最近、XR(クロスリアリティ)技術が多くの注目を集めているそうで、MicrosoftやMeta、Appleなどの大手企業が次々と新しいXRデバイスを発表し、この技術は私たちの生活やビジネスのさまざまな場面で活用されています。広告やマーケティングの分野でも、XRを使った新しいプロモーション方法が広がっていると言われています。
2024年5月28日に大阪で開催される株式会社Mogura主催の「XR Kaigi Hub in 大阪」は、バーチャル領域の技術やノウハウを共有するイベントで、このイベントは、大阪商工会議所と経済産業省 近畿経済産業局が協力し、企業や開発者、クリエイターが集まり、業界動向やXR・メタバースの活用に関するセミナーや交流会が行われます。
中小企業向けの勉強会やイベントが増え、XRへの理解を深める機会が広がっていると感じます。
https://www.quintbridge.jp/event/detail/202404121947.htmlより引用
XR技術は、ビジネスや教育、医療など多岐にわたる分野で応用され、次世代端末が揃い、企業での概念実証や試行が一巡する2025年から2026年にかけて、ビジネスユースでの本格的な活用が開始されると予測されています。
この時期には、企業内で常用されるチームコミュニケーションツールにもXR関連機能が順次搭載され、これらのツールとのシームレスな統合が中長期的に進むと考えられているのだそうです。
参考資料:XR技術のビジネス活用の動向 ~メタバースからデジタルツイン、CPSへ~
今回は、XR技術の基本と、この最新技術がどのように活用され、今後どのような世の中に変化していくのかをマーケティングの視点から考えてみたいと思います。
XRとは?
XR(Extended Reality)は、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)の技術を包含する広い概念で、これらの技術は現実と仮想の世界を融合させ、ユーザーに新しい体験を提供する技術です。
- VR(Virtual Reality:仮想現実)
VRは完全に仮想の空間にユーザーを没入させる技術で、専用のヘッドセットを装着することで、ユーザーは360度どこを見てもデジタルで作られた世界を体験することができます。
VRは主にゲームやシミュレーショントレーニングに利用されており、例えば不動産業界では、VRを使って物件の内覧を仮想空間で行うことができ、顧客にリアルな体験を提供しています。 - AR(Augmented Reality:拡張現実)
ARは、現実の世界にデジタル情報を重ねる技術で、スマートフォンやタブレットを使って、カメラで映し出される現実の風景にデジタルコンテンツを追加します。代表的な例としてはポケモンGOが有名です。
ARは、広告やナビゲーション、教育など多岐にわたる分野で活用されており、例えば家具販売店では、ARを使って顧客が自宅に家具を配置したイメージを確認できるようにしています。 - MR(Mixed Reality:複合現実)
MRは、現実世界と仮想世界が融合して相互に作用する技術で、MRデバイスを使用することで、ユーザーは現実の物体と仮想のオブジェクトを同時に見ることができ、さらにこれらのオブジェクトを操作することができます。
例えば、建設業界では、MRを使って建設現場の状況をリアルタイムで把握し、デジタルモデルと現実を重ね合わせて確認することができます。
XRのマーケティングへの応用
XRがビジネスやマーケティングに与える効果について、下記のように言われています。
ARのメリット
- SNSでのバズマーケティングに繋がりやすい
ARコンテンツは新鮮さがあり、SNSでシェアされやすいと言われています。 - コンバージョン率(Webサイトやページを訪れたユーザーのうち、商品の購入や問い合わせなど、最終的な成果に至った人の割合)が高い
立体的なコンテンツで商品を訴求するため、購入意欲が高まりやすいと言われています。 - ブランドへのロイヤリティを強化しやすい
体験型の広告は長期的なブランドロイヤリティを向上させる効果があると言われています。
VRのメリット
- 幅広い顧客へのリーチ
どこからでもアクセス可能な技術なので、地理的な制約を超えて幅広い顧客にアプローチすることができます。
- VRならではの体験による訴求力向上
顧客に強い没入感を与え、商品やサービスの魅力を効果的に伝えることが可能です。 - 新たなブランド体験の提供
VRを使うことで、現実では難しい体験を提供することが可能です。 - 高い費用対効果への期待
ユーザーデータを活用することで、ターゲティング精度が向上し、広告のROI(投じた費用に対して、どれだけの利益を上げられたかを示す指標)が高まります。
MRのメリット
- リアルタイムの状況把握と分析
MRを使用することで現実の物体とデジタル情報を重ね合わせ、リアルタイムで状況を把握し、分析することができるため、効率的な業務遂行が可能となります。 - コラボレーションの強化
MR技術を使えば、地理的に離れた場所にいるチームメンバーと仮想空間でリアルタイムに協力することができます。
例えば、設計や製造のプロセスにおいて、MRを活用して共同作業を行うことができます。 - 訓練と教育の効率化
MRを使ったトレーニングは、現実の環境での実践的な学習を提供し、安全に効果的な教育が可能で、社員や学生のスキルアップが効率的に図れるのではないかと期待されています。 - 高い費用対効果
MRを活用することで、試作品の作成や実地調査の必要がなくなり、コストの削減が可能です。
また、マーケティングやプロモーションにおいて、顧客に対してリアルな体験を提供することで、高い効果を得ることができます。
成功事例の紹介
松坂屋静岡店:「XR水族館」
松坂屋静岡店では、「XR水族館」を2024年2月7日から期間限定で展開し、来場者がスマホを使って館外の空間を利用し、現実の空間に仮想の水族館を楽しむことができる体験を提供しました。
店の入口に掲示されたポスターのQRコードを読み取り、スマホをかざすと、巨大なクジラなどの海の生き物たちが現れる仕組みで、さらに館内にもARコンテンツを楽しめるARスポットを設置しました。
このプロジェクトは大きな話題を呼び、来場者数が通常の300%に増加しました。
大塚製薬「ポカリスエット」:#ネツナレミッションAR
大塚製薬は、初音ミク、プロジェクトセカイのキャラクターとコラボし、楽しく暑さに慣れる(暑熱順化)ためのARコンテンツ「#ネツナレミッションAR」をリリースしました。
ユーザーがポカリスエットのペットボトルにスマートフォンをかざすと、キャラクターたちが登場し、暑さに慣れる方法を教えてくれます。
AR体験をシェアすることでオリジナルグッズが当たるキャンペーンは、SNSでの拡散を促進しており、人気キャラクターとのコラボで異なるファン層にリーチしています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000054245.htmlより引用
「大阪駅タイムトラベルステーション〜時間の旅へ出かけよう!~」
JR西日本は大阪駅開業150周年を記念し、過去から未来への旅をテーマに「大阪駅タイムトラベルステーション〜時間の旅へ出かけよう!~」イベントを開催しています。
2024年5月11日〜11月4日まで、大阪ステーションシティ各所で開催され、幅広い年齢層が楽しめる多様なアクティビティ(謎解きゲーム、AR体験、QRラリー)を提供しています。
インタラクティブな要素が参加者のエンゲージメントを高め、地域の魅力再発見と観光促進に貢献しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000960.000095753.htmlより引用
XR技術は今後も進化を続け、さまざまな分野での応用が期待されています。XR技術の普及に伴い、導入のハードルも少しずつ下がっていくのではないかと思いますので、小規模ビジネスが活用できる機会も増えていくと感じています。
参考記事:広告にXRを活用する7つのメリットとは?活用事例10選とともに解説 – メタバース総研|メタバースの企画・開発・運用を一気通貫で支援