音声広告が最近、広告業界で注目を集めていることをご存知ですか?
スマートスピーカーや音楽配信サービスが普及したことで、ラジオやポッドキャスト、音楽ストリーミングなどの音声メディアで広告を耳にする機会が増えています。
これまでのテレビ広告やインターネットバナー広告に代わり、音声広告は消費者にアプローチできる新しい手段として、存在感を高めています。
音楽配信サービスの利用者数が増え、音声コンテンツの需要が急速に高まっていることがその背景にあります。
2023年には世界的な音楽ストリーミングサービスの有料ユーザー数が7.13億人に達し、前年から約9,000万人増加したという報告があります。
https://musicindustryblog.wordpress.com/2024/02/08/music-subscriber-market-shares-2023-new-momentum/より引用
また、スマートスピーカーを使った音声検索や音声アシスタントも一般的になり、音声メディアを通じて新しい消費者体験が可能になりました。
こうした要因により、音声広告の市場規模は今後も成長し続けると予想されています。
今回は、デジタル音声広告の特徴や注目される理由や主な音声広告の配信媒体についてまとめます。
音声広告とは
音声広告は、音声コンテンツを通じてリスナーに商品やサービスを訴求する広告手法で、以前はラジオで放送されるCMが代表的なものでしたが、今はインターネットラジオやポッドキャスト、音楽配信サービスといったデジタル音声メディアを使う「デジタル音声広告」が登場し、新しいマーケティング手法として注目されています。
従来のラジオ広告との違い
音楽ストリーミングサービスや、音声配信で使用される音声広告は、従来のラジオ広告とは違った特徴があります。
- ターゲティング精度
デジタル音声広告は、利用者のプロフィールや聴取履歴に基づいて、より正確にターゲットを絞って広告を配信でき、例えば、特定の地域や音楽の好みに合わせた広告を配信することで、リスナーの興味に合わせた効果的なアプローチが可能です。 - 広告効果の計測
ラジオ広告ではリスナー数や広告効果を把握しにくいですが、デジタル音声広告では聴取数やその後のアクションをレポートする仕組みが整備されています。 - 対話型のインタラクティブ広告
音声アシスタントの普及により、リスナーと対話できる広告形式が可能になりました。
「詳しく知りたいですか?」という質問にリスナーが声で答えると、興味に応じた情報が提供されます。 - 確実なリーチ
音声広告は再生中のコンテンツの途中でスキップできない形式で配信されるため、確実に広告メッセージを届けることができます。
これらの特徴によって、デジタル音声広告はリスナーに商品やサービスを効果的に伝える手段として活用され始めています。
市場規模が拡大している理由
デジタル音声広告が注目される理由には、音声メディアの普及やテクノロジーの進化、リスナーの消費行動の変化など、さまざまな要因があります。
- スマートスピーカーと音楽配信サービスの普及
スマートスピーカーの普及や音楽ストリーミングサービスの成長で、音声メディアの利用時間が増え、広告を耳で聴くことに慣れたリスナーが増えました。それに伴い、音声広告の市場も急速に広がっています。 - パーソナライズされた広告配信
リスナーの地域や興味に合わせてターゲティングできるので、関連性の高い広告を効果的にリーチでき、企業にとって効率的なマーケティング手段となっています。 - 対話型広告の可能性
音声アシスタントを活用した対話型広告は、リスナーの興味に合わせた情報提供が可能で、リスナーとのエンゲージメントを強化し、ブランドの信頼感も高めます。 - 他の広告と比べて押し付けがましくない
「音声広告はテレビやオンライン広告に比べて押し付けがましくなく、むしろ興味を引く」と感じるリスナーが多いとも言われており、通勤や家事の合間に楽しめるため、リスナーの生活リズムに自然に組み込まれやすいと言われています。
デジタル音声広告の事例
1. Spotify「Spotifyデジタル音声広告」
- ターゲットオーディエンス: 若年層から中高年まで幅広い年齢層
- 世界2億人以上のユーザーが利用する音楽配信サービスで、サードパーティーデータと組み合わせたセグメントターゲティングにより、詳細なターゲット層に合わせた音声広告配信が可能。
https://ads.spotify.com/ja-JP/news-and-insights/what-is-digital-onsei-koukoku/より引用
2. YouTube「YouTube Audio」
- ターゲットオーディエンス: 広範な年齢層、音楽・動画視聴者
- YouTubeおよびYouTube Musicの広告枠に音声広告を配信可能。興味・関心やデバイス別ターゲティングによる15秒の音声広告を提供。
https://www.youtube.com/ads/より引用
3. radiko「radikoオーディオアド」
- ターゲットオーディエンス: ラジオリスナー、地域に密着したリスナー
- 独自のDMPによるユーザー履歴・位置情報ターゲティングで、パーソナライズされた広告配信が可能。
https://biz.radiko.jp/service/ad/より引用
4. 朝日新聞「朝日新聞アルキキ」
- ターゲットオーディエンス: ニュースに敏感なビジネスパーソン、社会的関心層
- 朝日新聞社が提供する音声ニュース配信サービス。重要ニュースを手軽に聞けるアプリで、ニュースに関心の高いユーザーにアプローチできます。
https://www.asahi.com/shimbun/arukiki/より引用
5. Voicy「Voicy Branding Program」
- ターゲットオーディエンス: パーソナリティに親しみを持つリスナー
- リスナーコミュニティに愛されるパーソナリティと連携し、ブランドへの好感度を高めるホストリード型のプログラム。
6. オトナル「ポッドキャスタープロモーション」
- ターゲットオーディエンス: ポッドキャスト愛好者
- ポッドキャスター(音声インフルエンサー)がリスナーに商品・サービスを紹介し、インフルエンサーマーケティングの効果を発揮。
https://otonal.co.jp/audioad/podcasterpromotion/より引用
7. stand.fm「運用型音声広告」
- ターゲットオーディエンス: stand.fmアプリのライブ・オンデマンドリスナー
- stand.fmはプログラマティック広告として音声広告枠に配信可能で、幅広い配信者のファンにリーチできます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000035509.htmlより引用
8. 米Instreamatic「インタラクティブ音声広告システム」
- ターゲットオーディエンス: 音声アシスタントやAIに馴染みのあるユーザー
- AI音声解析技術により、興味の有無を問いかける対話型広告を提供し、ユーザーに合わせたターゲティングが可能。
https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/76359/より引用
9. TOKYO FMとパイオニアの「ドライブ行動特化型デジタル音声広告」
- ターゲットオーディエンス: ドライブを楽しむリスナー
- TOKYO FMのラジオアプリとパイオニアの技術で、ドライブ行動特性に合わせた音声広告を提供。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000493.000005670.htmlより引用
以上のようなターゲットオーディエンス別の音声広告プラットフォームを通じて、企業はより適切な方法で理想的な顧客にリーチできます。
テレビや動画が中心の生活から、「なにかをしながら情報を得る」というスタイルに、私たちの生活もシフトしていると感じます。
アンテナをしっかり張って、効果的に活用していきたいものです。