こちらの学習塾の広告戦略に関するニュース記事を読みました。
実名+顔写真入りのチラシで急成長。年商120億の学習塾が首都圏攻略へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
記事によれば、学習塾事業者「成学社」の成長を支えているのは、実績を証明する独自の広告戦略だそうです。
実際に成績が上がった生徒の実名と写真を使い、その上で生徒と講師が一緒に写っている写真も載せて、他の塾との差別化を図っており、信頼性の高い広告によって、大きな効果を上げているそうです。
確かに生徒さんや講師の顔写真が実績と共に広告に掲載されていたら、信頼性がグッと増す感じはします。
(子どもの個人情報を守るという観点からは少し気になる感じはしますが、許諾を得られた方々を掲載しているのだと思います。)
近年、学習塾は少子化やオンライン教育の普及などの影響を受け、大きな変革期を迎えていると言われています。
経済産業省の調査によれば、学習塾の売上高は2004年から2023年にかけて約1.8倍に拡大していますが、業界全体の成長と並行して競争は激化し、特に中小の塾が厳しい状況に直面しているのだそうです。
これらの課題にうまく対応するためには、これまでの広告戦略を見直して、もっと効果的な方法を探す必要がありそうです。
特に中小規模の塾は限られたリソースでどうやって競争力を保つかが重要なポイントだと思います。
今回は、学習塾業界にスポットを当てて、広告戦略について考えてみたいと思います。
ターゲット市場の特定
広告戦略を成功させるには、まずターゲット市場をしっかりと特定することが重要だと言われています。
市場を理解し、それに合わせて広告を設計することで、効果的な戦略が作れると考えます。
ターゲットの分析
- 地域と人口の分析
地域の年齢層や教育レベル、経済的背景を調べて、その地域の潜在的な市場をつかみます。 - 競合分析
他社の強みや弱みを調べて、自社の強みをどのように活かし差別化するかを考えます。 - ニーズと興味を探る
ターゲットが何に興味を持ち、どんな教育問題に関心があるかを見極め、それに合わせた広告メッセージを作ります。
ターゲットの絞り込み
- 年齢と教育段階
中学受験生や高校受験生など、特定の学年に合わせてターゲットを絞ります。 - 地域別のニーズを探る
地域ごとの教育環境やニーズに合わせて、その地域に特化したキャンペーンを計画します。
ターゲットに合った広告を作る
- メッセージを調整
ターゲット層の興味に合った、魅力的な広告を考えます。教育内容やプログラムのメリットをしっかり伝え、興味を引きます。
市場の変化に対応し、常に戦略を見直すことも大事だと思います。
独自の強みを前面に出す広告戦略
独自の強みを前面に出した広告戦略を使えば、学習塾は市場でしっかりと存在感を示すことが可能になります。
独自のカリキュラム、優れた講師、特別な支援プログラムなどをうまくアピールすることが大事です。
カリキュラムの強みをアピール
独自の教育方法や専門プログラムの内容とその効果を紹介し、成功事例や成績向上のデータを示して、そのカリキュラムの有効性を証明します。
講師の質を伝える
講師一人ひとりの資格や専門知識、教育への熱意を具体的に紹介します。
授業の進め方や生徒の成長を支える事例を示すことで、講師の質の高さを強調します。
支援プログラムを紹介
個別指導や進学相談、カウンセリングなど、生徒一人ひとりのニーズに応える支援プログラムがあればしっかりアピールします。
広告素材を活用
高品質な写真や動画で、教室の環境や授業の様子を伝え、塾の雰囲気を直感的に感じ取ってもらうことが重要です。
こうした独自のカリキュラム、講師の質、支援プログラムを広告で効果的に伝えることで、潜在顧客の興味を引き、信頼を高めることが出来ると考えます。
広告媒体の活用と展開
学習塾の広告戦略では、さまざまな媒体を使うことで幅広い潜在顧客にアプローチし、それぞれの媒体の特性を活かした広告を展開できると考えます。
ターゲット層がどんなメディアを使っているのかを理解しながら、適切な媒体を選ぶことが大切です。
以下に代表的な広告媒体とその特徴をまとめました。
- オンライン広告(Webサイトやブログ)
SEOを使って検索エンジンでの表示順位を上げ、ターゲットに直接情報を届けます。 - SNS(Facebook、Instagram、Twitterなど)
日常生活に溶け込む形で情報を提供し、ターゲット層との交流を深めることができます。 - リスティング広告(Google広告やYahoo!広告など)
検索キーワードに基づいて広告を表示し、興味を持っているユーザーにアプローチします。 - オフライン広告(地域情報誌やフリーペーパー)
地域に特化した情報誌などを使うことで、地域コミュニティとのつながりを強化します。 - 折り込みチラシやポスター
