP 1: 要件定義

まず最初に行うのは、Webサイトのゴールやターゲットユーザー(ペルソナ)に基づく要件定義です。
この段階では、サイトを閲覧する主なデバイスを決定し、対応する画面幅を設定します。
一般的には、スマートフォン、タブレット、PCの3つのデバイスに対応することが多いです。また、ブレイクポイントもここで決定します。
最近のトレンドでは、スマートフォンの画面サイズが大きくなっているため、その点も考慮して設計します。


STEP 2: ワイヤーフレーム作成

次に、ワイヤーフレームと呼ばれるページの設計図を作成します。
ワイヤーフレームでは、各デバイス向けにコンテンツの配置や要素の表示・非表示を計画します。
PCでは情報量が多いレイアウトにし、スマートフォンでは操作性を重視したシンプルなレイアウトにするなど、デバイスごとの最適化を意識します。


STEP 3: デザイン作成

ワイヤーフレームを元に、各デバイス向けの具体的なデザインを作成します。
この段階では、サイトのターゲットやブランドイメージに合った色使いやフォント、画像素材を選定し、各デバイスでの見やすさや操作のしやすさを考慮したデザインを作り上げます。


STEP 4: 実装

デザインが完成したら、HTMLとCSSを使って実装します。
特に、メディアクエリを使用してブレイクポイントごとに異なるスタイルを適用することが重要です。
また、画面サイズに応じて画像のサイズや解像度も最適化することが推奨されます。

メディアクエリ:ブレイクポイントにあわせてスタイルを設定することができる技術


STEP 5: デザインの確認とテスト

最後に、実際に各デバイスでデザインが正しく切り替わるかを確認します。Google Chromeのデベロッパーツールを使用したり、実機でテストすることで、想定通りの表示が行われているかをチェックします。
特に、スマートフォンでの動作確認を念入りに行うことで、ユーザーの離脱を防ぐことが可能です。


レスポンシブデザイン
テンプレートの活用

SEO対応済みテンプレートの選定

テンプレートを選ぶ際は、デザインだけでなく、SEO対策が施されているかどうかも確認する必要があります。
SEOに対応していないテンプレートを使用すると、せっかく作ったサイトが検索エンジンで上位表示されにくくなる可能性があります。
テンプレートの説明文に「SEO対策済み」と明記されているものを選ぶことが推奨されます。


ページ表示速度の重要性

ページ表示速度はユーザー体験に大きく影響を与えます。
遅いページは、ユーザーが離脱してしまう原因となるため、テンプレートを選ぶ際には、表示速度のテストも行うことが大切です。
GoogleのPageSpeed Insightsなどのツールを使って、テンプレートの速度を事前に確認しておくことが望ましいです。


レスポンシブデザインは、現代のWebサイト制作において欠かせない技術です。PCからスマートフォンまで、さまざまなデバイスに対応することで、ユーザーに快適な閲覧体験を提供し、SEO対策にも貢献します。

Webデザインや運用においては、デバイスごとの特性に対応しながらも、どのデバイスでも一貫したユーザー体験を提供することが重要だと考えています。


参考サイト
・https://blog.nijibox.jp/article/responsivedesign/