情報過多な時代で広告慣れしてしまった消費者の関心を集めることは、以前より難しくなっていると日々感じています。
そんな中、独創的なアイデアで消費者を驚かせ、商品やサービスへの興味や関心を高める仕掛けのある広告が注目されているそうです。
「仕掛けのある広告」とは、ユニークなアイデアやサプライズ要素を取り入れることで、仕掛けを上手に用いることで、消費者の興味を引いて強く記憶に残すことが出来ると考えます。
今回は「仕掛けのある広告」について考えてみようと思います。
仕掛けのある広告のメリット
仕掛けのある広告のメリットについては、一般的に下記のように言われています。
積極的な情報収集
仕掛けが施された広告は、視聴者に自ら情報を探求させる動機を与えると言われており、例えば、スキャンすると追加情報が得られるQRコードや、特定のアクションを起こすと割引が適用されるキャンペーンなどがこれに該当します。
この種のアプローチは、消費者の関与を深め、製品やサービスへの理解を促進します。
ポジティブなブランドイメージ
楽しくユニークな広告は、好印象を与え話題になりやすく、消費者は面白いと感じた広告を友人や家族と共有するため、これが自然とブランドの好意度を高める結果につながると言われています。
また、創造的な広告は、そのブランドが革新的という印象を強くするのに役立ちます。
拡散性の高さ
新しいアイデアや面白い仕掛けはSNSで話題になりやすく、自然と多くの人に共有されるため、広告のリーチが広がり、多くの人々に迅速に広がる効果があります。
このような拡散は、広告キャンペーンの効果を最大化し、コスト効率も向上させます。
仕掛けのある広告の事例
ユニークなアイデアやサプライズ要素を取り入れた事例をいくつか紹介します。
・朝日新聞社×パナソニック:「未来空想新聞2041」
朝日新聞社とパナソニックが共同で「未来空想新聞2041製作委員会」を設立し、AR技術を活用して新しい体験を提供する「未来空想新聞2041」をこどもの日の5月5日に特別発行しました。紙面に印刷された二次元コードをスキャンすることで、読者はコンテンツの詳細にアクセスできます。
この新聞は、2041年の生活をテーマに、文化、持続可能性、共創など多様な視点から未来を描いており、40人の専門家が寄稿しています。約20万部がZ世代や子育て世代をターゲットに特定エリアで広告別刷りとして配布されました。さらに、高校、科学館、および大学キャンパス内の書店・売店での無償配布も行われています。
https://miraikuusoushimbun.com/2041_yasashisa/theme04/より引用
・日本たばこ産業株式会社:「裏技で読もう!表裏一体 富士山世界文化遺産10周年」
富士山の世界文化遺産登録10周年を記念し、2023年の山の日に静岡新聞社と山梨日日新聞社が合同で企画紙面を掲載しました。
この紙面では文章が鏡文字で書かれており、裏面にして光にかざすと文字が正しく読めるように設計されています。
この取り組みは、富士山を共に守るという両県の一体感を象徴しており、SNSでは仕掛けに対する気づきの反応や、写真の美しさに好意的な意見が寄せられました。
新聞の特徴を活かした創造的なアプローチが評価され、全日本広告連盟の地域の優れた広告コミュニケーション活動を称える第3回「鈴木三郎助全広連地域広告大賞」のプリント部門賞を受賞しました。
https://www.at-s.com/s/business/data/351.htmlより引用
・バーガーキング:「ザ・フェイク・バーガー」
バーガーキングは2024年3月、「ザ・フェイク・バーガー」を4月1日に4年ぶりに期間限定で再販すると発表し、ハンバーガーの写真にモザイクが使用されている広告がSNSで話題となりました。
4月1日のエイプリルフールにはモザイクを外した写真の広告で実際に販売されていることが明かされるプロモーションで、SNSでは販売後にも、実際に食べた人の反応が多数投稿されました。
モザイクを使ったユニークな仕掛けで、真偽の不確かさと実際の販売のサプライズを巧みに演出しています。
https://www.burgerking.co.jp/#/campaignDetail/241より引用
・OfferBox:「視線が上がる広告」
「OfferBox」はi-plugが運営するスカウト型の新卒採用サービスで、2023年6月に東急田園都市線渋谷駅地下2階の「ハッピーボード」に掲示された「視線が上がる広告」が話題となりました。
この広告は、縦約2メートル、横約22メートルの大きなボードに「このくらいの目線が、自信に効く」という大きなフォントでメッセージがで書かれており、下側の3分の2は余白で、自然と視線が上がる仕掛けになっています。
この広告は多くのメディアで紹介され、SNSでも話題になりました。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00872/00001/より引用
仕掛けのある広告の設計における注意点
歯科系のある広告について、効果的でありながらリスクを最小限に抑えるために考慮すべきポイントを紹介します。
- ターゲットオーディエンスの理解
広告を設計する際には、対象となる視聴者が何に価値を見出し、どのようなメッセージに反応するかを分析することが大切です。
誤解を招くような内容や、視聴者に不快感を与える可能性のある要素は避ける必要があります。 - テクノロジーの適切な使用
テクノロジーを活用した仕掛けが含まれる場合、その技術がターゲットオーディエンスにとってアクセスしやすいものであるかを確認することが不必要で、技術の使用はその広告の目的をサポートする形であることが重要です。 - ブランドイメージとの一貫性
広告内の仕掛けがブランドの全体的なイメージや価値観と矛盾しないように注意することが大切で、革新的なアイデアであったとしても、ブランドの既存の認識と大きく異なる場合は消費者に混乱を招く可能性があるので注意が必要です。
ブランドの一貫性を保ちつつ、創造的な表現を追求するバランスが求められます。 - 法的・倫理的検討
法的な規制や倫理的な問題も考慮に入れる必要があり、特にプライバシーに関わるテクノロジーの使用や、誤解を招きやすい広告内容には注意が必要です。
透明性を保ち、消費者の信頼を損なわないよう努めることが大切です。
今回は「仕掛けのある広告」について考えてみました。
遊び心のあるユニークなアイデアと新しい技術を組み合わせた仕掛けのある広告は、消費者の心を掴み記憶に残り、さらに、拡散の効果も期待できる広告手法だと思います。
ターゲット層や倫理観などに注意し、費用対効果を分析しながら、バランスの良い仕掛けを効果的に活用することが大切だと感じています。