企業への関心を高めるPRについて考える:Z世代の就活から

最近の調査によると、Z世代の就職活動において「安定している」ことが企業選択のポイントとして5年連続で最多となっており、安定性を求める傾向が強まっているのだそうです。
また、「楽しく働きたい」という回答も増加しており、仕事の楽しさを重視する姿勢が伺えます。


今回は、Z世代の就活生に響く効果的なPR方法について考察してみたいと思います。



Z世代の特徴

Z世代(1995年から2010年に生まれた世代)は、デジタルネイティブであり、情報に敏感です。
彼らはインターネットやソーシャルメディアを駆使して情報を収集し、選択の際には多くのデータを参照すると言われています。
この世代は、仕事に対しても独自の価値観を持っており、特に以下の点を重視します。

  • 楽しく働きたい
    マイナビの調査では、「楽しく働きたい」という回答が38.9%で2年連続で増加しています。
    Z世代は、仕事の中で楽しさややりがいを感じることを重要視しており、職場環境や仕事の内容が自己実現に繋がるかどうかを重視すると考えられます。
  • 安定性と給与
    企業選択のポイントとして「安定している」が48.8%で5年連続最多となっています。
    安定した職場環境と給与の高さは、多くのZ世代の就活生にとって重要な要素です。
    不安定な経済状況や社会情勢の中で、安心して働ける企業を選びたいという思いが強いようです。
  • 企業の社会的意義とパーパス
    Z世代は、企業の存在意義や社会的意義を重視します。
    企業がどのようなミッションやビジョンを持ち、社会に対してどのように貢献しているかを評価基準の一つとしています。
    これにより、企業は自社のパーパスを明確にし、積極的に発信することが求められると言われています。

効果的なPR戦略:従来の情報と企業文化

従来の情報

従来のPRでは、給与、福利厚生、勤務地といった具体的な条件が重視されてきました。
これらの情報は依然として重要であり、特に給与や勤務地の安定性は多くの就活生にとって関心が高いポイントだと考えられます。
最近は福利厚生への関心が高まっているようです。


企業文化の情報

Z世代は、企業の内部事情や社員の声を重視します。
企業文化や価値観を理解することは非常に重要で、経営者や社員のインタビュー、企業の価値観やビジョンを伝えるコンテンツが効果的だと言われています。
例えば、社員の日常や働き方を紹介するSNS投稿やブログ記事は、企業文化を伝える良い手段だと考えられます。


具体的な事例と成功例

  • インタビュー動画
    経営者や社員が企業のビジョンやミッションについて語る動画は、企業の真の姿を伝えるのに効果的です。
  • 社内イベントの紹介
    社内イベントや研修の様子を紹介することで、企業の雰囲気や働き方を伝えられます。
  • プロジェクトストーリー
    具体的なプロジェクトの進行状況や成功事例を紹介することで、仕事のやりがいや達成感をアピールできます。

SNSの活用

Z世代はSNSを日常的に活用しており、企業の情報収集もSNSを通じて行っていると言われています。
企業はSNSを積極的に活用し、定期的に更新することが重要です。
SNSを通じて、企業の魅力や文化をリアルタイムで発信することで、アピール力を高めることができます。

  • InstagramやX、TikTok
    ビジュアルコンテンツや短いメッセージを通じて、企業の日常や社員の声を伝えるのに適しています。
  • YouTube
    YouTubeは長尺の動画コンテンツに適しており、企業の詳細な情報を視覚的に伝えることができます。

動画コンテンツの活用

動画の影響力
動画はZ世代に強い影響力を持つメディアの一つです。
視覚と音声を組み合わせたコンテンツは、情報を効果的に伝え、視聴者の感情に訴える力があります。

効果的な動画コンテンツ

  • 企業紹介動画
    企業の全体像を伝える動画は、就活生にとって重要な情報源です。
    企業の歴史、ビジョン、ミッション、主要な製品やサービスなどを分かりやすく紹介することで、企業に対する理解を深めてもらえます。
  • 社員インタビュー動画
    リアルな社員の声を届けることで、企業の雰囲気や働く環境を伝えることができます。
    社員のキャリアパスや日常業務について語ることで、就活生にとっての具体的なイメージを提供することができます。
  • オフィスツアー動画
    職場環境を視覚的に伝えることで、企業の魅力を効果的にアピールできます。
    オフィスの設備や働く環境を紹介し、就活生にとっての働きやすさをアピールすることができます。

企業事例

株式会社i-plug:OfferBox
株式会社i-plugが運営する新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」は、「みにみにぴにぴに」という一見意味のない言葉のように見える言葉を使った広告を全国の大学周辺駅や渋谷駅に掲示しました。
この広告は2025年卒業予定の学生向けの採用面接解禁日や2026年卒業予定の学生向けのインターンシップのスタート時期に合わせて展開されました。
この広告の目的は、不安や緊張の多い就職活動の場面で、学生たちが前向きな気持ちで挑めるようにすることです。
このキャッチフレーズは、関西大学の准教授の監修のもとで考案され、口角が上がることで気持ちが前向きになるという行動心理学や、かわいい言葉が不安やストレスを緩和するという音声学の知見に基づいて作られました。

https://predge.jp/292811/より引用

マクドナルド:「McDrip」
フィンランドのマクドナルドが、Z世代の採用問題を解決するために実施した「McDrip」は、若者がマクドナルドで働きたがらないという課題に対し、Z世代デザイナー、Vainと提携し、既存の作業服をリサイクルして最先端のファッションに変えました。
完成した衣装は店内でファッションショーを行い、働くことを条件に販売され、音楽アーティストがステージで着用し、SNSで発信したことで認知度が急増し、求人応募が63%増加しました。
このユニークな方法で、広告が届きにくいZ世代にアプローチすることに成功しました。
この取り組みは毎年6月にカンヌで開催される世界最大規模の広告コミュニケーションフェスティバル・カンヌライオンズデザイン部門でシルバーを受賞しました。

https://vimeo.com/839571080より引用

freee
freeeはクラウド会計ソフトを提供する企業で、社員の働き方や価値観を発信することに力を入れています。
特に、「freeeの働き方」と題したブログや動画シリーズでは、社員の一日やプロジェクトの進行状況を詳しく紹介し、求職者に具体的なイメージを与えています。

https://jobs.freee.co.jp/より引用

社会的意義を伝えるPR

Z世代は企業の存在意義や社会的意義を重視します。
彼らは、企業がどのようなミッションやビジョンを持ち、社会に対してどのように貢献しているかを評価基準の一つとしています。
これにより、企業は自社のミッションやビジョンを明確にし、積極的に発信することが求められています。

パーパスを強調した事例

  • CSR活動の紹介
    企業が社会貢献活動に取り組む姿勢を示すことで、信頼感を高めます。
    ※CSR・・・corporate social responsibility(企業の社会的責任)
  • サステナビリティへの取り組み
    環境保護や持続可能な経営を目指す姿勢をアピールすることで、Z世代の関心を引きます。

これらの情報を効果的に伝えることで、Z世代の就活生に対して魅力的な企業像をアピールし、共感を得ることができると考えます。


今後の人口減少に伴い、人材不足の問題は継続的に続いて行くと考えられます。企業がZ世代に良いアピールをするには、SNSや動画を活用し、企業の存在意義をはっきりと示すことが大切だと感じました。


参考記事
マイナビキャリアリサーチ
マイナビキャリアリサーチ2
Z世代就活生に響く企業の「B面」とは? 24年の採用マーケ予測