2024年4月25日に発表されたアルファベット(Googleの持株会社)の報告によると、YouTubeの広告収入や音楽サブスクリプションサービスの加入者がこれまで以上に大幅に増加しているそうです。
参考記事:
YouTube広告収入が21%増加、音楽サブスクも1億人突破
近年、デジタル広告の中でも、ストリーミングプラットフォームでの広告が特に注目を集めているそうです。
YouTube、Spotify、Netflixなど多様なプラットフォームがあり、これらのプラットフォームでは、視聴者が何を、いつ、どのように見るかを自由に選べるため、ストリーミングサービスの特性を活かすことで、精密なターゲティングが可能になっているのだそうです。
今回は、ストリーミングプラットフォームでの広告戦略について考えてみたいと思います。
ストリーミングプラットフォームとは?
ストリーミングプラットフォームとは、インターネットを通じて音楽、動画、ゲームなどのコンテンツをリアルタイムで配信・視聴するためのオンラインサービスのことを指します。
ユーザーはコンテンツをダウンロードすることなく、ストリーミング形式で直接再生することができます。
ストリーミングプラットフォーム広告の基本
ストリーミングプラットフォームでの広告は、その柔軟性とターゲティングの精度によって、デジタル広告の中でも特に効果的な手段とだと言われています。
ストリーミング広告の基本的な形式としては、大きく「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」の2種類があります。
インストリーム広告
インストリーム広告は、動画コンテンツの再生中に表示される広告で、視聴者が動画を視聴する際に自然と目にすることから高いエンゲージメントが期待できます。
主に次の3種類があります。
- プレロール広告
動画が始まる前に再生され、視聴者の注意を引きやすいタイミングで情報を提供します。 - ミッドロール広告
動画の中間に挿入され、視聴者がコンテンツに集中しているタイミングで表示されるため、視聴率が高いです。 - ポストロール広告
動画の終了後に再生され、視聴完了したユーザーに対する追加情報やアクションの呼びかけに効果的です。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、動画プラットフォーム外のウェブサイトやアプリケーション内で表示される広告で、動画コンテンツが少ないページでも展開が可能であり、以下の形式が一般的です。
- インリード広告
記事のテキスト中に挿入され、読者がスクロールすると動画が自動再生される設定が可能です。 - インバナー広告
通常のバナー広告枠内で動画が再生され、クリックやインタラクションを促します。 - インタースティシャル広告
ページ遷移時に全画面で表示される動画広告で、強い印象を残すことができます。
ターゲット設定の重要性
ストリーミングプラットフォーム広告の成功には、適切なターゲティングが不可欠だと言われており、年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴などの情報を基に、広告を最適な視聴者に届けることが重要です。
ターゲットの特定方法
ターゲットを特定する際には、以下の要素を考慮することが重要だと言われています。
- 人口統計学的特性
年齢、性別、地理的位置、教育レベルなど。 - 興味関心
趣味、好みのエンターテインメント、ライフスタイルなど。 - 行動特性
購買行動、ブランドへの忠誠心、オンラインでの行動パターンなど。
これらの情報は、ストリーミングプラットフォームやソーシャルメディア、顧客データベースなど、様々なソースから収集可能であり、適切なデータ分析を行うことで、これらの特性に基づいてターゲット層を明確に定義できると考えます。
ストリーミング広告の導入例
上記のターゲット設定の考え方を使い、ストリーミング広告の導入例について考えてみます。
事例 1: ビューティーブランドの広告戦略
- ターゲット設定: 20代から30代の女性
- 広告形式: インストリーム広告
導入例: 20代から30代の女性をターゲットにする場合、インストリーム広告が有効だと考えられ、例えば、美容と健康に関する動画の前後に化粧品やスキンケア製品の広告を配置することで、視聴者の関心を引き、製品購入につながる可能性が高まると考えます。
事例2: クラウドソリューションの広告戦略
- ターゲット設定: IT管理者や経営者
- 広告形式: アウトストリーム広告
導入例: IT管理者や経営者をターゲットにする場合、アウトストリーム広告が適していると言われており、例えば、専門的なコンテンツサイトやフォーラムでクラウドソリューションの広告を展開し、IT管理に関する記事やクラウド技術の最新動向を紹介するブログの中でメリットや導入事例を紹介することで、専門知識を持つターゲット層の興味を引き、サービスの問い合わせや導入につながります。
広告が適切な視聴者に届くことで、関心のあるコンテンツとして受け入れられ、広告予算の無駄を削減し、マーケティング効果を最大限に高めることができると考えます。
ストリーミング広告の導入事例
インストリーム広告は、商品やサービス紹介以外の他にも、企業ブランディングや認知度向上の目的で導入することもあります。その導入事例を紹介します。
・NTT西日本
「『自然(地球)』との共生」・「『文化(集団・社会~国)』の共栄」・「『Well-being(幸せ)』の最大化」という3つのテーマを一筆書きのアニメーションで表現し、企業が持続可能な社会の実現に向けてコミットしていることをアピールしています。
・鹿島化学金属株式会社
鹿島化学金属株式会社は、プラスチックベアリングの認知度向上を目的としてYouTube広告を利用しており、広告内で商品の製造過程を公開することにより、製品だけではなく社風までわかる広告となっています。
業界トレンドと未来予測
デジタル広告の世界は、技術の進化とともに日々変化しており、ストリーミングプラットフォームの広告も例外ではなく、今後数年でいくつかの重要なトレンドが現れると予測されています。
現在のトレンド
インタラクティブ広告の増加
ストリーミングプラットフォーム上でよりエンゲージメントを促すために、視聴者が直接広告と対話できるインタラクティブな広告が増えています。
プログラマティック広告の拡張
データに基づいた意思決定が強化される中で、プログラマティック広告の利用が増加しており、広告の配置とタイミングがより効果的に最適化され、広告の効果が最大限に引き出されるようになっています。
プライバシー規制への対応
プライバシー規制が強化される中、広告主はユーザーデータの取り扱いにおいて、より慎重な姿勢と透明性の向上に努めています。
未来予測
人工知能の進化
AIは視聴者の好みや過去の行動を分析し、それに基づいてリアルタイムで広告をカスタマイズする能力を持つようになると言われており、AI技術の進歩により広告の個別最適化がさらに進むと考えられています。
5Gの普及による影響
5G技術の普及により、より高速なデータ通信が可能になることで、動画広告の質と配信速度が向上すると考えられており、よりダイナミックで没入感のある広告体験が提供されると予測されています。
サステナビリティへの関心の高まり
企業のサステナビリティへの取り組みが、消費者の購買意欲に今まで以上に大きな影響を与えると考えられており、環境や社会的責任を強調した広告コンテンツが増えることが予想されています。
今回は、ストリーミングプラットフォームでの広告戦略について考えてみました。
ストリーミングプラットフォーム広告は、それぞれのストリーミングサービスの特性を活かすことで、効果的にターゲティングできる、効果の高い広告手段だと考えます。
最新のトレンドを把握して、効果的な広告戦略を練る必要性を感じます。
参考記事:
・【完全版】アウトストリーム広告とインストリーム広告の違いとは?
・動画広告の主要媒体9選!種類や選び方のコツを解説 | Videoクラウド:インタラクティブ動画配信プラットフォーム