イベント情報や塾の特徴を低コストで広く宣伝できます。 - 交通広告
バスや電車など、普段から多くの人が使う交通機関で広告を出し、認知度を高めます。
これらの媒体を組み合わせることで、効果的な広告キャンペーンがを行うことが可能です。
たとえば、オンライン広告でリーチを強化しつつ、地元のイベントに参加して直接交流すれば、ターゲット層にパーソナライズされた体験を提供でき、定期的に広告を出すことで、ブランドの認知度を徐々に高めていくことが出来ると考えます。
生徒の口コミや実績の活用
冒頭のニュース記事のように、学習塾の広告では、生徒や保護者の口コミや実績の紹介が新しい生徒を引き寄せる魅力的な要素になります。
実際の声や成果を伝えることで、塾の教育品質や結果を具体的で信頼できる形で示し、潜在顧客の判断に良い影響を与えることが出来ると思います。
生徒や保護者からのコメントを集める
インタビューやアンケート、SNSのフィードバックなどからリアルな声を収集し、成功体験や塾での経験がどのように役立ったかといったポジティブな証言を集めます。
ストーリーテリングで伝える
動画やブログ記事を使って、生徒本人の言葉や表情を交えながら成長の過程を伝えることで、生徒がどうやって困難を乗り越え、目標を達成したかを具体的に紹介することができ、多くの共感を得ることができると考えます。
実績で信頼を築く
- 具体的な学業成果を示す
定期試験の成績向上や入試合格実績など、数字で表せる成果を明確に提示します。
進学先の高校や大学名も挙げることで、高いレベルの教育を提供していることをアピールすることができます。 - 視覚的な資料を使う
インフォグラフィックやグラフを使い、成績向上の割合や進学実績を視覚的に表現することも効果的で、成功事例のビフォーアフターを示すことで、塾の効果を直感的に伝えます。
塾の実績を公開することは、マーケティングの透明性を高めることに繋がり、また生徒の声や実際のデータに基づいた情報を提供することで、塾が誠実であることを保護者や子どもに伝えることができます。
信頼感と安心感を築き、競合との差別化につなげることができると考えます。
事例に学ぶ広告戦略
優れた学習塾の広告事例について紹介します。
・早稲田アカデミー:「You‘re the HERO.」
小学生・中学生・高校生を対象とした進学塾を運営する株式会社早稲田アカデミーは、2024年1月に新しい受験生応援シリーズ広告「You’re the HERO.」のグラフィックを公開しました。
この広告は、受験を控えた生徒に向けたエールを込めており、個々の受験生が直面する挑戦に立ち向かう姿勢を称賛しています。
広告キャンペーンには、様々なメディア形式が含まれ、6秒間の動画CMは早稲田アカデミーの公式サイトやYouTubeチャンネル、JR交通広告などで展開されています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000014235.htmlより引用
・明光義塾:「サボロー」
明光義塾は、明光ネットワークジャパンが展開する個別指導塾です。
LINE公式アカウントを活用したユニークな施策で、顧客とのエンゲージメントを高め、入塾促進を目指しており、LINE公式アカウントでは、子供の学習状況や性格などを把握できる診断コンテンツを提供し、診断結果に基づいて最適な学習プランを提案しています。
また、LINEの友だち追加で、オリジナルキャラクター「サボロー」のスタンプをプレゼントするキャンペーンを実施し、親しみやすいキャラクターで、子供たちの心を掴んでいます。
https://www.meikogijuku.jp/lp/saboro/より引用
参考記事:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00972/00004/
・栄光ゼミナール:Webサイト
栄光ゼミナールのWebサイトは、洗練されたシンプルなデザインで、直感的なナビゲーションを提供しています。
ブランドの信頼感を象徴する青色を基調にして情報が明確に整理されており、またサイトはモバイルフレンドリーで、どのデバイスからも快適にアクセスが可能です。教育プログラムの詳細から塾の特長、最新の受験情報コラム等、ユーザーにとって価値ある情報が提供されています。
学習塾の広告戦略は、保護者に安心感を与える情報提供と、子供が興味を持つ魅力的な内容のバランスが大切だと考えます。
オンラインとオフラインの両方のメディアを駆使して一貫したメッセージを発信することで、塾のブランドイメージを強化し、選ばれる塾となるための土台を築くことができると思います。
参考記事:学習塾の効果的な広告の掲載方法は?生徒の集客を成功させるポイントを紹介!|manabo
【2024年】スクール・学習塾業界の経営者が今後取るべき行動とは? – 学習塾・スクール経営.com