サステナブルの潮流を広告で活かす:ファッション業界の進化から学ぶ

ニューヨークADC賞というコンテストをご存じですか?
ニューヨークADC賞は1921年に広告美術団体「アート・ディレクターズ・クラブ(ADC)」によって設立された、世界で最も古い広告デザインの国際賞のことで、今年(2024年)で103回目になります。


2024年5月15日に発表されたニューヨークADC賞の第103回受賞作品として注目を集めたのは、ドイツを中心に事業を展開する繊維ベンチャーAIZOMEの「AIZOME ULTRA」です。
このテキスタイル(布)は、持続可能性と健康上の利点を備えたデザインで、高い評価を受けました。

「AIZOME ULTRA」とは、独自の超音波技術を用いた藍染めの染色方法です。この技術では、超音波を使って微細な気泡(マイクロバブル)を生成し、これによって藍染めの染料を布の繊維の隅々まで均一に定着させます。これにより、藍染めでありがちな色落ちや薬効の低下を防ぎつつ、水の使用量も大幅に削減します。この技術は、環境に優しい持続可能なファッションを提供するために開発されました。

引用: AIZOME ULTRA

近年、ファッション業界ではサステナビリティとテクノロジーの融合が急速に進んでおり、それに伴って、サステナブルな素材や製法をアピールする優れた広告デザインが多く生まれています。

今回は、ファッション業界のサステナブル素材の発展について学びながら、サステナブルの潮流を広告で活かす方法について考えてみたいと思います。


サステナブル素材の普及

環境に優しい素材の広がり

サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉で、「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。

リサイクル素材やオーガニックコットンなど、環境に優しい素材の利用が急速に広がっており、これらの素材を使用することで、製品の環境負荷を減らしつつ、高品質なファッションアイテムを提供できます。

中小企業にとっては、サステナブルな素材を取り入れることで差別化を図ることができます。


サステナブル素材のファッション業界への影響

サステナブル素材の普及は、ファッション業界のデザインや製造技術に大きな影響を与えており、AIを活用したデザインの自動化やカスタマイズ生産、デジタル製造技術の進化により、無駄を減らし、効率的な生産が可能となっています。

環境への負担が軽減されるだけでなく、消費者にとっても魅力的な製品が提供されます。


サステナブルファッションの事例

IGC FASHION

ウガンダ発のファッションブランド「IGC FASHION」は、植民地主義の影響に疑問を投げかけ、失われた価値を取り戻すことを目的としており、伝統的な素材や技法を活用し、独自のデザインで注目を集めています。

また、地方やスラム街で裁縫を教えるなど、コミュニティの支援活動も行っており、アフリカ文化の価値を世界に伝えることを目指しています。

https://www.igcfashion.africa/より引用
参考記事:https://ideasforgood.jp/2024/03/11/igcfashion/


tennen

「tennen」は、環境に配慮したファッションブランドで、「ゴミにならず、土に還る服」をコンセプトに掲げ、100%還元可能な天然素材のみを使用しています。
山や海を愛するチームが、自然との調和を目指して服作りを行っており、過去の天然素材技術と現代の技術を融合させ、快適で耐久性のある服を生み出すことに挑戦しています。

https://tennengood.com/より引用


京セラ

京セラの「TRUE BLUE TEXTILE」は、ウォーターフリーコンセプトで開発された環境に優しいテキスタイルで、染色工程での水使用を極限まで削減し、美しい色合いと風合いを実現し、高知県の仁淀川の透明な水を再現したカラーで、自然と調和するファッションを提供しています。

商品の背景や開発ストーリーが丁寧に説明され、ブランドの価値観が伝わります。

https://www.kyocera.co.jp/truebluetextile/より引用


ECOALF

三陽商会が展開するサステナブルファッションブランド「ECOALF」は、世界で2番目に環境を汚染するファッション業界の問題を解決するために設立されたサステナブルブランドで、リサイクル素材や低環境負荷の天然素材のみを使用し、ペットボトルや漁網を再生してスタイリッシュで機能的なアイテムを製造しています。

自ら海のゴミを収集し、環境保護を目的とする革新的なブランドです。

https://store.sanyo-shokai.co.jp/pages/ecoalfより引用


広告やデザインの活用

サステナブルな素材や製法をアピールするデザイン

サステナブルな製品の魅力を視覚的に伝えるためには、環境に優しい色合いや自然素材を連想させるデザインが効果的とされており、シンプルかつ洗練されたデザインは、サステナブルなブランドの信頼性を向上させる助けとなります。

さらに、製品の製造過程や使用素材について明確に説明することも重要です。


サステナビリティとテクノロジーを広告に取り入れるには?

トレンドを広告に取り入れる具体的なステップ

中小企業がサステナビリティとテクノロジーを広告に取り入れるためには、まず自社のサステナビリティ方針を明確にすることが大切です。

次に、サステナブルな広告素材を選定し、製品の魅力を効果的に伝えるデザインを採用します。


パートナーシップの活用方法

環境に配慮したサプライヤーやパートナーとの協力は、広告戦略の成功に不可欠で、共通のサステナビリティ目標を持つ企業とのコラボレーションは、相互に利益をもたらし、効果的な広告キャンペーンを実現する手助けとなります。


コストを抑えつつインパクトのある広告制作

デジタル技術を活用することで、低コストでインパクトのある広告を制作することが可能です。

例えば、ソーシャルメディアを活用した広告キャンペーンは、広範なオーディエンスにリーチできるだけでなく、ターゲット層に対して効果的にメッセージを届けることができます。


サステナブルな広告デザインを通じて、環境に優しいブランドイメージを強化し、消費者にアピールすることが可能だと考えます。

サステナビリティの潮流をうまく活かし、自社の広告戦略を進化させていく必要を感じました。


参考記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000121281.html