近年、日本の伝統的な技術や商品が再評価されています。
デジタル技術が著しく発展する一方で、SDGs(持続可能な開発目標)
への関心が高まる中、伝統的技術が見直されていますが、伝統と革新の技術が交差する点で、さらなる創造性の発展が期待できるのではないかと考えています。
今回は、伝統的な技術や商品を、現代のデザインによってどのように活かし、次世代に伝えていくかを再考します。
伝統が伝わる表現方法
伝統的な要素を、現代的なデザインやデジタルメディアと組み合わせることで、視覚的に魅力的かつ、文化的な背景や職人技を感じさせる表現が生まれ、新しい視点からの魅力を創出して、より広い層にアプローチすることが可能になります。
視覚的ストーリーテリング:
伝統技術の力を引き出す
伝統的な技術や商品の魅力を広告で伝える際には、視覚的ストーリーテリングが重要です。
伝統的な技術のビジュアル表現
広告で伝統技術を紹介する際、高画質な写真や動画を効果的に使用することは必須で、技術の複雑さと美しさを直感的に伝えることができます。
図表やインフォグラフィックの活用
図表やインフォグラフィックを活用して、伝統技術の歴史や発展を説明することも効果的で、視覚的に情報を整理すると、読者は技術の背景を理解しやすくなるからです。
色彩とデザインの選択
クラシックな書体、伝統的な色彩やテキスタイルなどを用いてデザインすれば、視覚的に豊かで文化的な背景が感じられる広告が生まれます。
こういった視覚的手法を駆使することで、伝統的な技術や商品の独特な魅力を効果的に伝え、消費者の記憶に残る印象深いメッセージを形成することが可能になると思います。
視覚的ストーリーテリング導入時の注意点
視覚的ストーリーテリングを効果的に取り入れるには、いくつか注意点があります。
- 文化的感受性の尊重
伝統的な要素を使用する際は、その文化的背景と意義を正確に理解し、尊重しなければなりません。 - デザインの明瞭さ
視覚情報の過負荷を避けるためには、クリアで理解しやすいビジュアルを心掛けることが大切だと感じます。 - 技術的な正確性
伝統的な手法や現代技術を説明する際に使用する画像や図は、実際の技術内容を正しく反映している必要があります。
そうすることで、誤解や間違った情報の拡散を防ぐことができます。
これらの要素を適切に管理することで、視覚的ストーリーテリングは伝統技術の価値を効果的に伝える強力なツールになるのではと思います。
事例の紹介
・株式会社 安藤七宝店
安藤七宝店は、明治13年(1880年)から約150年続く「七宝焼」の老舗企業です。
Webサイトのトップページに職人の手元を大きく見せる動画を効果的に使用し、技術の複雑さと色彩の美しさを表現。企業の歴史の長さを写真を併せたデザインでストーリーテリングと視覚的要素を効果的に使用し、ブランド価値を高めています。
https://www.ando-shippo.co.jp/より引用
・藍森山
藍森山は安政五年創業の久留米絣/藍染の工房で、Webサイトは、鮮やかな藍色が際立つ高画質な写真が印象的で、また30以上の製造工程がイラストを交えて紹介され、世界的にも希少であることと、代々続く手織りでの工程を大切にしていることが、効果的に表現されています。
・大塚ローテック
大塚ローテックは、日本の伝統と革新を組み合わせた独自の腕時計を製造し、精密な技術と独創的なデザインで国内外から高い評価を受けているブランドです。製造工程をクローズアップした動画と作り手のメッセージで、職人のこだわりや技術の高さを想像できるWebサイトになっています。
ご紹介したWebサイトは、ストーリーテリングと視覚的要素の使用が、製品の美しさや手作りの価値を前面に出し、消費者の関心を引き、ブランド価値を高めることを示唆していて、デザインによって、商品だけではなく、その背後にある文化や歴史を伝え、文化的価値を訴求することも可能なのです。
今回は、伝統的な技術や商品を、現代のデザインによってどのように活かし、次世代に伝えていくかを再考してみました。
デザインによって、伝統的な技術や商品の文化的価値を保ちつつ新しい市場を開拓し、より広い層の消費者にアプローチすることができ、伝統的な技術の魅力を効果的に伝えることは、顧客だけではなく、次の世代の担い手にもアプローチができると感じました。
参考記事:2024年4月25日
伝統技術と地球環境を次世代に繋げていくためのプロジェクト第4弾「石州和紙」から紡いだ紙糸とアップサイクル紙糸「TSUMUGI」がコラボレーションした「石見神楽コースター」を4月25日(木)より販売開始