大阪メトロ夢洲駅:駅ブランディングについて考える

2025年1月19日、大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」が開業しました。
大阪・関西万博の会場となる夢洲へのアクセス路線として延伸されたこの新区間は、世界最大級の「特大ビジョン」を備える地下空間や、SFを思わせる近未来的なデザインが大きな話題となっています。
「異世界劇場」というコンセプトで作り上げられた夢洲駅は、単なる交通手段の拠点にとどまらず、人々に新たな体験を提供する観光・イベントゲートとしての役割を担っています。

今回は、広告制作に携わるディレクターの視点から、こうした新駅の開業がもたらすマーケティング的インパクトを考えてみたいと思います。

引用元:https://osaka.style/news/44863/1-2767/


新駅がもたらす“ブランド体験”の可能性

「異世界劇場」というコンセプトが生む非日常感

夢洲駅は、「異世界劇場」というコンセプトのもと、地下空間にゲートのようなライン照明や折り紙をモチーフにした天井、そして高さ3m・長さ55mの巨大ビジョンが設置されています。
非日常感を感じさせる駅構内は、“移動の合間に一瞬だけ楽しむ場所”から、“わざわざ行きたい目的地”へと駅の価値を変換しています。

このような演出は、利用者に対して強いインパクトを与えるだけでなく、SNSなどを介して瞬く間に話題が拡散されます。
駅や公共交通機関が「映える」要素を持つことは、新しい旅行・観光の目的づくりにもつながり、企業やブランドが体験型マーケティングを仕掛ける絶好のチャンスがあると考えられます。


大規模サイネージの活用

地下1階の大空間にそびえる“世界最大級”の特大ビジョンは、デジタルサイネージとしてのポテンシャルが計り知れません。
万博が開催されれば国内外から多くの人が集まるため、その利用価値はさらに高まると思われ、既存の交通広告とは一味違うスケールとデザインを活かし、インタラクティブな演出やAR技術との連動、イベント連動型の広告展開も期待できると思います。

このように駅や周辺施設そのものをメディア化し、ブランドメッセージやプロモーションを直接届けられる点は、非常に大きなマーケティング上の利点となると考えます。


万博・IRが育むマーケティング機会

万博とIRで国際的観光拠点へ

夢洲は大阪・関西万博の会場、さらに今後はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開業も予定されており、世界中から観光客が訪れる、いわば“国際観光拠点”としての成長が見込まれるエリアです。

観光客が集まる場所には、当然ながら魅力的な広告・マーケティングの機会が生まれます。
大規模イベントに合わせた企業の出展や、大勢の来訪者を見越したサンプリング、ショールーム的なポップアップ体験など、オフラインのプロモーションで相乗効果を狙えると言われています。


多様なブランドコラボの可能性

万博には世界中の国や企業が参加し、さらにIRには高級ホテルやエンターテイメント施設も登場する見通しのようで、こうした多種多様な業界・文化・企業が集積する空間では、新規ブランドコラボや共同マーケティングが起きやすくなると言われています。
周辺空間を舞台にしたコラボイベント、あるいは期間限定のブランド体験スペースを設けるなど、夢洲駅を起点とした新たなビジネスの芽が生まれる可能性があり目が離せません。


新駅開業とマーケティング戦略

交通広告を“体験”へと昇華させる

従来、駅構内や電車内の広告は「乗客に見てもらう」ことが中心でしたが、夢洲駅のように「駅全体がテーマパークのような体験装置」となりうる場合、単なる広告掲出にとどまらない、参加型・体験型企画の可能性が広がります。
デジタルサイネージやデバイスとの連動により、「広告を見る」から「広告で遊ぶ・体験する」へと発想をシフトすることが重要です。


シームレスなオンライン×オフライン戦略

多くの来訪者がスマートフォンを所持している現代では、駅での体験や広告をオンラインへと拡張することも重要な視点になります。
QRコードを活用したキャンペーンや、SNS上でのフォトコンテスト、さらにはスマホアプリと連動したARイベントなど、“オンラインでの拡散力”と“オフラインでのリアルな体験”をうまく掛け合わせると、より大きなインパクトが狙えると言われています。


地域・行政・企業の三位一体の取り組み

新駅開業は地域の再開発やイベント開催と深く結びついており、大阪市、大阪メトロ、そしてさまざまな企業が相互協力し、エリア全体をブランディングしていくことが鍵となると言われています。
行政が推進する大規模イベントや観光施策に、企業が積極的に参加・連動することで、夢洲全体の認知度向上とともに、企業自身のブランド価値を高めることが可能になります。


これから求められるクリエイティブ発想

新駅をただ「移動のために利用する場所」として捉えるのではなく、“人々が集まり、新たな価値を体感する場所”として活用することが、これからの駅マーケティングの大きなテーマと言えると思います。
大阪・関西万博やIR開業を見据え、多くの企業がこぞってクリエイティブな演出を仕掛けることが予想され、広告ディレクターやクリエイターの柔軟な発想力が重要になります。

  • ステーションブランディング:駅全体をひとつのメディアやテーマパークとして統合的に演出する。
  • デジタル×リアル体験:サイネージとスマホアプリを連動させて“場所を超えた体験”を創出する。
  • 国際色豊かなコンテンツ:万博やIRの世界観を活かし、外国人観光客に対しても発信力のあるコンテンツを提供する。

上記のポイントを意識することで、多くの人々にとって「また来たい」「誰かに紹介したい」と思える魅力的な新駅づくり・マーケティング施策が生まれていくと言われています。


「夢洲駅」は、未来志向のデザインと先進的な設備により、早くも多くの注目を集めています。
万博とIRという二大国際イベントが控えたこのエリアは、あらゆる企業にとって大きなチャンスの場であり、また駅自体も新しい体験の場として多くの可能性を秘めていると思います。

広告・制作の立場からは、駅をはじめとするインフラそのものを一種の「イベント会場」や「メディア」と考えていく視点が大切だと感じています。


参考記事
https://trafficnews.jp/post/512523