VUCA時代を乗り切るためのリーダーシップと未来志向の企業戦略

VUCA(ブーカ)という言葉をご存知でしょうか?
VUCAとは

  • Volatility(変動性):市場や環境の変化が激しい
  • Uncertainty(不確実性):将来の予測が難しい
  • Complexity(複雑性):問題や課題が複雑である
  • Ambiguity(曖昧性):情報や状況が曖昧である

の頭文字を合わせた言葉で、現代社会は「激しい変化が起きるVUCAの時代」と呼ばれているそうです。


確かに現代は、感染症の流行による働き方の変化や、AI技術による自動化の進展など、企業にとって予測できない出来事が増加していると感じます。
変化に迅速に適応できなければ、競合に遅れを取ったり、市場から淘汰されてしまうようなことも起こり得ると言われています。


今回はVUCAの基本概念や経営者に求められる姿勢、VUCAに対応した未来志向のコープレートサイトの事例について紹介します。



VUCAの基本概念

VUCAは、現代のビジネス環境に影響を与える4つの要素から成り立っています。
それぞれの概念については下記のように言われています。

変動性(Volatility)

AI技術が進化して自動化が進み、新型コロナウイルスの影響でテレワークが広まるなど、働き方やビジネスのスタイルが大きく変わっています。
このように技術の進歩や外部の出来事が社会や経済の仕組みを常に変え続けており、こういった変動性が高い環境では、柔軟に素早く対応できる企業が優位に立ちやすくなります。


不確実性(Uncertainty)

地球温暖化による気候変動や、少子高齢化による社会構造の変化など、将来の見通しが不透明なことが増えています。
不確実な状況では、正しい情報を集めて、しっかりした仮説を立てることが重要で、市場や外部環境の変化に柔軟に適応し、仮説に基づいて商品やサービスを提供できる企業が成功しています。


複雑性(Complexity)

SNSの普及で情報があふれたり、グローバル化で価値観が多様化したり、海外進出する際の文化の違いなど、今の時代は様々な要素が複雑に絡み合っていると言われており、Uberのような配車サービスの普及やキャッシュレス化など、世界中の異なる状況が互いに影響し合っているので、企業の意思決定がより難しくなっているそうです。
国内と海外でビジネス習慣や法律が異なるため、戦略を立てるには多面的な分析が必要になっています。


曖昧性(Ambiguity)

変動性、不確実性、複雑性が組み合わさり、因果関係がはっきりしない新しい出来事が増えていて、物事に対する見方がいくつもあるため、明確な答えがない状態だと言われています。
マーケティングの方法もテレビや新聞からSNSや動画サイトに移り変わり、大手企業がベンチャー企業に投資するなど、新しいビジネス環境では柔軟で適応的なアプローチが必要になっています。


VUCA時代に求められる経営者の姿勢

VUCA時代を乗りこなすために、経営者に求められるスキルや態度が変わってきているそうです。

  1. リーダーシップ
    未来の見通しが難しい状況下では、組織やチームの進むべき方向を示すことが極めて重要で、明確なビジョンを持ち、組織のメンバーに共有することで、一貫した方向性を維持できます。
    リーダーはメンバーの行動を促進し、モチベーションを維持する役割も果たします。
  2. 迅速な判断力と行動力
    市場環境の変化が頻繁に起こるため、限られた時間の中で迅速な意思決定が求められます。
    冷静に現状を分析し、仮説を立てて最適な解決策を導き出す必要があり、市場の動向に目を光らせながら、柔軟で迅速な行動ができる力が必要だと言われています。
  3. 柔軟性
    多様な価値観を受け入れることが重要で、1つの考え方に固執せず、チームや顧客と丁寧な対話を重ねることで誤解やトラブルを防ぐ努力が特に必要な時代だと言われています。
    チームのコミュニケーションを大事にし、多様な意見に耳を傾ける姿勢が求められます。
  4. 自律型人材の育成
    メンバーが自ら考え、問題を解決する自律型人材の育成も大切で、ロジカルシンキング研修で論理的な思考やコミュニケーション力を高め、経営戦略に沿った人材を育てることが重要です。
    自発的な行動と柔軟な発想ができる人材が、組織の強みとなります。

