縦型動画の魅力を最大化：中小企業における導入のメリット

近年、縦型動画が多くのプラットフォームで注目を集めているそうです。
スマートフォンの普及と共に、縦型動画は日常的に目にすることが増え、特にTikTokやInstagramのリール、YouTubeショートなどのプラットフォームで一般化したと言われています。

若い人に比べて、大人世代はショート動画を見る機会が一般的に少ないかと思いますが、ショート動画を積極的に見ることは見るつもりはなかったのに、ついつい手を止めて最後まで見てしまった、という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

TikTokが発表した「TikTok Socio-Economic Impact Report 2024」によると、2023年度に日本で生まれた推定消費額は1,772億円に達したそうです。
TikTokのコンテンツ視聴により直接的に国内GDPへ貢献した額は1,725億円、広告出稿や動画制作などの間接的影響は400億円、経済波及効果は2,590億円と言われています。
また、ユーザーの30.5％がTikTokを通じて商品やサービスを購入した経験があり、特に「金融・保険」「飲食料品」「ファッション・コスメ」分野での消費が大きいということでした。

本格的なYouTube動画に比べて、再生時間が短い縦型動画は、小規模ビジネスにとっても参入しやすい取り組みだと思います。
今回は縦型動画について考えてみます。

縦型動画とは

縦型動画は、その名の通り、縦長のフォーマットで撮影された動画を広告として使用するものです。
通常のテレビや横型動画の比率（16:9）とは異なり、縦型動画の比率は（9:16）です。
この形式はスマートフォンに最適化されており、視聴者がデバイスを持ち替えることなく、フルサイズで広告を楽しむことができます。

縦型ショート動画の主な種類

縦型ショート動画を配信できるプラットフォームは主に下記が挙げられます。

• TikTok
• YouTubeショート
• LINE VOOM
• Instagramリール

縦型動画のメリット

視聴のしやすさ

スマホを持ち替えることなく、縦型動画をフルサイズで閲覧できるため、視聴者にとって非常に便利です。
従来の横型動画ではスマートフォンを横に持ち替える必要がありましたが、縦型動画はこの手間を省き、自然な視聴体験を提供します。

視聴完了率が高い

縦型動画広告は視聴完了率が高いことが特徴です。
横長動画と比較して90%も高くなると分析されています。
これにより、広告メッセージがより多くの視聴者に届きやすくなります。

SNSとの連動で拡散力が高い

主要なSNSプラットフォーム（TikTok、YouTube、Instagram、LINEなど）と連動し、ユーザー同士の共有や拡散が活発に行われる点も大きなメリットです。
特定のハッシュタグを用いたキャンペーンやチャレンジにより、自然な形で広告が拡散される効果が期待できます。

中小企業が縦型動画を活用するメリット

コスト効率の良さ

縦型動画は比較的低コストで制作でき、広告費の最適化に役立ちます。
スマートフォン一台で手軽に撮影・編集ができるため、高額な機材や専門的なスキルを必要とせず、中小企業でも気軽に取り組めます。

ターゲットリーチの強化

縦型動画は特に若年層へのアプローチに優れており、TikTokやInstagramリールなどのプラットフォームでの展開が効果的です。
また、ニッチな市場にもアプローチしやすく、特定のターゲットに対して強い訴求力を持つと考えられます。

コンテンツの柔軟性

縦型動画は多様なシーンで活用でき、製品紹介、顧客の声、イベントレポートなど、さまざまなコンテンツを簡単に制作・共有できると言えます。
短い時間で効果的に情報を伝えることができるため、視聴者にとっても負担が少なく魅力的です。

成功事例

・The ARCADIA Inc.（アルカディア）：ショートドラマ

北部九州で5店舗の結婚式場及び福岡天神でレストランを運営するThe ARCADIA Inc.（アルカディア）は、TikTokショートドラマを制作し、3本の動画で総再生回数700万回を超えました。
結婚式をテーマにした縦型ショートドラマは、3部作の構成で、感動的な結婚式シーンや施設の描写、新郎新婦のプランニングプロセスを描き、予想外のストーリー展開に驚くコメントなど、多くの反響がありました。

参考記事：https://markezine.jp/article/detail/44236

・資生堂：エッセンス スキングロウ ファンデーション

「#資生堂ファンデーション」「#ファンデ美容液」のハッシュタグをつけて「エッセンス スキングロウ ファンデーション」を紹介する投稿がTikTokで大流行しました。
商品の特長である、美容液のような新しい感覚をレビューする動画が反響を呼び、商品はすぐに入手困難となりました。
『TikTok上半期トレンド大賞2024』にノミネートされています。

・花王：ビオレUV

花王の「ビオレUV」はTikTokを活用し、Z世代へのアプローチに成功しました。
ブランドエフェクトとハッシュタグチャレンジを駆使し、視聴者の関心を引きました。
美容系クリエイターによるレビュー動画で製品の魅力を伝達し、エンゲージメントを向上させ、ビオレUVは日焼け止めブランドでNo.1の地位を確立しました。

縦型動画は、現代のマーケティングにおいて重要なツールです。
特に中小企業にとっては、低コストで高い効果を発揮することが利点と言えます。
縦型動画の特性を理解し効果的に活用することで、ブランドの認知度向上や売上増加に繋げることが期待できますが、多くの動画の中に埋もれないように、差別化を図るアイデアが必要だと思いました。

参考記事
・https://www.advertimes.com/20240528/article460727/
・https://www.spiceworks.com/marketing/advertising/articles/the-rise-of-vertical-video-content-on-social-media/