お餅のような紙。

( 006 名刺のデザイン3 )

撮影協力:美濃手漉き和紙工房 Corsoyard

はじめて見た紙床(しと)

とうとう、最初にご紹介したCorsoyard(コルソヤード)さまにたどりつく事ができ、「ご希望に添えるよう、万全を期して漉らせていただきます」という、うれしいお返事をいただきました。これがその時届いた仕様書です。

【仕様】
紙名:耳つき名刺
寸法:約55×91mm(耳つき)
厚さ:極厚(活版での両面印刷向けの厚さ)
原料:那須楮100%
煮熟:ソーダ灰
精製:かみしぼり(ちりとり)
等級:S(最も手間をかけます)
叩解:ナギナタビーター(お見積もりにより手打ち叩解可能です)
漉方:流し漉き
乾燥:真鍮版乾燥機(※)
(※)紙干し板による天日乾燥も可能ですが、天然木板のアクが紙にうつり、黄ばんでしまう可能性があるため真鍮版による熱乾燥をお勧めします。

原料処理をするのに2週間ほどかかるので、その間に、既存品をサンプルとして送っていただき、メールや電話でのやり取りを重ねて、漉く作業に入っていただきました。

「サンプルはかなり密度の高い紙ですが、もう少しだけ繊維密度(数値化は難しいですが)を下げてふんわりと漉く想定です。同じ重さ(繊維量)でも柔らかくなります。 弱い印刷圧で凹みがつきやすくなりますので、両面印刷しやすいのではないかと思います」
(澤木さんのメールから)
※Corsoyard様の作業工程はこちらからご覧になれます。

このやりとりで、とても信頼できる方だと確信しました。また、その他にも細かく連絡をいただき、慎重に、間違いが無いよう進めてくださいました。

漉き上がったばかりの「流し漉き耳つき名刺超特厚」を重ねた、紙床(しと)と呼ぶ状態。ふんわりと餅の様です。この後、脱水して1枚ずつはがし、乾燥します。


紙の完成

ふんわり優しい耳は高品質の証。
本来の和紙技術のクオリティが実感できる、少し大げさかもしれませんが、世界にひとつだけの紙ができました。

手に取った瞬間、思い入れが強かったせいもあり、風合いに優しさとやわらかさを強く感じました。手に取った瞬間も、紙の軽さにも驚き、そのまま光に透かしてみると、暖かみがにじみでてきて、ふつうの紙とはあきらかに違う仕上がりに感動しました。

これでやっと印刷に取り掛かれるわけですが、紙の制作に難航したため、まだ私の要望がどこまで叶うか、不安半分、楽しみ半分の心境です。(結局、まだまだ苦労が続きました)

祐谷(16.12.2)

続きます (細部の工夫。)