2月の行事といえば「節分」ですが、2025年の節分は2月2日で(知りませんでした)、恵方巻きを丸かぶりする風習もすっかり日本中に浸透しつつあります。
実はこの恵方巻き、もともとは大阪・船場の風習から始まったといわれているのをご存知でしょうか?
その歴史をたどると、スーパーやコンビニが巧みにマーケティングを仕掛け、全国へ広めていった背景が見えてきました。
今回は節分の基本情報とあわせて、恵方巻きの由来やマーケティング的な視点を交えながらまとめたいと思います。
節分とは? 基本のおさらい
「節分」は、本来は立春・立夏・立秋・立冬の前日を指す季節の節目です。
江戸時代以降は立春前日(2月3日前後)が特に重視され、邪気を払って無病息災を願う行事として定着しました。
豆まきや恵方巻きなど、子どもも大人も楽しめるイベント要素があるため、近年は企業の広報やSNSキャンペーンのネタとしても取り上げられやすい時期となっています。
恵方巻きの歴史とマーケティング
大阪の花街から始まった「丸かぶり寿司」
恵方巻きの発祥は大阪の船場だといわれており、江戸時代から明治にかけて、大阪の花街で商家の旦那衆が節分のお祝いや商売繁盛を祈念して「丸かぶり寿司」あるいは「太巻き寿司」を食べたのが始まりだそうです。
巻寿司の中には七福神にちなんで七種類の具を入れ、一気に丸かぶりすることで福や運を取りこむという考え方が広まっていきました。
チラシによる普及とスーパー・コンビニの参入
1932年(昭和7年)には、大阪鮓商組合後援会が、この風習を世に広めようとチラシを作成し、1970年代後半頃には、大阪の海苔組合や厚焼組合などもチラシを作り、さらに普及を進めました。
後に、この風習を利用したのが高度成長期のスーパーやコンビニ。バブル期には豪華で高価な恵方巻きが売り出され、飛ぶように売れたそうです。
「恵方巻き」命名と全国展開
恵方巻きという呼び名が全国に広まったきっかけは、コンビニ大手のセブンイレブンのようで、1989年に広島の一部店舗で販売を開始し、2月の催事が乏しい時期に新たな商品として注力したことで成功を収め、一気に全国展開へとつながりました。
もともと大阪の一部地域の風習だったものが、企業によるマーケティング施策でここまで浸透したのは非常に興味深い事例といえると思います。
節分×マーケティングのメリット
- 季節ネタとしてメディアで拡散されやすい
節分は豆まきや鬼、恵方巻きなど、“絵になる”ネタが多く、SNSやメディアで取り上げやすい行事です。 - ファミリー向け企画と相性が良い
「鬼退治」「福を呼び込む」といったストーリーが、子どもにも親しみやすいポイントで、体験型イベントや子ども向けワークショップなど、親子で楽しめる取り組みを打ち出しやすいのが特徴です。 - 自社商品の季節限定アレンジがしやすい
飲食業界であれば恵方巻き風の商品、アパレルや雑貨では鬼や豆をモチーフにしたグッズなど、工夫次第でさまざまな期間限定商品やキャンペーンを展開できます。
具体的な活用事例
ユニークな恵方巻きでSNS拡散
サンクトガーレンの樽生ビール20種類と石窯ピザが楽しめる、サンクトガーレン タップルーム(本厚木駅ビル 本厚木ミロード② 1階/オーナー 岩本伸久)では2024年2月1日(木)から2月3日(土)の期間限定で「恵方巻ピザ」を販売し、見た目のインパクトからSNSで拡散され、メディアにも取り上げられました。
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000025081.html
テーマパークが体験型イベント
アドベンチャーワールドは、2024年の「節分」イベント「パンダと一緒に無病息災を願おう!」を開催しました。
2月2日・3日・4日の各日、パンダと一緒に恵方巻を食べて無病息災を願うイベントだそうです。
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000724.000040302.html
老舗企業同士のコラボ
株式会社山本海苔店は、「海苔とお豆のセット」を発売しました。
2024年2月3日の「節分」からはじまる海苔ウィークに合わせて、老舗和菓子舖「榮太樓總本鋪」のブランドの豆菓子と海苔をセットにした商品です。
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000078804.html
恵方巻きのマーケティング成功要因を振り返ると、まずは「季節限定の特別感」をうまく演出したことが挙げられ、お正月が終わると、次の大きなイベントまでは間が空きがちですが、節分は2月の商戦を盛り上げる絶好の機会となりました。
また、目新しさやワクワク感を煽るストーリーづくりによって、消費者の購買意欲を高めた点も見逃せません。
切らずに丸かじりするというインパクトや、恵方(その年の縁起の良い方角)を向いて食べるという「儀式性」もメディアの注目を集める上で効果的だったと思います。
参考記事
https://reskill.nikkei.com/article/DGXMZO68634470Z20C21A1000000/
https://prtimes.jp/magazine/today/setsubun-day/
https://hirameki.noge-printing.jp/what-is-setsubun/