シニアマーケティング戦略について考える

シニアマーケティングは、65歳以上のシニア層をターゲットとしたマーケティング戦略の一つです。
少子高齢化が進む日本では、シニア層の人口が年々増加しており、この市場をターゲットとすることは、企業にとって非常に重要なテーマとなってきているそうです。
しかし、シニア層は若年層とは異なるニーズや行動パターンを持っているため、適切なアプローチが求められます。
今回は、シニアマーケティングの基本や成功のポイント、そして実際の成功事例についてまとめます。


シニアマーケティングとは?

シニアマーケティングの定義

シニアマーケティングとは、65歳以上のシニア層を対象としたマーケティング活動を指します。
一般的に、シニア層は経済的に安定している人が多く、健康でアクティブなライフスタイルを送っていることも多いため、特有のニーズに合わせたマーケティングが求められます。


シニア層(65歳以上)の特徴

シニア層の特徴は以下の通りです。

  • 経済的安定: 長年の労働で築いた資産や年金があり、消費に余裕がある層が多い。
  • 活動的なライフスタイル: 趣味や旅行、スポーツなどに積極的に参加するアクティブな層も多く、ライフスタイルが多様です。

これらの特徴を踏まえたマーケティング戦略を展開することが、シニア層をターゲットにしたマーケティングの成功に繋がります。


シニアマーケティングが注目される背景

シニア人口の増加

シニアマーケティングが注目される最大の理由は、シニア層の人口が増加していることにあります。
日本では少子高齢化が進み、65歳以上のシニア層が年々増えています。
2023年時点でシニア人口は3,623万人に達しており、2040年には総人口の35.3%、2050年には37.7%に達すると予測されています。
これは、企業がシニア層を無視できないマーケットであることを示しています。


シニア市場の規模拡大

シニア市場の規模も急速に拡大しています。
2030年には60歳以上の消費が110兆円を超えるとされ、特に娯楽や旅行などの生活産業が大きな成長を見せています。
経済的に安定したシニア層が健康寿命を伸ばし、アクティブな生活を楽しむことが、この市場拡大の背景にあります。


シニア層の分類と特徴

シニアマーケティングを成功させるためには、シニア層の多様なライフスタイルを理解し、ターゲットを細かく分類することが重要です。
ここでは、シニア層を4つに分類してそれぞれの特徴を解説します。

アクティブシニア

アクティブシニアは、健康で積極的に社会活動や趣味を楽しむ層です。
旅行やスポーツ、ボランティア活動などに参加し、新しいことに挑戦する意欲があります。
経済的にも安定しており、趣味や健康に対する消費意欲が高いことが特徴です。


ディフェンシブシニア

ディフェンシブシニアは、年金を主な収入源とし、可処分所得が少ないながらも、健康で自由に活動できる層です。
消費行動は比較的慎重で、リスクを避ける傾向が強いことが特徴です。


ギャップシニア

ギャップシニアは、健康や体力の低下によって「やりたいこと」と「できること」にギャップを感じている層です。
収入は年金が主で、将来の健康や収入に不安を抱えているため、消費行動は控えめで、生活必需品を中心とした消費が多いです。


ケアシニア

ケアシニアは、介護や日常生活のサポートが必要な層です。
この層は、自ら積極的に消費行動を起こすことが少なく、医療や介護サービスに依存する部分が大きいのが特徴です。


シニアマーケティングを成功させるポイント

ターゲットを明確に絞る

シニアマーケティングで最も重要なのは、ターゲット層を広げすぎないことです。
シニア層と一口に言っても、年代によってライフスタイルや価値観が大きく異なります。
たとえば、60代と80代のシニア層では、求めるものや興味が異なるため、年齢層を明確に絞り込むことが効果的なマーケティングに繋がります。


ペルソナの設定

シニア層の具体的なペルソナを設定することも成功の鍵です。
ペルソナとは、ターゲットとする顧客像を具体的に描き出したもので、ライフスタイルや価値観、趣味・嗜好を細かく分析し、それに基づいたマーケティング施策を行うことが大切です。
固定観念に囚われず、潜在的なニーズを探る姿勢が求められます。


表現やクリエイティブの工夫

シニア層に向けたマーケティングでは、使う言葉やデザインにも配慮が必要です。
「高齢者」や「シニア」といった表現にネガティブなイメージを持つ人もいるため、70歳以上の人に「シニア」とは呼ばず、直接的な表現を避けることが効果的です。
また、広告やウェブサイトのデザインも、見やすさや読みやすさを重視し、大きな文字や明るい色使いを意識することが大切です。


アナログとデジタルの融合

シニア層のデジタル活用

近年、シニア層もインターネットやSNSを積極的に活用しています。
総務省のデータによれば、65歳から74歳のシニア層のインターネット利用率は80%を超えており、デジタルマーケティングの重要性が高まっています。
特に、SNS利用率も増加しているため、デジタル広告やSNSを活用することで、より幅広いシニア層にアプローチが可能です。


効果的なデジタルマーケティング戦略

デジタルとアナログのバランスを取りながらマーケティングを展開することが重要です。
例えば、シニア向けの商品やサービスの広告をオンラインで展開しつつ、体験イベントやカタログ配布などのアナログ手法も組み合わせることで、幅広いターゲットに訴求できます。


シニアマーケティングの成功事例

大人の休日倶楽部

JR東日本が運営する「大人の休日倶楽部」は、50歳以上のシニア・プレシニア向けの旅行会員組織です。
累計会員数は280万人を数え、シニア層をターゲットにした旅行サービスとして高い人気を誇っています。
シニア層の旅行需要に応えたサービス提供が、シニアマーケティングの成功例として挙げられます。

https://www.jreast.co.jp/otona/より引用


プリオール

資生堂が展開する「プリオール」は、50代以上の女性向けに特化した化粧品ブランドです。
シニア女性の肌の特徴や悩みに焦点を当てた商品開発を行い、高い支持を得ています。肌の悩みを解決する製品を提供し、シニア女性からの信頼を得ている点が、シニアマーケティングにおける成功事例として注目されています。

https://www.shiseido.co.jp/pr/より引用


シニアマーケティングは、日本の高齢化社会において、ますます重要性が増しています。
シニア層の特徴やニーズを理解し、適切なターゲット設定や表現方法を取り入れることで、企業は効果的なマーケティング戦略を展開できます。
今後もシニア市場の拡大が予想される中、大切にしていきたい視点だと考えています。


参考記事
・https://ostance.com/journals/3