VUCA時代のフレームワーク「OODAループ」

「OODAループ」は変化の激しい環境で素早く判断して行動するためのフレームワークで、VUCA時代の戦略として注目を浴びています。

  1. Observe(観察)
    まずは周囲の状況をしっかりと観察し、業界の動向や市場のトレンド、競合他社の動きなどを観察し、自社の状況を把握します。
    顧客のニーズや社内の現状も含めて幅広く情報を集めます。
  2. Orient(状況判断)
    集めた情報を分析し、現在の市場や競合の位置づけ・自社の強みと弱みなどを考え、全体の流れを把握することで、観察した情報を基に状況を判断します。
    自社がどう動くべきか、方向性を見極めます。
  3. Decide(決定)
    状況判断の結果をもとに具体的な行動計画を立て、何をすべきか、どう進めるのかを決定し、すぐに動けるように準備を整えます。
  4. Act(行動)
    決定した計画に基づき、行動に移します。
    結果を観察しながら次のサイクルに生かすことで、絶えず状況に適応することができます。

「OODAループ」はPDCAサイクルよりもスピード重視であるため、状況の変化に柔軟に反応し、最適な意思決定をするのに適していると言われています。


VUCA時代と未来志向

VUCA時代では、日々の現状を永遠に続くものだとは考えず、常に未来を見据える「未来志向」を持つことが大切だと言われており、この未来志向は、普段から様々なことに好奇心を持ち、積極的に情報を集め、自分なりの仮説を立てる習慣によって磨かれるそうです。


VUCA時代で重要なのは「予測」ではなく「仮説」を立てることで、単一の予測に基づく計画はあまり意味を持たないと言われています。
むしろ「もしかしたらこうなるかもしれない」「あんな状況も考えられる」といったように、複数の可能性を想定し、集めた情報から分析する力が求められています。


VUCAに対応したコーポレートサイトの事例

VUCA時代に対応し、未来志向のビジョンを効果的に表現していると言われているコーポレートサイトを紹介します。

・出光興産
出光興産はコーポレートサイトをリニューアルし、2050年のビジョン「変革をカタチに」を基に、カーボンニュートラルと循環型社会の実現に向けた事業ポートフォリオの転換と新たな価値創造に取り組む姿勢を紹介しています。
新たなページで事業領域と進捗を紹介し、事業に関する情報を強化するとともに、ユーザビリティの向上を図るため、統一感のあるデザインと構造を採用し、スムーズな情報アクセスを可能にしています。

https://www.idemitsu.com/jp/2050future/index.htmlより引用


・三菱ロジスネクスト
三菱ロジスネクストは2023年4月に、ステークホルダーに対して同社の価値観や考え方をより分かりやすく魅力的に伝えることを目的として、コーポレートサイトを全面リニューアルしました。
リニューアルでは「5分でわかる三菱ロジスネクスト」ページの新設を含む新コンテンツを追加し、技術開発やサステナビリティ経営についても紹介しています。
技術施設の紹介やIR情報ページを充実させ、サステナビリティ専用ページも新たに設けました。

https://www.logisnext.com/jp/より引用

参考資料:https://www.lnews.jp/2024/04/q0408502.html


・Alumnote(アルムノート)
「Alumnote」は、教育分野の財政支援を目的とした企業で、大学や教育機関へのSaaS提供や、チャリティーイベントの運営などを通じて支援を行っています。
最近のリニューアルでは、コーポレートサイトを通じて企業情報や事業内容をより明確に伝えることを目的として、デザインの刷新や内容の拡充が行われました。
特に、採用情報の充実が図られ、Alumnoteの文化や働く環境、企業のビジョンやミッションについて詳細な情報が提供されています。

https://corporate.alumnote.jp/より引用

参考資料:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000091371.html


今回はVUCAの基本概念や経営者に求められる姿勢、VUCAに対応した未来志向のコープレートサイトの事例について紹介しました。
VUCA時代の不確実性はチャンスとも言えると思います。
変化を恐れず、組織として柔軟に対応することが重要だと考えます。


参考資料:
住友商事が世界最大の広告祭に参加した理由とは?|SDGs|日経BizGate
VUCAとは?意味や読み方と時代に求められるスキルを解説 | HR大学
VUCAの時代に求められる力 | 株式会社EPLGA