八塩圭子さんの広告に関する記事で、広告を見る人の動機が正か負かで、表現が違ってくる話がとても参考になりわかりやすかったので、そこから紐解いてみえてくる広告手法、Webサイトの手法をお伝えしたいと思います。
正か負の動機で変わる広告の情報量
記事によれば、花粉症や水虫等、将来起こりうる問題を回避したい「負の動機」は情報量を多く、化粧品やブランド品等、周囲から褒められたい気持ち等は「正の動機」で、イメージ中心の表現が有効との事。
また、人によって製品に対する関与の度合いがあるので、高い時は情報量を多く、低い時は訴求点を絞ったほうが良いそうです。動機の正負、関与の高低で商品を分類する「ロシター・パーシー・グリッド」という考え方になるようです。
クリエイティブ戦略の指標になるため、クリエイティブやデザインの考え方に取り入れることが、基本的な手法のひとつになると思います。
ストーリーテリングとエレベーターピッチ
広告の情報量の違いは、Webサイトも同様に見せ方がいろいろ分かれてきます。
ページの構成を見せる手法として、数年前から考えられている2通りの大きな方向性、考え方があり、ひとつは「ストーリーテリング」、もうひとつは「エレベーターピッチ」という制作手法になります。
「ストーリーテリング」は伝えたいコンセプトがストーリー仕立てで展開され、しっかり読み込んで印象強く気持ちを持ってもらう物語が入ったような手法です。
例であげると、企業の紹介や、商品ができるまでのプロセス等です。
Appleの製品ページは、単に機能を紹介するだけではなく、ビジュアルをふんだんに使用して、キャッチコピーも印象強く、流れるようなストーリー仕立てになっています。
「エレベーターピッチ」は、エレベーターに乗っている間に興味を持ってもらうよう、とにかくシンプルにわかりやすく伝える手段です。
対象になるのは、スマホで展開するアプリのサイト等はこの手法になります。
有名なアプリで言うとDropboxやEvernote等にあたります。端的にわかりやすくアプリのできることを伝え、すぐにダウンロードしてもらうような流れです。
シンプルにスマートに
どちらかと言うと、いままではストーリーテリングの手法がトレンドでしたが、情報量が格段に増えている現在の状況を考えるとシンプルにスマートに、なんでもとにかくわかりやすく伝えることが、消費者の気持ちに届きやすく、効果が得られやすいと感じています。
少し前になりますが、ライザップのCMのインパクトはとても強かったと思います。
15秒CMの中だけで、短期間で痩せて筋肉もつくことが証明されており、究極のわかりやすさです。
最近では、パナソニックの綾瀬はるかさんが登場するCMでも、機能面の特長をわかりやすく伝える内容が多くでてきています。
説明すぎないカジュアルな視点で芸能人が機能を伝えることでハードルをさげてわかりやすくシンプルに伝わっていると思います。
SONYのNEXというデジタル一眼カメラは大ヒットした商品ですが、発売当初の当時はあまり売れていませんでした。
理由は、性能面をうたいすぎてわかりにくかったため、訴求方法を変えたのがきっかけです。
その変えた訴求方法は単に「背景がボケる」ということです。
背景がボケることで印象的な写真が撮れて、女性にもとても好評となりました。
「湘南美容外科」や、全身もみほぐしの「りらくる」も、金額の安さを明確にわかりやすくシンプルに伝えることで成功しています。
うまく併用することもひとつの手法
全てがエレベーターピッチの考え方にするのは無理がありますが、内容によってポイント的に使ったり、ストーリーテリングの展開と合わせて、媒体によって使い分ける等、うまく見え方を変えて展開することで、新しい訴求効果が得られるのではないかと思います。
イメージバナーでも、ストーリーテリングと、エレベーターピッチの手法をそれぞれ使い分けて展開する場合もあり、また併用しながら訴求方法を変えることで、新しい取り組みが生まれてきます。
クリエイティブの依頼をおこなうときには、どちらの方向性がが合っているのか考えて、その理由や意図を制作会社に伝えてみて、意見を求めてみたり、どのように展開するかを相談すると新しい切り口がでてくると思います。