みなさん、「オートカラーアウォード」というイベントはご存知でしょうか?
このイベントは、車やバイク、さらには電動アシスト自転車やトラクターに至るまで、様々な乗り物のカラーデザインを表彰する場として知られています。
オートカラーアウォード(AUTO COLOR AWARDS)とは、年に1回、優れたカラーデザインの自動車を顕彰する制度。
Wikipediaより引用
一般社団法人 日本流行色協会(通称JAFCA ジャフカ)が主催し、自動車のカラーデザインを通じて豊かな色彩文化を発信することを目的に1998年度から始まった。
顕彰の趣旨
1.豊かな生活文化創造のために、自動車の優れたカラーデザインが、どのように生まれてきたか、その仕事を社会に発信する。
2.同時に、カラーデザインに込められたメッセージを広く一般消費者に発信する。
3.自動車のカラーデザインに現れる時代の気分(カラートレンド)を広く伝え、自動車市場への新たな話題を提供する。
4.競合他社が一堂に会し、カラーデザインを競い合うことで、広い視野に立ったデザインの表現力を向上する良い機会とする。
今回は2023年オートカラーアウォードについて紹介したこちらの記事を参考にしながら、カラーデザインについて考えてみたいと思います。
グランプリはホンダ「N-BOX」のイエロー
今年の目玉となったのは、ホンダの「N-BOX」で、その特徴的な「オータムイエロー・パール」がグランプリを受賞しました。
株式会社本田技術研究所 デザインセンター e-モビリティデザイン開発室 e-UXデザインスタジオ CMFデザイナーの松村美月さんはプレゼンの中で
「子育てと自分の夢の両方のタスクを軽快にこなす子育てママの背中を押すような、エネルギーが感じられて心が温かくなる、少し彩度のトーンを落としたイエローを考えた」
と話されたそうです。
審査委員は「顧客とどうコミュニケーションを取り、CMFGに反映したかが評価のポイントとなった」と授賞理由を述べており、
カラーデザインにおいて、消費者の心理やライフスタイルの変化を柔軟にキャッチし、取り入れることの重要性を感じました。
※CMFG:デザインの重要な要素であるColor(色)・Material(素材)・Finish(仕上げ)に加え、二輪車のデザインに重視されるGraphicを加えたサーフェイスのこと。
ビジネス戦略としての色選び
ビジネスにおけるカラーデザインの選択は、決して偶然や単なる好みによるものではありません。
特に大企業は、トレンド分析、ターゲットオーディエンスの心理理解、ブランドアイデンティティとの整合性を綿密に調査・分析することにより、戦略的な色の選択を行っていると思います。
さらには色彩心理学の専門知識を活用して、特定の色が消費者に与える影響を予測し、ブランドメッセージを強化する色を選定しています。
比較的小規模なビジネスでは、トレンドや顧客心理を綿密に調査・分析することはなかなか難しいですが、取り入れることができるポイントはありそうです。
ビジネスのためのカラーデザインのキーポイント
ビジネスに効果的なカラーデザインを適用するためには、一般的に以下のポイントを考慮すると良いそうです。
- ターゲットの特定
商品やサービスを最も必要としているのは誰かをはっきりさせ、その人が、どの色に好感を持ち、どの色に気持ちを動かされるかを理解する。
例えば、若者がターゲットの場合は、明るく元気な色が好まれる一方で、高級品の場合は、落ち着いた色や豊かな深みのある色が適していることが多い。
ターゲットの好みと感情に合わせた色を選ぶことで、顧客との強いつながりを築くことができる。
- ブランドアイデンティティの確認
自社のブランドにどのようなイメージを持たれたいか、そしてどんな価値を届けたいかを考える(例えば、信頼と安心を伝えたいなら青、エネルギーと活力を表現したいなら赤など)。
自社のブランドの個性に合う色を選ぶことで、ブランドの価値を正確に伝えることができる。
- トレンドの監視
最新の流行を追いかけるだけでなく、今どんな色が人気なのかを知り、その情報をうまく活用する。流行を取り入れることで、ブランドを新鮮に保ちつつ、顧客の注目を引くことが可能。
ただし、ただ流行に乗るのではなく、その色が自社のブランドとマッチしているかどうかが重要。
- テストとフィードバック
複数のカラーオプションをテストし、消費者の反応を見て最終的な選択を行う。
カラーデザインの重要性を再認識する
正しく選択された色は、ブランドアイデンティティを強化し、消費者との深いつながりを築くことができると言われています。
カラーデザインは、ビジネスの成功に不可欠な戦略的ツールであり、オートカラーアウォードのようなイベントは、その重要性を再認識させてくれます。